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新世代
來編 想いを受け継ぐ
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アラニーズとなったビアンカについては正直判然としないものの、『透明な以外は人間と変わらない』久利生は、シモーヌと同じで老化抑制処置の効果も出ていると思われる。
だから、実年齢としてはそれなりの年齢らしいが、実際に残された時間そのものは灯とそう違わないと思う。
むしろ、久利生の方が長く生きる可能性の方が高いかもしれない。
ただ、老化抑制処置を受けられないとは言え、光と灯についても、少しでも健康に生きられるように手は尽くしてる。
治療カプセルを用いてのリフレッシュがそれだ。
密が亡くなってからこれまで、年一回程度の割合で、二人には治療カプセルに入ってもらってた。
正直、老化抑制処置に比べれば完全に気休め程度の効果しかないものの、それでも体そのものを健康に保つくらいはできる。これによって、それなりに若さを保つこともできてる。
具体的には、二十代前半のコンディションを保つことができてるって感じか。肉体の機能自体をな。
だから実年齢としてはそれなりになってきてる光も灯も、肉体年齢的には最高の状態を維持できてると言えるだろう。
それでも、さらに年齢を重ねていけばさすがにいつまでもは無理だし、百歳までは生きられるかどうかって感じだろうか。
とは言え、最初の頃の想定では短ければ五十年程度。長くても七十くらいと見ていたのがかなり伸びてきてるのも事実。
俺が光や灯の生涯をちゃんと見届けてあげたいという意味では五十年位でもよかったものの、二人がちゃんと自分の力で生きられて、しかも人間の世界ができつつある今では、二人に見送られて人生を終えるのも悪くないと思えてきてる。
そのためにも、しっかりと人間の世界が成立するように備えていかなきゃいけないよな。
最初は、俺一人が残りの寿命を楽しくまっとうできればそれでいいと思っていたのに、密を、刃を、伏を、鷹を愛してしまったばかりに子供達が生まれて、密達の生涯を見送れても今度は子供達の生涯も見送りたいと思うようになって、でもその子供達にも子供が生まれていって、さらに光に続いて灯までパートナーを見付けて、もう、俺がすべてを見届けるのは難しくなってきて……
命っていうのはこういうものなんだなとつくづく思う。自分が思っている以上に繋がっていって広がっていって、自分という人間が存在した証が残っていく。たとえ遺伝子は残らなくても、関わり合いになれば、自分が関わった命が繋がっていったりもするんだ。
そうだ。たとえビアンカが子供を残せなかったとしても、彼女が存在したという事実は、生きていたという事実は、確かに残っていく。
人間は、
『想いを受け継ぐ』
という形で命を繋いでいくことができる稀有な生き物なんだと改めて実感するよ。
だから、実年齢としてはそれなりの年齢らしいが、実際に残された時間そのものは灯とそう違わないと思う。
むしろ、久利生の方が長く生きる可能性の方が高いかもしれない。
ただ、老化抑制処置を受けられないとは言え、光と灯についても、少しでも健康に生きられるように手は尽くしてる。
治療カプセルを用いてのリフレッシュがそれだ。
密が亡くなってからこれまで、年一回程度の割合で、二人には治療カプセルに入ってもらってた。
正直、老化抑制処置に比べれば完全に気休め程度の効果しかないものの、それでも体そのものを健康に保つくらいはできる。これによって、それなりに若さを保つこともできてる。
具体的には、二十代前半のコンディションを保つことができてるって感じか。肉体の機能自体をな。
だから実年齢としてはそれなりになってきてる光も灯も、肉体年齢的には最高の状態を維持できてると言えるだろう。
それでも、さらに年齢を重ねていけばさすがにいつまでもは無理だし、百歳までは生きられるかどうかって感じだろうか。
とは言え、最初の頃の想定では短ければ五十年程度。長くても七十くらいと見ていたのがかなり伸びてきてるのも事実。
俺が光や灯の生涯をちゃんと見届けてあげたいという意味では五十年位でもよかったものの、二人がちゃんと自分の力で生きられて、しかも人間の世界ができつつある今では、二人に見送られて人生を終えるのも悪くないと思えてきてる。
そのためにも、しっかりと人間の世界が成立するように備えていかなきゃいけないよな。
最初は、俺一人が残りの寿命を楽しくまっとうできればそれでいいと思っていたのに、密を、刃を、伏を、鷹を愛してしまったばかりに子供達が生まれて、密達の生涯を見送れても今度は子供達の生涯も見送りたいと思うようになって、でもその子供達にも子供が生まれていって、さらに光に続いて灯までパートナーを見付けて、もう、俺がすべてを見届けるのは難しくなってきて……
命っていうのはこういうものなんだなとつくづく思う。自分が思っている以上に繋がっていって広がっていって、自分という人間が存在した証が残っていく。たとえ遺伝子は残らなくても、関わり合いになれば、自分が関わった命が繋がっていったりもするんだ。
そうだ。たとえビアンカが子供を残せなかったとしても、彼女が存在したという事実は、生きていたという事実は、確かに残っていく。
人間は、
『想いを受け継ぐ』
という形で命を繋いでいくことができる稀有な生き物なんだと改めて実感するよ。
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