779 / 2,381
新世代
翔編 いつか来る別れに
しおりを挟む
凌が雌を見付けたのは、もしかすると自分が気に入った巣を用意できたからかもしれない。それによって雌を迎えようという気になったのかもな。
この辺りの感覚は人間と違ってて当然なので、俺としてはもちろん口出しはしないつもりだ。
にしても、なあ……
ともあれ、これで凌もパートナーを見付けられたなら一安心ということでいいんじゃないかと自分に言い聞かせる。
彗にも清良が見付かったことだしな。
そんなわけで、凌のパートナーについては、鈴良と名付けた。
うん、いつもどおりのただの思い付きだ。
仲良くいてくれれば、おじいちゃん、言うことないよ。
と同時に、自分が順調に年齢を重ねていることを実感させられる。
老化抑制処置のおかげで体そのものが衰えたという実感はないものの、それなりの年齢なんだなあとはね。
でもそれは同時に、息子や娘達が年齢を重ねていっているという実感でもある。
まだまだみんな元気なものの、光と灯以外は、たぶん、俺より確実に先に寿命を迎える。俺の勝手で生み出した子達だから俺が看取るのは当然だとしても、やっぱり何だか胸が痛いよ。
という感傷も抱きつつ家に帰る。
すると、
「おかえりなさい」
「おかえり~♡」
「おかえりなさい」
「おかえりなさ~い♡」
「おか~♡」
シモーヌ、灯、光、和、陽が笑顔で迎えてくれた。それで感傷も吹っ飛ぶ。
ああ、いいなあ……
と同時に、今日は、
「おか、えり。おとさん」
順も一緒に出迎えてくれた。ビアンカが家に入ってたからだろう。
しかし、ビアンカが窓を開けて、
「おかえりなさい!」
と声を上げると、ビクッと体を竦ませていた。それでも、光や和や陽や灯を残して家に逃げ帰ることはできなかったらしく、怯えながらもその場に留まってたな。その勇気には素直に敬意を表する。
こうして家族に出迎えられて、俺は自分が満たされるのを感じてた。
そして傍らに立つエレクシアにも、
「ご苦労様。いつもありがとうな」
素直に感謝の言葉が出る。
が、エレクシアの方はやっぱり、
「いえ、これが私の役目ですので」
お決まりの反応だ。
でもやっぱりそれがいい。
家族だもんな。愛想よくしてくれなくてもそういうものだって分かる。
そして、いつか来る別れに対しても、こうして満たされているからこそ腹も括れる。
感謝してるからこそ、やりきった、生ききったと感じられれば、『お疲れ様』とも思えるんじゃないかな。
無論これは、俺個人の<死生観>だ。他人も同じように感じる必要はない。
だが、死が避けられないものであるなら、別れが回避できないものであるなら、そのための心構えは持っているに越したことはないとも思うんだ。
その現実と向かい合うことができればこそ、避けようのない死に別れで壊されてしまうことのない幸せを掴むこともできる気がする。
この辺りの感覚は人間と違ってて当然なので、俺としてはもちろん口出しはしないつもりだ。
にしても、なあ……
ともあれ、これで凌もパートナーを見付けられたなら一安心ということでいいんじゃないかと自分に言い聞かせる。
彗にも清良が見付かったことだしな。
そんなわけで、凌のパートナーについては、鈴良と名付けた。
うん、いつもどおりのただの思い付きだ。
仲良くいてくれれば、おじいちゃん、言うことないよ。
と同時に、自分が順調に年齢を重ねていることを実感させられる。
老化抑制処置のおかげで体そのものが衰えたという実感はないものの、それなりの年齢なんだなあとはね。
でもそれは同時に、息子や娘達が年齢を重ねていっているという実感でもある。
まだまだみんな元気なものの、光と灯以外は、たぶん、俺より確実に先に寿命を迎える。俺の勝手で生み出した子達だから俺が看取るのは当然だとしても、やっぱり何だか胸が痛いよ。
という感傷も抱きつつ家に帰る。
すると、
「おかえりなさい」
「おかえり~♡」
「おかえりなさい」
「おかえりなさ~い♡」
「おか~♡」
シモーヌ、灯、光、和、陽が笑顔で迎えてくれた。それで感傷も吹っ飛ぶ。
ああ、いいなあ……
と同時に、今日は、
「おか、えり。おとさん」
順も一緒に出迎えてくれた。ビアンカが家に入ってたからだろう。
しかし、ビアンカが窓を開けて、
「おかえりなさい!」
と声を上げると、ビクッと体を竦ませていた。それでも、光や和や陽や灯を残して家に逃げ帰ることはできなかったらしく、怯えながらもその場に留まってたな。その勇気には素直に敬意を表する。
こうして家族に出迎えられて、俺は自分が満たされるのを感じてた。
そして傍らに立つエレクシアにも、
「ご苦労様。いつもありがとうな」
素直に感謝の言葉が出る。
が、エレクシアの方はやっぱり、
「いえ、これが私の役目ですので」
お決まりの反応だ。
でもやっぱりそれがいい。
家族だもんな。愛想よくしてくれなくてもそういうものだって分かる。
そして、いつか来る別れに対しても、こうして満たされているからこそ腹も括れる。
感謝してるからこそ、やりきった、生ききったと感じられれば、『お疲れ様』とも思えるんじゃないかな。
無論これは、俺個人の<死生観>だ。他人も同じように感じる必要はない。
だが、死が避けられないものであるなら、別れが回避できないものであるなら、そのための心構えは持っているに越したことはないとも思うんだ。
その現実と向かい合うことができればこそ、避けようのない死に別れで壊されてしまうことのない幸せを掴むこともできる気がする。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
162
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる