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新世代

翔編 マッハ

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新暦〇〇三十一年十一月九日。



超マンティアン<龍然りゅうぜん>の脅威が去って三日後。鈴良れいらが子供を生んだ。

たぶん雄だ。

「私が名前付けていい!?」

あかりが言うから、

「ああ、いいよ」

と応えると、

「じゃあ、マッハ!」

笑顔で高らかに宣言する。

「マ…マッハ……? なぜにマッハ?」

問い返す俺に、

「え~? なんかカッコいいじゃん!」

だと。

完全にフィーリング以外の何物でもない発想で宣言する。

ああ、でも、いいよ。任せたんだからそれでいい。

「分かった。じゃあ、マッハだ」

と言うわけで、りょう鈴良れいらの息子の名は、<マッハ>に決まった。

楼羅ろうらは残念だったが、マッハは元気に育ってくれたらいいな。

しょうの妊娠も順調のようだ。

などと思ってたら、すいのパートナーの清良せいらにも妊娠の兆候が。

ははは、めでたいことが続くなあ。

と思ったら、ほまれのところでも、そうかいのところでも、次々と<曾孫>の予兆が。

正直、ここまでくると、全員には触れていられない。『誰が怪我をした』とか『誰それとつがいになった』とか『巣立った』とか、そのくらいの話だと、な。

でも、それでも、みんな俺の<家族>だ。

それに、<記録>については、エレクシアとメイフェアとセシリアと光莉ひかり号とコーネリアス号が残していってくれる。

だから今後は、特に触れるべき何かがあったらってことになるかな。それは別に、『何か事件が起こったら』ということに限らず、なんとなく触れておきたいことがあった場合にもってことで。









新暦〇〇三十二年四月十六日。



そしてまた日々は過ぎ、しょうの子供が生まれた。今度も娘だった。

楼羅ろうらが帰ってきてくれたような気がしつつも、名前は<スフィア>。こちらもあかりが名付け親だ。マッハがすごく元気に育ってくれてたこともあって、ある種のゲン担ぎってことであかりに任せた。

漢字の名前とカタカナの名前が混在することは、あかりにとっては別に変でもなんでもないらしい。何しろ、身近にも<シモーヌ>、<ビアンカ>、<エレクシア>、<セシリア>、<イレーネ>と、漢字表記じゃない名前がいくつもあるからな。

そもそも俺だって、フルネームは、

神河内かみこうち・フィッツジェラルド・錬是れんぜ

だし。

母方の祖父の名前を受け継いだらしいが、正直、大仰な感じがして普段は名乗ることはない。ちなみに妹は、

神河内かみこうち・フランシェスカ・光莉ひかり

で、こちらも母方の祖父母の名前を受け継いでいるという話だ。

だからまあ、マッハもスフィアもいい名前だと思うよ。

そして、続けて生まれたすい清良せいらの息子には、<ファルケ>だと。

完全に、知ってる単語の中から何となく選んでるというのが丸分かりだな。

でも、別にいいさ。

そんなこんなで、アクシーズの子達にはアクシーズであるあかりが名付けをしたので、今後もし、ほまれ達パパニアンの子達に名前を付けるとしたらひかりにお願いしようかなと思ってる。

となると、ビアンカには彼女のお気に入りのレオンの名付けをお願いしたいところだ。

「そうなると私がマンティアンの子達を担当ってこと?」

ちょっと悪戯っぽく訊いてくるシモーヌに、

「まあ、そういうことになるかな」

と、俺も笑みを浮かべながら応える。



そんなこんなで、今日も俺の家族は幸せだ。

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