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新世代
翔編 一方的な<暴力>
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けれど、凌が参戦して、抜け目ない強さを俺に見せてくれたとなれば、もう結構、時間が経ったということだよな。
と言うことは―――――
「凌、あとは私に任せてください」
アリゼのマイクに捉えられた<声>。
「エレクシア!」
ドラゼのカメラに、一瞬で現れたエレクシアの姿が映し出される。
ここから先は、また、後から映像を解析してようやく判明した流れで説明していく。
が、一言で言うと、
「エレクシア、すげえ…!」
で終わってしまうけどな。
でもとにかく、気付いたら龍然の間合いの内側に入り込んでいたエレクシアが、右手を広げて前に押し出して、突き飛ばす。
そう。突き飛ばしただけだ。なのに、龍然の体がまるで自動車にでも撥ねられたかのように吹っ飛ぶ。
その先にあった木々の枝をへし折りながら十メートル以上飛ばされて、太い木の幹に叩きつけられた。
人間ならこの一撃で死んでいてもおかしくないだろう。なのに、龍然はまったく怯むことなく体を捻って地面に降り立ち、身構えた。
まったくとんでもないタフネスぶりだよ。本当に生き物か?
だが、エレクシアはもっととんでもなかった。身構えた龍然の目の前にすでに立っていて、今度は左の掌底を腹に叩き込む。
「ギ……ッ!?」
これにはさすがの龍然も声を上げ、頭を下げる。するとその先には、エレクシアの右膝。龍然の頭が爆発したかのように跳ね上げられる。
正直、一方的な<暴力>だっただろう。
しかし、実はこの時、エレクシアは、
『龍然になるべく怪我をさせず、かつ痛い目に遭わせ、そして自身が圧倒的に強く冷酷で絶対に勝てるはずのない相手であることを理解させる』
という、冷静に考えたら無茶苦茶な難易度のミッションをこなしていたのだった。
龍然を殺すだけならコンマ一秒で終わる。彼女の四本貫手が天然の装甲を貫通できなかったとしても、肩でも掴んでもう一方の手を口にでも捻じ込んで掴み、一切の手加減なくその頭を引っこ抜いてやれば終わりだ。
首がちぎれればその時点で即死。ちぎれなかったとしても、頸椎は断裂。全身麻痺で呼吸も心臓も止まり、龍然は死ぬ。
もしくは地面に叩きつけた上でその胸や腹を手加減なく踏みつければいい。装甲のような外皮は破れなくても、衝撃で内臓は破裂、やっぱり即死だ。
もし、凌の命が危険に曝されていて一刻の猶予もなかったとしたら、エレクシアは躊躇うことなくそうしただろう。あらかじめ俺がそう命令していたからな。
とは言え今回は、凌自身が抜け目ない成長を見せて、アリゼとドラゼとのトリオとはいえほぼ互角の戦いを見せてくれていたんだ。だからそこまで切羽詰まっていなかった。それでエレクシアも、
『とにかく二度と近付いてこないように痛い目を見せて力の差を思い知らせてやってくれ』
という命令に従ったんだ。
と言うことは―――――
「凌、あとは私に任せてください」
アリゼのマイクに捉えられた<声>。
「エレクシア!」
ドラゼのカメラに、一瞬で現れたエレクシアの姿が映し出される。
ここから先は、また、後から映像を解析してようやく判明した流れで説明していく。
が、一言で言うと、
「エレクシア、すげえ…!」
で終わってしまうけどな。
でもとにかく、気付いたら龍然の間合いの内側に入り込んでいたエレクシアが、右手を広げて前に押し出して、突き飛ばす。
そう。突き飛ばしただけだ。なのに、龍然の体がまるで自動車にでも撥ねられたかのように吹っ飛ぶ。
その先にあった木々の枝をへし折りながら十メートル以上飛ばされて、太い木の幹に叩きつけられた。
人間ならこの一撃で死んでいてもおかしくないだろう。なのに、龍然はまったく怯むことなく体を捻って地面に降り立ち、身構えた。
まったくとんでもないタフネスぶりだよ。本当に生き物か?
だが、エレクシアはもっととんでもなかった。身構えた龍然の目の前にすでに立っていて、今度は左の掌底を腹に叩き込む。
「ギ……ッ!?」
これにはさすがの龍然も声を上げ、頭を下げる。するとその先には、エレクシアの右膝。龍然の頭が爆発したかのように跳ね上げられる。
正直、一方的な<暴力>だっただろう。
しかし、実はこの時、エレクシアは、
『龍然になるべく怪我をさせず、かつ痛い目に遭わせ、そして自身が圧倒的に強く冷酷で絶対に勝てるはずのない相手であることを理解させる』
という、冷静に考えたら無茶苦茶な難易度のミッションをこなしていたのだった。
龍然を殺すだけならコンマ一秒で終わる。彼女の四本貫手が天然の装甲を貫通できなかったとしても、肩でも掴んでもう一方の手を口にでも捻じ込んで掴み、一切の手加減なくその頭を引っこ抜いてやれば終わりだ。
首がちぎれればその時点で即死。ちぎれなかったとしても、頸椎は断裂。全身麻痺で呼吸も心臓も止まり、龍然は死ぬ。
もしくは地面に叩きつけた上でその胸や腹を手加減なく踏みつければいい。装甲のような外皮は破れなくても、衝撃で内臓は破裂、やっぱり即死だ。
もし、凌の命が危険に曝されていて一刻の猶予もなかったとしたら、エレクシアは躊躇うことなくそうしただろう。あらかじめ俺がそう命令していたからな。
とは言え今回は、凌自身が抜け目ない成長を見せて、アリゼとドラゼとのトリオとはいえほぼ互角の戦いを見せてくれていたんだ。だからそこまで切羽詰まっていなかった。それでエレクシアも、
『とにかく二度と近付いてこないように痛い目を見せて力の差を思い知らせてやってくれ』
という命令に従ったんだ。
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