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新世代

走・凱編 手伝い

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新暦〇〇二九年五月二十六日。



ビアンカを保護したことで、シモーヌとセシリアとメイフェアとイレーネの<里帰り>はしばらく中断することになった。

まあ、元々、一週間に一回の割合っていうのは特に必要なものでもなかったしな。メイトギアのメンテナンスも、現状の使い方なら一ヶ月に一回の割合で十分だったんだ。

ただ、シモーヌのメンタルを考慮してその頻度にしたというのもある。

が、それももう彼女が今の自分を受け止められてからは必要じゃなくなってたけどな。むしろ、コーネリアス号の工作室で作ったさまざまな物品の輸送が主な目的になってたと言った方がいいかもしれない。

それでも、必ずしもその頻度でなくても大丈夫だった。

現時点では子供達が遊んでても家が壊れることもまだ少ないし、壊れても今あるストックで足りてるし。

だから今はとにかく、ビアンカがここで生活できるようにするのが先だ。

「ビアンカさん、食事ですよ」

そう言って、ひなたを胸にしがみつかせたひかりが食事を持ってきた。

山盛りになった唐揚げとサラダだった。体が大きいから、それを維持する為にビアンカはとにかくよく食べる。五人前くらいは余裕だ。特にタンパク質は大量に必要としてるらしい。

体の構造がヒト蜘蛛アラクネに準じているのなら、実は人間部分の消化器官はあまり機能していないはずで、全体が<食道>のようなものである。実際の消化器官はクモのそれに似た体の方にあるんだ。

なお、前にも言ったが、クモに似ているものの、その体の構造自体はむしろハチやアリに近い。頭・胸・胴の三つに分かれ、胸の部分から六本の足が生えてるのも<昆虫>の特徴だ。

ただし昆虫は外骨格で体を支えているのに対し、昆虫の特徴を持つヒト蜘蛛アラクネやマンティアンは、脊椎動物と同じく内骨格で体を支えている。外骨格に見える部分は、確かに体を支える役目もあるもののむしろ<装甲>としてのそれが主だろう。

そして、内骨格と外骨格の両方で支えているからか、力が強い。と言うか、その強い力を活かせるだけの頑健な体をしてると表現した方がいいか。ヒト蜘蛛アラクネの場合、人間にも見える部分については、人間とさほど変わらないが、それでも力は間違いなく強い。

するとそんな自分の体を理解したのか、

「私も手伝います」

と、自分の<家>を作ってくれているエレクシアとイレーネにそう申し出た。

「ありがとうございます」

人間が本当にそれを望んで言っているのか、それとも社交辞令として言っているだけなのかを察知できるメイトギアは、人間が望んでいるなら遠慮もしないし拒むこともない。そのままビアンカに手伝ってもらうことになった。彼女の為に少々特殊な構造にしつつ強度も確保しないといけないので、俺達の家を作る時よりは時間がかかっていたんだ。

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