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新世代
翔編 区切り
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何と言うか、ここまでのシモーヌとの関係のような状態が長く続くと、逆に改まって結婚という形にはなりにくいという話は俺も聞いたことがあった。
だからなんとなくずっとこのままいくんだろうなと思ってた。
なのに、ここにきて急に、
『そろそろ、私達もはっきりさせていいんじゃないですか?』
とか言われても……
……ひょっとして俺って、女性関係ではただの朴念仁なのか……?
密達に対してもああだこうだと理屈をこねくり回して態度をはっきりさせてこなかったしな。
ああ、それでフられたのか。
人間社会にいた頃にも何人かの女性と付き合ったことはあったものの、いつも最後は俺がフられる形で終わってた。
当事は、妹のこともあって妹のことばかり気にしてる俺に愛想を尽かしたんだろうなと思ってたが、もしかするとそれ以前の問題だったか。
基本的に女性を相手にすると優柔不断なんだ、俺。
あいたたたた……! まさか、いまさらそんなことに気付かされるとは……
「迷惑ですか……?」
シモーヌに問い掛けられて、
「いや…そういうわけじゃ……」
などとはっきり言葉が出てこない。
と、その瞬間、
パーン!
って感じの音と共に、頭に衝撃が。その上、
「しっかりしなさい! パパ!! 男でしょ!?」
と怒られた。
灯だった。灯が、いつの間に作ったのか<ハリセン>を手にしててそれで俺の頭をはたいたんだ。
『男でしょ!?』
なんて、人間社会でヘタに口にしたら今時<ジェンダーハラスメント>ってことでいろいろ言われることもあるが、ここじゃそれもないからなあ。
でも、ま、シモーヌがそれを望んでて、娘である灯もOKしてるなら、俺が断る理由はないのか。
「そうだな。しっかりしなきゃな」
俺も、シモーヌのことは確かに好きだ。素晴らしい女性だと思う。
というわけで、
「じゃあ、改めてよろしくお願いします」
と頭を下げさせてもらう。するとシモーヌも、
「こちらこそ、よろしくお願いします」
と返してくれた。
新暦〇〇三〇年十二月八日。
そんなこんなで、俺とシモーヌは改めて<夫婦>ということになった。
「おめでとうございます!」
ビアンカも嬉しそうに手を叩いて祝福してくれた。
光も、
「やっと年貢を納めたんだね」
とかなんとか。彼女の性格もあって何も言わなかったが、内心ではヤキモキしてたらしい。
まあ、『結婚した』とは言っても、婚姻届を出す役所もないここじゃ当人同士の気持ちだけの問題なので、家族だけの質素な<結婚式>を執り行っただけだった。
誓いの言葉もない、指輪の交換すらない、本当に形だけの儀式だ。
それでも、気持ちの上で区切りをつけるには丁度いいのか。
が、何度も言うがいまさら<夫婦>と言われても、正直、照れくさいぞ!?
なのに……
「諦めてください。逃げ場はありませんよ」
光莉号のキャビンの中で二人きりになって、俺は、シモーヌに唇を奪われていたのだった。
だからなんとなくずっとこのままいくんだろうなと思ってた。
なのに、ここにきて急に、
『そろそろ、私達もはっきりさせていいんじゃないですか?』
とか言われても……
……ひょっとして俺って、女性関係ではただの朴念仁なのか……?
密達に対してもああだこうだと理屈をこねくり回して態度をはっきりさせてこなかったしな。
ああ、それでフられたのか。
人間社会にいた頃にも何人かの女性と付き合ったことはあったものの、いつも最後は俺がフられる形で終わってた。
当事は、妹のこともあって妹のことばかり気にしてる俺に愛想を尽かしたんだろうなと思ってたが、もしかするとそれ以前の問題だったか。
基本的に女性を相手にすると優柔不断なんだ、俺。
あいたたたた……! まさか、いまさらそんなことに気付かされるとは……
「迷惑ですか……?」
シモーヌに問い掛けられて、
「いや…そういうわけじゃ……」
などとはっきり言葉が出てこない。
と、その瞬間、
パーン!
って感じの音と共に、頭に衝撃が。その上、
「しっかりしなさい! パパ!! 男でしょ!?」
と怒られた。
灯だった。灯が、いつの間に作ったのか<ハリセン>を手にしててそれで俺の頭をはたいたんだ。
『男でしょ!?』
なんて、人間社会でヘタに口にしたら今時<ジェンダーハラスメント>ってことでいろいろ言われることもあるが、ここじゃそれもないからなあ。
でも、ま、シモーヌがそれを望んでて、娘である灯もOKしてるなら、俺が断る理由はないのか。
「そうだな。しっかりしなきゃな」
俺も、シモーヌのことは確かに好きだ。素晴らしい女性だと思う。
というわけで、
「じゃあ、改めてよろしくお願いします」
と頭を下げさせてもらう。するとシモーヌも、
「こちらこそ、よろしくお願いします」
と返してくれた。
新暦〇〇三〇年十二月八日。
そんなこんなで、俺とシモーヌは改めて<夫婦>ということになった。
「おめでとうございます!」
ビアンカも嬉しそうに手を叩いて祝福してくれた。
光も、
「やっと年貢を納めたんだね」
とかなんとか。彼女の性格もあって何も言わなかったが、内心ではヤキモキしてたらしい。
まあ、『結婚した』とは言っても、婚姻届を出す役所もないここじゃ当人同士の気持ちだけの問題なので、家族だけの質素な<結婚式>を執り行っただけだった。
誓いの言葉もない、指輪の交換すらない、本当に形だけの儀式だ。
それでも、気持ちの上で区切りをつけるには丁度いいのか。
が、何度も言うがいまさら<夫婦>と言われても、正直、照れくさいぞ!?
なのに……
「諦めてください。逃げ場はありませんよ」
光莉号のキャビンの中で二人きりになって、俺は、シモーヌに唇を奪われていたのだった。
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