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新世代
來編 表情
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ビアンカと灯とイレーネを乗せた<ビアンカ専用ローバー>がゆっくりと密林の中から姿を現し、光莉号の下に設けられた駐車スペースに停めた。
「やあやあ、初めまして。私はそこにいる錬是の娘の灯です。お~! イケメンじゃん。やったあ♡」
そう言って灯はにこやかに話しかけてくる。
その様子に久利生が、一瞬、苦笑いを浮かべたような気がした。
けれど次の瞬間には、
「初めまして。お世話になります。久利生遥偉です」
穏やかな笑みを浮かべつつ右手を差し出し、ガシっと握手を交わす。
それから、
「イレーネ、君も無事だったのか。良かった」
静かに頭を下げるイレーネを見ながら、安心したように微笑んだ。
顔が透明だから慣れない人間には表情が掴みにくいかもしれないが、シモーヌやビアンカと顔を合わせていたからか俺にはけっこう分かってしまう。
イレーネを見た久利生が明らかにホッとしたのも。タブレット越しに挨拶を交わしたメイフェアを見た時と同じ表情だと思った。
まあ、メイトギアといえど感情まで再現されて人間のように振舞っていた<仲間>である彼女らと再会できてホッとするのも当然だろうけどな。
でも、その一方で……
ビアンカはローバーから降りてこなかった。決心がつかないんだろうなっていうのはすぐに分かった。今の自分の姿を好きな人に見せるとか、彼女にとっては拷問に等しいだろうというのは、俺にも察せられる。
ローバーのフロントウインドウ越しに、泣きそうな顔で彼女はこちらを見ていた。
それだけなら、ファンデーションで化粧をしているから、あの独特な<目>以外は普通の人間のようにも見える。
そんなビアンカに灯が近付いていって、
「大丈夫だよ、ビアンカ。それとも、ビアンカの好きな人は、私のお父さんよりも器の小さな男だっての?」
彼女を受け止めようとでもするかのように両手を大きく広げて言った。
その言葉に、ビアンカの表情がハッとなるのが分かった。その上で、
「ビアンカ。君も私も軍人だ。戦場ではいろんなことが起こる。私達はそれを乗り越えてきたはずだ」
久利生が彼女を真っ直ぐに見詰めて語り掛ける。
正直、
『好きな人に今の姿を見せるのが辛い』
という<女心>に対してその言い方はどうなのか?と思わないでもなかったが、それでもビアンカは意を決したように頷いて、ローバーのキャノピーを開けた。
まるで羽を広げるようにボディの上部が跳ね上がり、続いて太くて長い<アラニーズの脚>が地面に下ろされる。そして、
「……!」
さすがの久利生も息を呑むのが分かった。
何しろ、ローバーから降りてきたのは、人間が巨大なクモに抱えられたかのような姿をした生物だったのだから。
「やあやあ、初めまして。私はそこにいる錬是の娘の灯です。お~! イケメンじゃん。やったあ♡」
そう言って灯はにこやかに話しかけてくる。
その様子に久利生が、一瞬、苦笑いを浮かべたような気がした。
けれど次の瞬間には、
「初めまして。お世話になります。久利生遥偉です」
穏やかな笑みを浮かべつつ右手を差し出し、ガシっと握手を交わす。
それから、
「イレーネ、君も無事だったのか。良かった」
静かに頭を下げるイレーネを見ながら、安心したように微笑んだ。
顔が透明だから慣れない人間には表情が掴みにくいかもしれないが、シモーヌやビアンカと顔を合わせていたからか俺にはけっこう分かってしまう。
イレーネを見た久利生が明らかにホッとしたのも。タブレット越しに挨拶を交わしたメイフェアを見た時と同じ表情だと思った。
まあ、メイトギアといえど感情まで再現されて人間のように振舞っていた<仲間>である彼女らと再会できてホッとするのも当然だろうけどな。
でも、その一方で……
ビアンカはローバーから降りてこなかった。決心がつかないんだろうなっていうのはすぐに分かった。今の自分の姿を好きな人に見せるとか、彼女にとっては拷問に等しいだろうというのは、俺にも察せられる。
ローバーのフロントウインドウ越しに、泣きそうな顔で彼女はこちらを見ていた。
それだけなら、ファンデーションで化粧をしているから、あの独特な<目>以外は普通の人間のようにも見える。
そんなビアンカに灯が近付いていって、
「大丈夫だよ、ビアンカ。それとも、ビアンカの好きな人は、私のお父さんよりも器の小さな男だっての?」
彼女を受け止めようとでもするかのように両手を大きく広げて言った。
その言葉に、ビアンカの表情がハッとなるのが分かった。その上で、
「ビアンカ。君も私も軍人だ。戦場ではいろんなことが起こる。私達はそれを乗り越えてきたはずだ」
久利生が彼女を真っ直ぐに見詰めて語り掛ける。
正直、
『好きな人に今の姿を見せるのが辛い』
という<女心>に対してその言い方はどうなのか?と思わないでもなかったが、それでもビアンカは意を決したように頷いて、ローバーのキャノピーを開けた。
まるで羽を広げるようにボディの上部が跳ね上がり、続いて太くて長い<アラニーズの脚>が地面に下ろされる。そして、
「……!」
さすがの久利生も息を呑むのが分かった。
何しろ、ローバーから降りてきたのは、人間が巨大なクモに抱えられたかのような姿をした生物だったのだから。
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