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新世代
翔編 止まり木
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とにかく井戸も完成して、日はまだ高いが、今日のところはこれで帰ることにする。
ただ、時間も早いし、アリゼとドラゼの集落に寄ってもうちょっとしっかり確認していこうか。
と思ったら、
「凌…?」
アリゼとドラゼの<家>の屋根の上で、凌が寛いでいた。
と言うのも、アリゼとドラゼが来たばかりの頃は警戒してた凌だったが、取り立てて自分にとって危険な存在じゃないことを察したのか、最近は割と集落の中にまで入ってきて、二機の様子を窺ってるような姿が見られるようになってたんだ。
こうして馴染んでいってくれれば俺としてもありがたい。
なので、
「屋根の上に凌が休める場所を作ってやれないか?」
俺がドラゼに命じると、彼は、黙って敬礼して、すぐさまアリゼと協力して家の横に足場を作り屋根に上って、凌のための<止まり木>を作ってくれた。
それはかつて、凌にとっては祖母に当たる鷹が気に入って<巣>のようにしてた俺のローバーのルーフキャリアの諸元を記憶してたエレクシアからコピーして設計したものだった。
そんなアリゼとドラゼの働き振りを改めて傍で見させてもらう。
正直、作業の速さも精度もエレクシアどころかメイフェアやイレーネにも遠く及ばないものの、人間よりは確実にパワフルで正確だ。<家>の出来を見ても分かってたが、人間の暮らしを支えるマンパワーとしては十分な性能が確保されてるのが改めて確認できたと思う。
すると、ドラゼが屋根に上がってきたのと同時に密林の方に隠れてた凌が、家の上を何度も飛んで、作業の様子を窺ってくる。
自分にとって危険かそうでないかを確かめようとしてるんだろうな。
あと、アリゼとドラゼが敵意を見せないのは分かってるとしても、普段と違う動きをすれば警戒して当然だ。
とは言え、威嚇まではしてこないから、凌としてもそれほど危険を感じてるわけでもないんだろう。
こうしてやっぱり一時間ほどで作業は完了し、伐採した木で再現された<ルーフキャリア型の止まり木>が完成した。
その上でドラゼはそれを掴んで力を掛け、僅かな変形から各部分に掛かる応力を算定して問題がないかどうかをチェックする。
この辺りは、途中に配した無線給電機を中継してアリゼとドラゼを制御してる光莉号のAIが計算したものだから心配はしてない。
いずれは新しく作ったAIをアリゼとドラゼにも搭載して、ある程度の自律行動をしてもらうことになるが、それについてはもう少し先の話だな。
作業を終えたドラゼが足場を伝って屋根を下りると、凌が早速、屋根に降り立って、止まり木の様子を窺いはじめた。
で、どうやら気に入ったらしく、そのままそこで寛ぎ始めたのだった。
ただ、時間も早いし、アリゼとドラゼの集落に寄ってもうちょっとしっかり確認していこうか。
と思ったら、
「凌…?」
アリゼとドラゼの<家>の屋根の上で、凌が寛いでいた。
と言うのも、アリゼとドラゼが来たばかりの頃は警戒してた凌だったが、取り立てて自分にとって危険な存在じゃないことを察したのか、最近は割と集落の中にまで入ってきて、二機の様子を窺ってるような姿が見られるようになってたんだ。
こうして馴染んでいってくれれば俺としてもありがたい。
なので、
「屋根の上に凌が休める場所を作ってやれないか?」
俺がドラゼに命じると、彼は、黙って敬礼して、すぐさまアリゼと協力して家の横に足場を作り屋根に上って、凌のための<止まり木>を作ってくれた。
それはかつて、凌にとっては祖母に当たる鷹が気に入って<巣>のようにしてた俺のローバーのルーフキャリアの諸元を記憶してたエレクシアからコピーして設計したものだった。
そんなアリゼとドラゼの働き振りを改めて傍で見させてもらう。
正直、作業の速さも精度もエレクシアどころかメイフェアやイレーネにも遠く及ばないものの、人間よりは確実にパワフルで正確だ。<家>の出来を見ても分かってたが、人間の暮らしを支えるマンパワーとしては十分な性能が確保されてるのが改めて確認できたと思う。
すると、ドラゼが屋根に上がってきたのと同時に密林の方に隠れてた凌が、家の上を何度も飛んで、作業の様子を窺ってくる。
自分にとって危険かそうでないかを確かめようとしてるんだろうな。
あと、アリゼとドラゼが敵意を見せないのは分かってるとしても、普段と違う動きをすれば警戒して当然だ。
とは言え、威嚇まではしてこないから、凌としてもそれほど危険を感じてるわけでもないんだろう。
こうしてやっぱり一時間ほどで作業は完了し、伐採した木で再現された<ルーフキャリア型の止まり木>が完成した。
その上でドラゼはそれを掴んで力を掛け、僅かな変形から各部分に掛かる応力を算定して問題がないかどうかをチェックする。
この辺りは、途中に配した無線給電機を中継してアリゼとドラゼを制御してる光莉号のAIが計算したものだから心配はしてない。
いずれは新しく作ったAIをアリゼとドラゼにも搭載して、ある程度の自律行動をしてもらうことになるが、それについてはもう少し先の話だな。
作業を終えたドラゼが足場を伝って屋根を下りると、凌が早速、屋根に降り立って、止まり木の様子を窺いはじめた。
で、どうやら気に入ったらしく、そのままそこで寛ぎ始めたのだった。
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