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新世代

翔編 マスターの働きは

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今回も、アリゼとドラゼのところに寄ってから新しい集落地へと向かう。二機とも相変わらずで、今日も黙々と家を建ててくれてた。

ちなみに、伐採した木をすぐに建材として使うのは本当は好ましくないことは分かってる。

かつては湿気などを抜くために、伐採してから一定期間保管して、状態を安定させた上で建材として加工してたことも、知識としてはある。

ただ、俺達の<家>は、人間社会のそれと違って、百年も二百年ももたせることは目的にしてない。子供達が遊びまわって壊すこともそうだし、壊れたり不具合が出ればその都度直すことが前提になってる。

野生の動物達の<巣>に近いものと認識してるんだ。

だから、長期にわたって品質が変化しないように加工したりはしない。

と言うか、今はまだそこまでやってられない。

いずれここに人間社会が出来上がっていけば、何十年も家をもたせるためにそういう形になって行くかもしれないものの、そこらへんは子孫達の好きにしてもらえばいい。ただ俺としては今のところは、

『家なんて壊れるもの』

って前提で作ってるだけだ。

『壊れたら直せばいい』

ってな。

が、それ自体、エレクシア達が直してくれることを前提にしての話だからなあ。

自分で直すとなれば、やっぱりそうそう壊れてもらっちゃ困るだろうな。

それに関連しての話だと、この辺りは割と地盤も安定しているらしくて地震もこれまで体に感じるものはほとんどなかった。過去に大きな地震があったことを窺わせる痕跡もない。

しかも、標高一千メートルほどの平坦な台地の上だからか、水害や土砂災害もほぼないようだ。無論、ゼロではないだろうが。河が氾濫するくらいのことはあるだろう。家が壊れても直せばいいというのは、これも含めてのことでもある。

一方、光莉ひかり号やコーネリアス号は、デブリが飛び交う宇宙空間を安全に航行できるように作られた宇宙船なので、ハッチさえ閉じてしまえば洪水くらいではびくともしない。

また、おそらく何千キロも離れたところで起こったものと推測される地震波が観測されたりもしたものの、それでもし津波が発生したとしても、当然、ここまでは来ない。

そういう意味でもいい場所に不時着できたな。

とか何とか考えつつ、密林の端まで来たところで、家作りのための木材を確保するために伐採を行う。

で、今回は、コーネリアス号に搭載されていた電動チェーンソーを使って俺も挑む。

これも当然、バッテリーは駄目になってるが、アミダ・リアクターを搭載した俺のローバーから給電しながら使えば問題ない。

でも、

「マスターの働きは計算には入れていませんので、怪我だけしないように注意してくだされば結構です」

と、エレクシアには言われてしまったのだった。

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