746 / 2,566
新世代
翔編 清良
しおりを挟む
こちら側の密林で生きる野生動物としてはマンティアンに次ぐ強さを持つアクシーズではあるものの、野生生物としての生態はまあまあ違ってる。
もちろん強さが魅力の基準にあるのは同じだが、マンティアンほどは強さ一辺倒でもないんだよな。
見た目とか、<優しさ>みたいなものもいくらかは加味されるようだ。
で、何を言いたいかというと、この雌、助けられたことで彗のことが気に入ってしまったらしくてなあ。
まだ若かったこともあってこれまではあまり意識していなかったのが、今回のことでスイッチが入ってしまったのかもしれない。
とは言え、彗にとっては縄張りを荒らす侵入者に過ぎず、その時は、雄が逃げ去った後に雌に対しても、
「シャーッ!!」
と威嚇して、追い払ってしまった。
「こらこら、女性には優しくしないと……」
エレクシアと共に新たな集落候補地に向かっている途中、ローバー内でドローンカメラを通じて一部始終を見ていた俺は、思わずそう呟いてしまった。
が、そんな声が届くわけもなく、加えて人間の感性を当てはめても意味がなく、単に成り行きを見守るしかなかったけどな。
新暦〇〇三〇年十一月三日。
しかしそれから、その雌は、ちょくちょく彗にアプローチをするようになった。
基本的に野生の動物は雄が雌にアピールすることが多いだろうし、アクシーズもそういう場合が多いみたいではあるものの、彗の母親の鷹も彼女の方から俺のことを気に入ってくれたように、雌の方が先に気に入るというのもないわけではなかった。
今回の雌も、かなり彗のことが気に入ったようだ。
が、肝心の彗の方は……
うん、駄目だなこれは。まったく関心を持ってる様子がない。雌が縄張りに侵入すれば容赦なく追い払い、かといって遠くから熱い視線を送っててもまるで無視。
明に対する迫と同じパターンだ。
さりとて、あっちはすでにパートナーがいたが、彗はまだ独り身だ。決して悪い話ではないと思うぞ。その雌の器量も悪くなさそうだし。
そうは言ってもこれも彗本人の問題だしな。これで無理に押し付けようとすれば、あの雄と同じになってしまう。
あ、そうそう、ちなみにあの雄は、ちゃっかり他の雌に粉かけて、そっちは上手くいったようだ。やっぱり単に好みの問題だったか。
だからやっぱりあの雄に魅力がなかったってわけじゃないんだよ。その辺りは勘違いしちゃいけないな。人間の目線では『どうかなあ』って印象だったとしても、それが悪いとは必ずしも限らない。
逆に、傍目には良さそうに見えても当人にとっては迷惑ということもある。
なかなか上手くいかないものだな。
で、ちょっと応援したい気持ちもあって、俺はその雌を、<清良>と名付けた。
凌と菱が被ったこともあって、もうそろそろ二文字の名前でもいいかなと思ったんだ。
もちろん強さが魅力の基準にあるのは同じだが、マンティアンほどは強さ一辺倒でもないんだよな。
見た目とか、<優しさ>みたいなものもいくらかは加味されるようだ。
で、何を言いたいかというと、この雌、助けられたことで彗のことが気に入ってしまったらしくてなあ。
まだ若かったこともあってこれまではあまり意識していなかったのが、今回のことでスイッチが入ってしまったのかもしれない。
とは言え、彗にとっては縄張りを荒らす侵入者に過ぎず、その時は、雄が逃げ去った後に雌に対しても、
「シャーッ!!」
と威嚇して、追い払ってしまった。
「こらこら、女性には優しくしないと……」
エレクシアと共に新たな集落候補地に向かっている途中、ローバー内でドローンカメラを通じて一部始終を見ていた俺は、思わずそう呟いてしまった。
が、そんな声が届くわけもなく、加えて人間の感性を当てはめても意味がなく、単に成り行きを見守るしかなかったけどな。
新暦〇〇三〇年十一月三日。
しかしそれから、その雌は、ちょくちょく彗にアプローチをするようになった。
基本的に野生の動物は雄が雌にアピールすることが多いだろうし、アクシーズもそういう場合が多いみたいではあるものの、彗の母親の鷹も彼女の方から俺のことを気に入ってくれたように、雌の方が先に気に入るというのもないわけではなかった。
今回の雌も、かなり彗のことが気に入ったようだ。
が、肝心の彗の方は……
うん、駄目だなこれは。まったく関心を持ってる様子がない。雌が縄張りに侵入すれば容赦なく追い払い、かといって遠くから熱い視線を送っててもまるで無視。
明に対する迫と同じパターンだ。
さりとて、あっちはすでにパートナーがいたが、彗はまだ独り身だ。決して悪い話ではないと思うぞ。その雌の器量も悪くなさそうだし。
そうは言ってもこれも彗本人の問題だしな。これで無理に押し付けようとすれば、あの雄と同じになってしまう。
あ、そうそう、ちなみにあの雄は、ちゃっかり他の雌に粉かけて、そっちは上手くいったようだ。やっぱり単に好みの問題だったか。
だからやっぱりあの雄に魅力がなかったってわけじゃないんだよ。その辺りは勘違いしちゃいけないな。人間の目線では『どうかなあ』って印象だったとしても、それが悪いとは必ずしも限らない。
逆に、傍目には良さそうに見えても当人にとっては迷惑ということもある。
なかなか上手くいかないものだな。
で、ちょっと応援したい気持ちもあって、俺はその雌を、<清良>と名付けた。
凌と菱が被ったこともあって、もうそろそろ二文字の名前でもいいかなと思ったんだ。
0
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる