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新世代
翔編 中の世界 その1
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あの不定形生物のことがなんだか気になってしまったので、アリゼドラゼ村とアリニドラニ村での作業を終えて家に帰った俺は、改めてシモーヌとビアンカを交えて情報を精査してみる。
だが、
「正直、あの頃のことはもう忘れてることが多いかな」
とシモーヌは言い、ビアンカに至っては、
「私も、実は断片的にしか思い出せないんです」
とのことだった。
それでも、思い出せる範囲で思い出してもらう。二人の記憶を突き合わせれば思い出すこともあるかもしれないし。
そういうわけで、シモーヌは、
「あちらの秋嶋シモーヌについては、私とは別人として、伝聞的に話す形でいい?」
と俺に訊いてくる。もちろんそれについては、
「ああ、それで構わない。俺も、<同姓同名の別人>と思ってるしな」
正直に応えさせてもらう。
するとシモーヌは、
「彼女は、パートナーの十枚アレクセイと同時に、あの不定形生物に同化されたの。彼が彼女を守ろうとして庇ったから。
その時点でいったん意識は途切れて、次に気が付いた時には見知らぬ場所で二人で倒れてた。
具体的にどれくらいの時間意識を失っていたのかは分からなかったけど、体の痺れ具合とかから見ると少なくとも数分って感じかもしれない……」
と、ここからはシモーヌの語りで進めよう。
「シモーヌ、大丈夫か…!?」
意識を取り戻した秋嶋シモーヌに声を掛けてきたのは、パートナーの十枚アレクセイだった。
「レックス…? …! って、あの怪物は……!?」
怯えたように辺りを見回す彼女に、アレクセイは、レックスはどこまでも優しかった。
「大丈夫だ。ここにはあれはいない。ただ……」
怪物がいないことを告げられてホッとしつつ、シモーヌも彼が『ただ…』と言い淀んだ理由を察した。なにしろ彼は何一つ身に着けていない、完全な裸だったから。そしてまさかと思って自分の体を見ると、シモーヌ自身も裸だった。
「え!? なに!? どうして……!?」
『まさか彼が?』とは一瞬思ったものの、レックスは彼女のパートナーで、すでに彼の子も宿している。いまさらわざわざそんなことをする理由がないので、
「分からない。気付いたら僕も裸だったんだ。周りを見回しても見当たらない」
という彼の説明も素直に信じられた。しかも、周囲に目を配る彼につられるようにして視線を巡らせると、
「……どこ、ここ……?」
周囲の景色が認識できた彼女も呆然としてしまってた。何しろそこは、コーネリアス号が不時着した草原とはまったく違う、まるで絵画のような美しい湖畔だったし。
戸惑う彼女に、レックスは告げた。
「僕にも分からない。でも、とにかくあの生物はいないことだけは確かだ。少なくとも、半径百メートル以内には。
それと同時に、僕達以外は誰もいない……」
けれど、その時―――――
だが、
「正直、あの頃のことはもう忘れてることが多いかな」
とシモーヌは言い、ビアンカに至っては、
「私も、実は断片的にしか思い出せないんです」
とのことだった。
それでも、思い出せる範囲で思い出してもらう。二人の記憶を突き合わせれば思い出すこともあるかもしれないし。
そういうわけで、シモーヌは、
「あちらの秋嶋シモーヌについては、私とは別人として、伝聞的に話す形でいい?」
と俺に訊いてくる。もちろんそれについては、
「ああ、それで構わない。俺も、<同姓同名の別人>と思ってるしな」
正直に応えさせてもらう。
するとシモーヌは、
「彼女は、パートナーの十枚アレクセイと同時に、あの不定形生物に同化されたの。彼が彼女を守ろうとして庇ったから。
その時点でいったん意識は途切れて、次に気が付いた時には見知らぬ場所で二人で倒れてた。
具体的にどれくらいの時間意識を失っていたのかは分からなかったけど、体の痺れ具合とかから見ると少なくとも数分って感じかもしれない……」
と、ここからはシモーヌの語りで進めよう。
「シモーヌ、大丈夫か…!?」
意識を取り戻した秋嶋シモーヌに声を掛けてきたのは、パートナーの十枚アレクセイだった。
「レックス…? …! って、あの怪物は……!?」
怯えたように辺りを見回す彼女に、アレクセイは、レックスはどこまでも優しかった。
「大丈夫だ。ここにはあれはいない。ただ……」
怪物がいないことを告げられてホッとしつつ、シモーヌも彼が『ただ…』と言い淀んだ理由を察した。なにしろ彼は何一つ身に着けていない、完全な裸だったから。そしてまさかと思って自分の体を見ると、シモーヌ自身も裸だった。
「え!? なに!? どうして……!?」
『まさか彼が?』とは一瞬思ったものの、レックスは彼女のパートナーで、すでに彼の子も宿している。いまさらわざわざそんなことをする理由がないので、
「分からない。気付いたら僕も裸だったんだ。周りを見回しても見当たらない」
という彼の説明も素直に信じられた。しかも、周囲に目を配る彼につられるようにして視線を巡らせると、
「……どこ、ここ……?」
周囲の景色が認識できた彼女も呆然としてしまってた。何しろそこは、コーネリアス号が不時着した草原とはまったく違う、まるで絵画のような美しい湖畔だったし。
戸惑う彼女に、レックスは告げた。
「僕にも分からない。でも、とにかくあの生物はいないことだけは確かだ。少なくとも、半径百メートル以内には。
それと同時に、僕達以外は誰もいない……」
けれど、その時―――――
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