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新世代
走・凱編 責任
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走に喰らいつかれた向こうのボスが必死に抵抗する。
しかし、人間よりもはるかに大きく口が開き獲物の首にがっちりと喰らいつくことができるレオンである走の大きな牙は既に頚骨を捉えていた。もう、およそ外せるようなものじゃない。
ごぎり、と骨が噛み砕かれ、相手の体がびくびくと痙攣を始めた。延髄まで断ち切られたことによる断末魔だ。
それと同時に、恵が、ビアンカの登場のショックから先に立ち直り、向こうの群れの雌のリーダーと思しき雌を捉え、こちらも首筋に喰らいついている。
やはりビアンカの存在が大きかった。
彼女を恐れない走ももちろんだが、恵達も彼女の姿を見慣れていたこともあって立ち直りも早く、それが命運を分けたのだろう。
するとビアンカは、走の娘である讃に襲い掛かっていたレオンを蹴り飛ばし、戦局を見極めると同時に投げ捨てた自動小銃を拾い直し、その場を遅れて駆け付けた三機のドーベルマンDK-aに任せて走り去った。
その意味がドローンから送られてくる現場の映像を見ていた俺にも察せられる。
「オオカミ竜か…!」
走達の援護のためにビアンカが野営地から離れたことで、オオカミ竜が移動を始めたんだ。好機とばかりに。そちらの警戒に当たっていたドーベルマンDK-a二機では抑え切れなかった。
ビアンカもそれを察していて、勝敗が決したこちらから、オオカミ竜の迎撃に向かったということだな。
この時、ビアンカは、
『自分が居眠りをしたことで走達を危険に曝した。許せない、自分が!』
と考えていたらしい。
だが、違うぞ。ビアンカ。お前一人に任せた俺の責任だ。
戦うことができない俺は、責任を負うのが役目なんだ。
なんてことは、この事態が収束してからの話だな。
メイフェアかイレーネがメンテナンスに行ってる時ならかなり違ったんだが、えてして厄介事ってのは間の悪い時に起こるもんだ。だからそういう意味でもビアンカに責任はない。
そんな俺達のあれこれにはお構いなしで、オオカミ竜は、凛達が狩りに出ていた畑へと向かっていた。
まったく。一番弱いところを狙ってくるとか、さすがだな。
しかも、ビアンカからは最も遠い場所だ。
ビアンカは懸命に走る。今の自分にとって大切なものを守るために。アラニーズとして生まれたからこそ手に入れた力を使って。
その道行きで、同じように隙を突いて侵入してきたレオンの群れを蹴散らし、凛達のところへと向かう。
この時、すでに凛達はオオカミ竜の群れに遭遇していた。そしてそのオオカミ竜の群れは、二つの群れが一つに合わさった、大きなそれになっていた。以前に衝突した時に片方のボスが倒されたことで合流したんだ。彼らとしても、今は力を合わせた方が確実だというのを本能的に察したのかもしれない。
しかし、人間よりもはるかに大きく口が開き獲物の首にがっちりと喰らいつくことができるレオンである走の大きな牙は既に頚骨を捉えていた。もう、およそ外せるようなものじゃない。
ごぎり、と骨が噛み砕かれ、相手の体がびくびくと痙攣を始めた。延髄まで断ち切られたことによる断末魔だ。
それと同時に、恵が、ビアンカの登場のショックから先に立ち直り、向こうの群れの雌のリーダーと思しき雌を捉え、こちらも首筋に喰らいついている。
やはりビアンカの存在が大きかった。
彼女を恐れない走ももちろんだが、恵達も彼女の姿を見慣れていたこともあって立ち直りも早く、それが命運を分けたのだろう。
するとビアンカは、走の娘である讃に襲い掛かっていたレオンを蹴り飛ばし、戦局を見極めると同時に投げ捨てた自動小銃を拾い直し、その場を遅れて駆け付けた三機のドーベルマンDK-aに任せて走り去った。
その意味がドローンから送られてくる現場の映像を見ていた俺にも察せられる。
「オオカミ竜か…!」
走達の援護のためにビアンカが野営地から離れたことで、オオカミ竜が移動を始めたんだ。好機とばかりに。そちらの警戒に当たっていたドーベルマンDK-a二機では抑え切れなかった。
ビアンカもそれを察していて、勝敗が決したこちらから、オオカミ竜の迎撃に向かったということだな。
この時、ビアンカは、
『自分が居眠りをしたことで走達を危険に曝した。許せない、自分が!』
と考えていたらしい。
だが、違うぞ。ビアンカ。お前一人に任せた俺の責任だ。
戦うことができない俺は、責任を負うのが役目なんだ。
なんてことは、この事態が収束してからの話だな。
メイフェアかイレーネがメンテナンスに行ってる時ならかなり違ったんだが、えてして厄介事ってのは間の悪い時に起こるもんだ。だからそういう意味でもビアンカに責任はない。
そんな俺達のあれこれにはお構いなしで、オオカミ竜は、凛達が狩りに出ていた畑へと向かっていた。
まったく。一番弱いところを狙ってくるとか、さすがだな。
しかも、ビアンカからは最も遠い場所だ。
ビアンカは懸命に走る。今の自分にとって大切なものを守るために。アラニーズとして生まれたからこそ手に入れた力を使って。
その道行きで、同じように隙を突いて侵入してきたレオンの群れを蹴散らし、凛達のところへと向かう。
この時、すでに凛達はオオカミ竜の群れに遭遇していた。そしてそのオオカミ竜の群れは、二つの群れが一つに合わさった、大きなそれになっていた。以前に衝突した時に片方のボスが倒されたことで合流したんだ。彼らとしても、今は力を合わせた方が確実だというのを本能的に察したのかもしれない。
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