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新世代
來編 基本スペック
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そういう背景もあって、しかし法律も何もないこの惑星ではたとえ自分が<コピー>であってもそれを深刻に受け止める必要がないことを、久利生は理解していたようだ。
だからか彼はとても落ち着いていた。
まったく。いくら軍人だからってビアンカはここまでじゃなかったから、まあこれは彼自身の資質なんだろうな。
とは言え、あんまりオタオタされても困るから助かるというのも正直なところではある。
まずは俺の<群れ>についての概要と、シモーヌとビアンカがどのような経緯でここに加わるようになったかについて簡単に説明すると、
「私も思い出しました」
久利生が言う。
「あの生物の中で私達がどのように生活を送っていたかを」
なんと彼は、あっさり不定形生物の中での記憶も取り戻したのだ。
この辺りは、自身について冷静に客観的に受け止められるようになると記憶が繋がるということかもしれない。精神的に余裕がない間は無意識のうちに記憶に蓋をしてしまうということだろうか。
と、そこに、
「灯とビアンカとイレーネが戻ってきました」
エレクシアの声。
見ると、密林の奥に微かにローバーの姿が見える。
久利生が現れたことを知り、急ぎ帰ってきたビアンカはどうするのだろうか。
クモ人間である今の自分を、彼の前に晒すことができるのか……
俺の懸念を、腕の部分のファンデーションを落とし自分が彼と同じであることを示したシモーヌが代弁してくれる。
「久利生……ビアンカは、私やあなたとはまた違う姿になってるの……
あなたなら大丈夫だとは思うけど、その事実を受け止めてあげてほしい……」
俺が望んでいるのも、結局はそれだ。彼のことが好きだったというビアンカが打ちひしがれることがないようにとな。
「そうか…」
久利生は静かに応えた。
「だが、心配要らない。私は軍人だ。戦闘で肉体の大部分を失ったことで義体化し、人の姿をなくした仲間の姿も何度も見てきている。どのような姿になっていようと、先ほど言葉を交わした時の印象からすれば、彼女の精神がまったく別のものになってしまったわけではないのだと感じた。
それに私は、現実と向き合う覚悟を忘れないように自らに言い聞かせているよ。
戦闘においてはそれが最も大事だからね」
淡々とそう言い切ってしまう彼に、俺はなんとも言えない気分になっていた。
まるで、敗北感のような……
いや、それ以上の、<諦観>と言った方がいいかもしれない。
人間としての基本スペックが違いすぎる。もし彼がこの<群れ>のボスの座を望むなら、俺はたぶん、太刀打ちできないだろう……
そんな風に思わされていたんだ。
だからか彼はとても落ち着いていた。
まったく。いくら軍人だからってビアンカはここまでじゃなかったから、まあこれは彼自身の資質なんだろうな。
とは言え、あんまりオタオタされても困るから助かるというのも正直なところではある。
まずは俺の<群れ>についての概要と、シモーヌとビアンカがどのような経緯でここに加わるようになったかについて簡単に説明すると、
「私も思い出しました」
久利生が言う。
「あの生物の中で私達がどのように生活を送っていたかを」
なんと彼は、あっさり不定形生物の中での記憶も取り戻したのだ。
この辺りは、自身について冷静に客観的に受け止められるようになると記憶が繋がるということかもしれない。精神的に余裕がない間は無意識のうちに記憶に蓋をしてしまうということだろうか。
と、そこに、
「灯とビアンカとイレーネが戻ってきました」
エレクシアの声。
見ると、密林の奥に微かにローバーの姿が見える。
久利生が現れたことを知り、急ぎ帰ってきたビアンカはどうするのだろうか。
クモ人間である今の自分を、彼の前に晒すことができるのか……
俺の懸念を、腕の部分のファンデーションを落とし自分が彼と同じであることを示したシモーヌが代弁してくれる。
「久利生……ビアンカは、私やあなたとはまた違う姿になってるの……
あなたなら大丈夫だとは思うけど、その事実を受け止めてあげてほしい……」
俺が望んでいるのも、結局はそれだ。彼のことが好きだったというビアンカが打ちひしがれることがないようにとな。
「そうか…」
久利生は静かに応えた。
「だが、心配要らない。私は軍人だ。戦闘で肉体の大部分を失ったことで義体化し、人の姿をなくした仲間の姿も何度も見てきている。どのような姿になっていようと、先ほど言葉を交わした時の印象からすれば、彼女の精神がまったく別のものになってしまったわけではないのだと感じた。
それに私は、現実と向き合う覚悟を忘れないように自らに言い聞かせているよ。
戦闘においてはそれが最も大事だからね」
淡々とそう言い切ってしまう彼に、俺はなんとも言えない気分になっていた。
まるで、敗北感のような……
いや、それ以上の、<諦観>と言った方がいいかもしれない。
人間としての基本スペックが違いすぎる。もし彼がこの<群れ>のボスの座を望むなら、俺はたぶん、太刀打ちできないだろう……
そんな風に思わされていたんだ。
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