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新世代
來編 宣言
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「ビアンカ、久利生っていい人だね♡」
野菜の収穫を終えてカーゴルームに戻ってきた灯が、ビアンカを見るなり笑顔でそう言った。
しかも、続けて、
「さすがは、ビアンカが好きになった人だよ!」
嬉しそうに、自慢げに、言ったんだ。
そう。灯は本気でそう思ってる。ビアンカが好きになった相手なら間違いないと、ビアンカを信じてるからこその言葉だった。
そんな灯に、ビアンカは、
「あ…」
と、はっとした表情になり、その上で、
「うん。少佐はすごく素晴らしい人です…!」
ぎゅっと手を握り締めて、力強く言った。
灯はそれを確かめて、
「ビアンカが好きな人だから私も好きになったんだよ♡」
さらに満面の笑みで言う。それどころか、
「私はビアンカが好きだ! ビアンカが好きな久利生が好きだ! ビアンカのことを大切に想ってくれてる久利生じゃなきゃ要らない! 私は、ビアンカと久利生が欲しいんだ!」
高らかに宣言するように言ってのけた。
「……」
ここまであっけらかんと、めんどくさい駆け引きなど一片もなくはっきりと口にする灯に、ビアンカは呆気にとられた。
でもすぐに、ニヤッと笑って、
「欲張りだね。灯…!」
と言い返す。
すると灯は、いっそうニカッと笑い、ぐいっと胸を張り、どん!と叩いて……
「当たり前だよ! 私は欲張りなんだ! 好きなものは一つも諦めない! いつか空を飛んでやろうと思ってて、それもできるようになった!
私がビアンカも久利生も幸せにするよ!!
だからビアンカ! 久利生と一緒に私のものになってくれ!!」
それは、<プロポーズ>と言うべきものだったのだろうか。
正直、人間の感覚からすると無茶苦茶なことを言ってるはずだが、俺の耳には不思議と嫌なそれには聞こえなかった。
もちろん、眉をしかめる人間も要るだろう。
『ふざけるな!』
と怒り出す人間もいると思う。
だが、ここではきっとこういうのもありなんだ。
『お前ら全員、幸せにしてやる! だから俺の下にこい!!』
みたいなのもな。
……まったく…すごいよ灯。そこまで堂々とはっきり言ってのけるお前がすごい。俺にはできなかったことだ。いちいちなんだかんだと言い訳を考えて人間としての倫理観と折り合おうとしてきた俺にはな。
「……」
さすがのこれにはビアンカも開いた口が塞がらず、唖然としていた。けれど、数瞬の間をおいて……
「う…ふふふ。あは…あはは! あはははははははっっ!!」
堪え切れないという感じで、腹を抱えて笑い出した。そして、
「……そこまで言われたら、私ももう覚悟を決めるしかないね。
うん…! 分かった!
じゃあ、灯のものになる! だから幸せにして!
ただし、吐いたツバは飲ませないよ! 幸せにできなかった時には覚悟してもらうからね!?」
きっぱりと言い返してみせたのだった。
野菜の収穫を終えてカーゴルームに戻ってきた灯が、ビアンカを見るなり笑顔でそう言った。
しかも、続けて、
「さすがは、ビアンカが好きになった人だよ!」
嬉しそうに、自慢げに、言ったんだ。
そう。灯は本気でそう思ってる。ビアンカが好きになった相手なら間違いないと、ビアンカを信じてるからこその言葉だった。
そんな灯に、ビアンカは、
「あ…」
と、はっとした表情になり、その上で、
「うん。少佐はすごく素晴らしい人です…!」
ぎゅっと手を握り締めて、力強く言った。
灯はそれを確かめて、
「ビアンカが好きな人だから私も好きになったんだよ♡」
さらに満面の笑みで言う。それどころか、
「私はビアンカが好きだ! ビアンカが好きな久利生が好きだ! ビアンカのことを大切に想ってくれてる久利生じゃなきゃ要らない! 私は、ビアンカと久利生が欲しいんだ!」
高らかに宣言するように言ってのけた。
「……」
ここまであっけらかんと、めんどくさい駆け引きなど一片もなくはっきりと口にする灯に、ビアンカは呆気にとられた。
でもすぐに、ニヤッと笑って、
「欲張りだね。灯…!」
と言い返す。
すると灯は、いっそうニカッと笑い、ぐいっと胸を張り、どん!と叩いて……
「当たり前だよ! 私は欲張りなんだ! 好きなものは一つも諦めない! いつか空を飛んでやろうと思ってて、それもできるようになった!
私がビアンカも久利生も幸せにするよ!!
だからビアンカ! 久利生と一緒に私のものになってくれ!!」
それは、<プロポーズ>と言うべきものだったのだろうか。
正直、人間の感覚からすると無茶苦茶なことを言ってるはずだが、俺の耳には不思議と嫌なそれには聞こえなかった。
もちろん、眉をしかめる人間も要るだろう。
『ふざけるな!』
と怒り出す人間もいると思う。
だが、ここではきっとこういうのもありなんだ。
『お前ら全員、幸せにしてやる! だから俺の下にこい!!』
みたいなのもな。
……まったく…すごいよ灯。そこまで堂々とはっきり言ってのけるお前がすごい。俺にはできなかったことだ。いちいちなんだかんだと言い訳を考えて人間としての倫理観と折り合おうとしてきた俺にはな。
「……」
さすがのこれにはビアンカも開いた口が塞がらず、唖然としていた。けれど、数瞬の間をおいて……
「う…ふふふ。あは…あはは! あはははははははっっ!!」
堪え切れないという感じで、腹を抱えて笑い出した。そして、
「……そこまで言われたら、私ももう覚悟を決めるしかないね。
うん…! 分かった!
じゃあ、灯のものになる! だから幸せにして!
ただし、吐いたツバは飲ませないよ! 幸せにできなかった時には覚悟してもらうからね!?」
きっぱりと言い返してみせたのだった。
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