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新世代

翔編 そろそろ、私達も

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シモーヌは、とてもいい<隣人>だ。装いはむしろ地味と言われる系統だと思うがそこはかとない色香も感じさせ、正直、俺の好みにかなり当てはまる女性ではある。

だが、何と言うか、ひそかじんふくようの相手をずっとしてたからか、どうにもそっち方面ではやや枯れてしまった気がしないでもない。なんか、あんまりそういう気になれないんだよ。

ひそか達が積極的で濃密で、言ってしまえば『激しかった』というのもあって、それに付き合ってきたことで満足したというか……

うん、はっきり言って『懲りた』感じかな。今じゃすっかり自分で始末するのが習慣になってしまった。

ただ、その時には、ひそか達との一時ひとときを思い出してというのが定番である。

不思議とシモーヌのことはほとんど頭によぎらないし。

だから、彼女とは今の関係でも別にいいと俺は思ってるんだ。

それに彼女には、<コーネリアス号乗員、秋嶋あきしまシモーヌ>としての記憶があり、しかも、例の不定形生物に取り込まれてからその中で同じコーネリアス号の乗員の男性と結ばれて子供まで生んでるんだから、ある意味では<人妻>でもある。

いや、厳密には彼女はあくまで<コーネリアス号乗員、秋嶋あきしまシモーヌのコピーである別人>なんだけどな。なにしろ、<コーネリアス号乗員、秋嶋あきしまシモーヌ>本人(と言えるかは微妙だが)は今もあの不定形生物の中で生きてるわけで。

これは、ビアンカも同じである。

<不定形生物の中の世界>では、最初の頃こそ同じく不定形生物に取り込まれた三十六人で一緒に暮らしてたものの、やっぱり人間の集団が長く一緒にいるとそれぞれ考え方の違いなどからグループに分かれてしまい、ビアンカはシモーヌとは別のコミュニティに属して、そんなに頻繁に交流はなかったらしい。

別に酷く争ったりはしなかったものの、なんとなく疎遠になってしまったそうだ。

まあ、人間の社会ではよくあることか。

さりとて、シモーヌとビアンカは、個人的には仲も悪くなかったので、ビアンカがこうして群れに加わっても上手くやってくれている。

ここでの生活の上ではシモーヌの方が先輩だし、そういう意味でビアンカを気遣ってくれてるのもあるんだろうが。

ほんと、シモーヌはこの<家庭>における素晴らしい<母親>でもあるよ。素直に尊敬し、感謝してる。

だから余計に、『いまさら』とも思うんだ。









新暦〇〇三〇年十二月七日。



なんて感じで俺が曖昧にしてたら、業を煮やしたあかりが、

「ママ、いい加減、パパとちゃんと結婚したら?」

って、シモーヌに言ったらしい。

すると彼女は、

「いいの? 結婚しても」

あかりに返したとか……

……それってどういう意味だ? おい…!

まさか…?

などと思っていると、

「そろそろ、私達もはっきりさせていいんじゃないですか?」

シモーヌに言われてしまったのだった。

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