924 / 2,381
新世代
來編 心構え
しおりを挟む
しかし、來と久利生の子供が先祖返りを起こしてるということは、來にとって今回のはおそらく死産と同じだろう。クロコディアとしての自分の子供が生まれてこなかったということだからな。
それについては残念だが、確率の問題なだけで、クロコディア同士でも十分に起こりえると見られてることだ。
加えて、育児を放棄してすぐさま次の子作りに入るかもしれない。
俺達は想定される事態に備えて心構えを作り、受け入れ態勢を整えておくだけだ。
親の都合で勝手にこの世に送り出すことになる子供を、ただ普通より手間が掛かるからというだけの理由で疎むようなことは、俺達はしない。そういう親であることをよしとはしない。
面倒でも手間でも、<自分の勝手>が招いたことだ。自身が招いたことの尻拭いをする姿も子供の前で見せないで、何が<親>だ。何が<躾>だ。
たった二十年やそこら子供のために人生を費やす覚悟も持てないで何が<大人>か。
趣味だの楽しみだのは、子供が巣立ってからまた思う存分やればいい。
もっとも、老化抑制処置を受けた俺達にとっては二十年なんて、シモーヌやビアンカや久利生にとっては人生の八分の一程度、俺にとってはそれこそ十分の一程度だし、しかも光や灯と同じように育つなら、自分のことが自分でできるようになるまででも十年かそこらだ。正直、あっという間だよ。
だからどうってこともない。
でもまあ、一人に要する時間は短くても、人数が多い可能性があるからな。
俺の場合は、誉、光、走、凱、深、翔、明、焔、新、彩、凛、丈、灯、彗の十四人だし。
シモーヌやエレクシアやセシリアやイレーネの助けも借りたとは言え、よくもまあとは思う。
それに、俺は子供達を見ているのが楽しかった。子供達の相手をすること自体が<趣味>みたいなものだったからな。何も我慢する必要もなかった。自分のやりたいことをしていればよかっただけだ。
そう考えると、子供と接することそのものを楽しめれば随分と楽になるんだろうなとは思う。
この点では、俺には適性があったってことかもな。
しかし、たまたま適性があってそれほど苦痛じゃなかった場合でも、そうじゃなくても、親の勝手で子供をこの世に送り出したことには変わりない。なら、やっぱり自分の勝手についての責任は負わないとおかしいだろう。
自分のやったことについて責任を負わない大人も少なくないが、そういう大人は、たぶん、親がそうだったんだろうなって気がして仕方ない。
今じゃ、メイトギアがほとんどの家にあるから、<子殺し>なんて事件も滅多にないが、それでもごくたまにあって大きなニュースになったりする。
野性での<子殺し>と、人間社会での<子殺し>は、やってることは同じように見えても、実はぜんぜん別のものだって今は思うよ。
人間のそれは、自分の責任から逃げる行為だとしか感じない。
それについては残念だが、確率の問題なだけで、クロコディア同士でも十分に起こりえると見られてることだ。
加えて、育児を放棄してすぐさま次の子作りに入るかもしれない。
俺達は想定される事態に備えて心構えを作り、受け入れ態勢を整えておくだけだ。
親の都合で勝手にこの世に送り出すことになる子供を、ただ普通より手間が掛かるからというだけの理由で疎むようなことは、俺達はしない。そういう親であることをよしとはしない。
面倒でも手間でも、<自分の勝手>が招いたことだ。自身が招いたことの尻拭いをする姿も子供の前で見せないで、何が<親>だ。何が<躾>だ。
たった二十年やそこら子供のために人生を費やす覚悟も持てないで何が<大人>か。
趣味だの楽しみだのは、子供が巣立ってからまた思う存分やればいい。
もっとも、老化抑制処置を受けた俺達にとっては二十年なんて、シモーヌやビアンカや久利生にとっては人生の八分の一程度、俺にとってはそれこそ十分の一程度だし、しかも光や灯と同じように育つなら、自分のことが自分でできるようになるまででも十年かそこらだ。正直、あっという間だよ。
だからどうってこともない。
でもまあ、一人に要する時間は短くても、人数が多い可能性があるからな。
俺の場合は、誉、光、走、凱、深、翔、明、焔、新、彩、凛、丈、灯、彗の十四人だし。
シモーヌやエレクシアやセシリアやイレーネの助けも借りたとは言え、よくもまあとは思う。
それに、俺は子供達を見ているのが楽しかった。子供達の相手をすること自体が<趣味>みたいなものだったからな。何も我慢する必要もなかった。自分のやりたいことをしていればよかっただけだ。
そう考えると、子供と接することそのものを楽しめれば随分と楽になるんだろうなとは思う。
この点では、俺には適性があったってことかもな。
しかし、たまたま適性があってそれほど苦痛じゃなかった場合でも、そうじゃなくても、親の勝手で子供をこの世に送り出したことには変わりない。なら、やっぱり自分の勝手についての責任は負わないとおかしいだろう。
自分のやったことについて責任を負わない大人も少なくないが、そういう大人は、たぶん、親がそうだったんだろうなって気がして仕方ない。
今じゃ、メイトギアがほとんどの家にあるから、<子殺し>なんて事件も滅多にないが、それでもごくたまにあって大きなニュースになったりする。
野性での<子殺し>と、人間社会での<子殺し>は、やってることは同じように見えても、実はぜんぜん別のものだって今は思うよ。
人間のそれは、自分の責任から逃げる行為だとしか感じない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
162
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる