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新世代
明編 雷雨
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新暦〇〇二九年五月二十四日。
今日はすごい雷雨だった。さすがに麗も和も陽も怯えてしまってる。麗は新にしがみつき、和と陽は光に抱きついていた。
普段は機械のように冷淡な印象もある玲ですら、いつも以上にイレーネにしっかりとしがみついているようだ。
それどころか、順や新や焔や彩の大人組も部屋の隅で小さくなってた。深と鋭もそれぞれ自分の部屋で体を丸めて防御の姿勢をとってる。
レッド、ブルー、イエローや子供達も軒下で固まって動かない。
光と灯くらいだな。平然としてたのは。ここには雷が落ちないことを知ってるから、音がどんなに大きくても怯える必要はないのが分かってるからな。
が、
どががががんっっ!!って感じの爆音のようなのが響き家がびりびりと振動すると、灯が、
「うわっ!」
と声を上げて体を竦ませる。
これは光やシモーヌも同じだった。と言う俺も、
「うおっ!?」
と身構えてしまう。この辺りはやはり生物としての本能的な反応だろうな。とてつもない音がすると、反射的に危険に備えてしまうんだ。
雷雨自体は別に珍しくない。落雷があったからって必ず例の不定形生物由来の動物が発生する訳でもない。かなり複雑な条件が絡み合って初めてそうなるみたいだし。
しかしそれでも、『もしかすると……』とは思ってしまう。
今回も割と近いところで大きな落雷があり、ドローンの何機かがその影響で故障したようだった。しかもまた、河にも落雷があったようだし。
一時間ほどしてようやく雷が収まってくると、
「ふう…」
と思わず溜息をついてしまった。
「今回もすごかったですね」
シモーヌが髪を整えながら話しかけてきた。
タブレットを通じて、
「いや~、さすがに怖かったよ」
灯も声を上げる。その画面の隅では、光が和と陽と順をなだめている様子も見えた。
子供達はともかく順については『情けない』と見る向きもあるかもしれないが、実感として危険がないことをまだ理解できてないからな。無理もないだろう。何しろ誉でさえ、蒼や命や子供達と抱き合って守るような姿を見せつつもやっぱり怯えてはいたし。
それでも、雷雨が収まれば元通りだ。
「状況は?」
エレクシアに損害確認を求める。
「落雷の影響でドローン三機をロスト。四機に重大なエラーが生じています。母艦ドローンを回収に向かわせました」
との報告だった。
「ありがとう。人的被害はないんだな?」
「現時点では確認できていません」
「そうか。もし何かあったら知らせてくれ」
今日はすごい雷雨だった。さすがに麗も和も陽も怯えてしまってる。麗は新にしがみつき、和と陽は光に抱きついていた。
普段は機械のように冷淡な印象もある玲ですら、いつも以上にイレーネにしっかりとしがみついているようだ。
それどころか、順や新や焔や彩の大人組も部屋の隅で小さくなってた。深と鋭もそれぞれ自分の部屋で体を丸めて防御の姿勢をとってる。
レッド、ブルー、イエローや子供達も軒下で固まって動かない。
光と灯くらいだな。平然としてたのは。ここには雷が落ちないことを知ってるから、音がどんなに大きくても怯える必要はないのが分かってるからな。
が、
どががががんっっ!!って感じの爆音のようなのが響き家がびりびりと振動すると、灯が、
「うわっ!」
と声を上げて体を竦ませる。
これは光やシモーヌも同じだった。と言う俺も、
「うおっ!?」
と身構えてしまう。この辺りはやはり生物としての本能的な反応だろうな。とてつもない音がすると、反射的に危険に備えてしまうんだ。
雷雨自体は別に珍しくない。落雷があったからって必ず例の不定形生物由来の動物が発生する訳でもない。かなり複雑な条件が絡み合って初めてそうなるみたいだし。
しかしそれでも、『もしかすると……』とは思ってしまう。
今回も割と近いところで大きな落雷があり、ドローンの何機かがその影響で故障したようだった。しかもまた、河にも落雷があったようだし。
一時間ほどしてようやく雷が収まってくると、
「ふう…」
と思わず溜息をついてしまった。
「今回もすごかったですね」
シモーヌが髪を整えながら話しかけてきた。
タブレットを通じて、
「いや~、さすがに怖かったよ」
灯も声を上げる。その画面の隅では、光が和と陽と順をなだめている様子も見えた。
子供達はともかく順については『情けない』と見る向きもあるかもしれないが、実感として危険がないことをまだ理解できてないからな。無理もないだろう。何しろ誉でさえ、蒼や命や子供達と抱き合って守るような姿を見せつつもやっぱり怯えてはいたし。
それでも、雷雨が収まれば元通りだ。
「状況は?」
エレクシアに損害確認を求める。
「落雷の影響でドローン三機をロスト。四機に重大なエラーが生じています。母艦ドローンを回収に向かわせました」
との報告だった。
「ありがとう。人的被害はないんだな?」
「現時点では確認できていません」
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