820 / 2,566
新世代
翔編 インフラ
しおりを挟む
アミダ・リアクターが普及した今の人間社会では、<大規模停電>なんて、もはや都市伝説扱いだ。
二百年を超える人生の中でそんな経験をしたことのある人間さえ、滅多にいない。
何らかの自然災害で自分の家のアミダ・リアクターが使えなくなったとしても、誰かが融通してくれるし、個人じゃ融通しきれないほどの規模であれば行政が<移動式電源>を手配してほんの数時間で復旧させてくれる。
しかも、満充電なら一ヶ月くらいもつバッテリーも、持ってない家庭を探す方が難しいくらいだし、メイトギアやレイバーギアがあれば、最悪、そこから給電すればいい。家一軒分をメイトギアのバッテリーで賄うとなるとさすがに数日しかもたないらしいが、その<数日の間>に救援が来るから問題ないだろう。
そもそも、アミダ・リアクター自体、滅多なことじゃ故障しないそうだ。何しろ放射性物質が燃料になってるから、万が一にも漏洩したらえらいことだしな。故障して給電できなくなったとしても、燃料は漏れたりしないようになってるらしい。
加えて、アミダ・リアクター搭載型の自動車の普及率も九割に達したとかいう話もあったし、それこそどこからでも電源は引っ張ってこられるんだよな。
そういうのが当たり前だったから、『大規模発電所から電気を買う』なんて感覚がそもそもピンと来ない。
シモーヌも言っていた。
「私達の頃はまだアミダ・リアクターは発明されていませんでしたが、それでも、ソーラーパネルの進化とバッテリーの進化で、『地域の電力は地域で賄う』のが普通になってましたし、<何十万世帯に電力を供給する大規模発電所>自体がもはやバックアップ的な存在でしたね。
あの頃、メインの大規模発電所と言えば、
<縮退炉発電所>
または、
<宙間放射線発電所>
でしたが」
<縮退炉発電所>はまさにコーネリアス号の主機が電気を生み出していたそれだ。
一方の、<宙間放射線発電所>というのは、まあ、乱暴に噛み砕いて言えば、ソーラーパネルにおける太陽光の代わりに放射線で発電するという装置で構成された発電所で、それなら、強い放射線があるところならどこでも二十四時間発電できる上に、強い放射線が常に満ちてる宇宙空間ともなるとそれこそ恒星から遠く離れたところでも発電できるからってことで主力だったらしい。
それ以前の原子力発電所なんて、今じゃすっかり、
『無闇に大仰なだけで使い勝手が悪い』
っていうものの代表格扱いだったりする。
しかし、一度建造してしまえば、しかも安全対策にそれほど拘らなくていい宇宙空間に、遠隔操作するロボットで管理するタイプのをともなれば、それこそ、コストもたかが知れてるクセに安定して大電力を供給できるってんで、バックアップ用としての需要は、今でもあったりするそうだけどな。
で、そこで出た<高レベルの放射性廃棄物>は、アミダ・リアクターの燃料にもなるという。
二百年を超える人生の中でそんな経験をしたことのある人間さえ、滅多にいない。
何らかの自然災害で自分の家のアミダ・リアクターが使えなくなったとしても、誰かが融通してくれるし、個人じゃ融通しきれないほどの規模であれば行政が<移動式電源>を手配してほんの数時間で復旧させてくれる。
しかも、満充電なら一ヶ月くらいもつバッテリーも、持ってない家庭を探す方が難しいくらいだし、メイトギアやレイバーギアがあれば、最悪、そこから給電すればいい。家一軒分をメイトギアのバッテリーで賄うとなるとさすがに数日しかもたないらしいが、その<数日の間>に救援が来るから問題ないだろう。
そもそも、アミダ・リアクター自体、滅多なことじゃ故障しないそうだ。何しろ放射性物質が燃料になってるから、万が一にも漏洩したらえらいことだしな。故障して給電できなくなったとしても、燃料は漏れたりしないようになってるらしい。
加えて、アミダ・リアクター搭載型の自動車の普及率も九割に達したとかいう話もあったし、それこそどこからでも電源は引っ張ってこられるんだよな。
そういうのが当たり前だったから、『大規模発電所から電気を買う』なんて感覚がそもそもピンと来ない。
シモーヌも言っていた。
「私達の頃はまだアミダ・リアクターは発明されていませんでしたが、それでも、ソーラーパネルの進化とバッテリーの進化で、『地域の電力は地域で賄う』のが普通になってましたし、<何十万世帯に電力を供給する大規模発電所>自体がもはやバックアップ的な存在でしたね。
あの頃、メインの大規模発電所と言えば、
<縮退炉発電所>
または、
<宙間放射線発電所>
でしたが」
<縮退炉発電所>はまさにコーネリアス号の主機が電気を生み出していたそれだ。
一方の、<宙間放射線発電所>というのは、まあ、乱暴に噛み砕いて言えば、ソーラーパネルにおける太陽光の代わりに放射線で発電するという装置で構成された発電所で、それなら、強い放射線があるところならどこでも二十四時間発電できる上に、強い放射線が常に満ちてる宇宙空間ともなるとそれこそ恒星から遠く離れたところでも発電できるからってことで主力だったらしい。
それ以前の原子力発電所なんて、今じゃすっかり、
『無闇に大仰なだけで使い勝手が悪い』
っていうものの代表格扱いだったりする。
しかし、一度建造してしまえば、しかも安全対策にそれほど拘らなくていい宇宙空間に、遠隔操作するロボットで管理するタイプのをともなれば、それこそ、コストもたかが知れてるクセに安定して大電力を供給できるってんで、バックアップ用としての需要は、今でもあったりするそうだけどな。
で、そこで出た<高レベルの放射性廃棄物>は、アミダ・リアクターの燃料にもなるという。
0
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
エロゲーの悪役に転生した俺、なぜか正ヒロインに溺愛されてしまった件。そのヒロインがヤンデレストーカー化したんだが⁉
菊池 快晴
ファンタジー
入学式当日、学園の表札を見た瞬間、前世の記憶を取り戻した藤堂充《とうどうみつる》。
自分が好きだったゲームの中に転生していたことに気づくが、それも自身は超がつくほどの悪役だった。
さらに主人公とヒロインが初めて出会うイベントも無自覚に壊してしまう。
その後、破滅を回避しようと奮闘するが、その結果、ヒロインから溺愛されてしまうことに。
更にはモブ、先生、妹、校長先生!?
ヤンデレ正ヒロインストーカー、不良ヤンキーギャル、限界女子オタク、個性あるキャラクターが登場。
これは悪役としてゲーム世界に転生した俺が、前世の知識と経験を生かして破滅の運命を回避し、幸せな青春を送る為に奮闘する物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる