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新世代

來編 現実問題

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こうやって分かったようなことを延々と言ってる俺だって、完璧に自分を制御できてるわけじゃない。

むしろ、制御できてないのをなんとか制御するために自分に言い聞かせてるだけだし。

なので、自分の憂さ晴らしのために他人を傷付けようとする輩に対しては思うところもありつつも、基本的には他人を馬鹿にしないように心掛けてるつもりだ。

まあ、それも完全にはできてないと思うけどな。



と、それはさてさて置いて、昨日の時点では仮設だった<家>の外装はほぼ完成し、夕方までには内装に取り掛かっていた。

明日にはそれもほぼ完成するだろう。あかり達の<新居>がいよいよ出来上がるということだ。

「別にそこまでいらないかもと思ってたけど、こうしてできてくるとワクワクするね」

今日の作業を終えて夕食にした時、あかりがそう切り出した。

「うん。高揚感があるよね。向こうで家を用意してもらった時も嬉しかったけど、今度は少佐やあかりと一緒の家だから余計にかな」

ビアンカが微笑みながら応える。

「僕は、二人が喜んでくれているならそれでいいよ」

久利生くりうも笑顔だ。

そして彼の隣には、きたるがべったりで。

しかも、早々に子作りしたいんだろうな。やたらと体を触ってる。

「はは……」

ビアンカはそんなきたるの様子に苦笑いだ。

人間なら、

『破廉恥な!!』

と眉を顰められるところだろうが、野生の場合は、チャンスとあれば躊躇わずに行かないと、いつ、命を落とすか分からない。人間ほどは<段階>なんか踏んでる余裕はないんだ。

しかし、

「……」

分かっているつもりでも、ビアンカにとっては複雑なようだな。

アラニーズである彼女にとっての<生殖>は、基本的にヒト蜘蛛アラクネのそれと同じだと見られている。

人間の体にも見える部分は、しっかりと子宮や卵巣も含めて再現されているものの、残念ながら機能はしていないのを、シモーヌとセシリアが確認してるそうだ。

つまり、クモに似た体の方に生殖機能があり、卵胎生であると……

加えてここまで形質が異なると、ほぼ人間である久利生くりうとの間で子供ができる可能性は、現実問題として、ない。

これも、正直なところ彼女にとっては<認めたくない現実>だろう。

それを突き付けられたビアンカの体を、あかりが撫でる。

「ビアンカ……私は今のビアンカを愛してるよ……」

「ありがとう……あかり……」

<認めたくない現実>を受け止めるには、支えになるものが必要なんだと思う。それもなしで現実と向き合えるほど人間という生き物は強くない。

俺だってそうだ。

エレクシアが、ひそかが、じんが、ふくが、ようが、シモーヌが、ひかりが、あかりがいてくれたから、現実と向き合えてる。

その現実を認めなきゃな。

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