未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

新世代

明編 角

新暦〇〇二八年九月二十五日。



その日も迫さくは、明めいの姿を求めて縄張りへと侵入してきた。必ずしも遭遇できるわけじゃないが、それは迫さくも分かってるだろう。

ただこの日は、明めいに会えないだけじゃなかった。

迫さくの前に現れたのは、明めいではなく角かくだった。

「マズい……！」

ここまでは、相手が明めいだったから迫さくは生き延びられた。彼女に勝てない彼が角かくを相手にして勝てる道理がない。

「角かくを止めろ！」

本来なら、俺の家族じゃない迫さくを守る理由はなかった。ぎりぎり、明めいのパートナーである角かくまでだ。だから、近付いてるのは分かってたが、出くわさない可能性の方が高いから敢えてそのままにしていた。

のはずだった。だがこの時の俺は、迫さくを守るために咄嗟にそう命じてしまった。

名前まで付けてここまで見続けていたことで、情が移ってしまったんだろうな。

まったく…俺は本当にいい加減な奴だよ……

だが、そんな俺の想いは、角かくには届かなかった。

これまでにも何度もドローンに邪魔をされてきた角かくは、その対処法をすっかり承知してしまったようだ。

自分に接近してくるドローンを先に叩き落とした上で、迫さくに迫る。近くにいた他のドローンを向かわせる前に、既に戦いは始まってしまっていた。

「くそっ！」

つい声を出してしまった俺だったが、しかしこの時、迫さくは一撃ではやられていなかった。

それどころか逆に、角かくの脇腹に右膝を叩きこんでいるところだった。何事かと思ったが、すぐにピンときた。

「明めいの戦い方か……！？」

そうだ。ここまで何度も明めいに撃退されたことで、彼女の戦い方を学んだらしい。

さすがに抜け目ないな。

しかし、思わぬ反撃に角かくも面食らったようではあったものの、彼も何度も明めいの戦いぶりは見てきてるので、それと同じものだというのはすぐに察したようだった。

そうなればもう、角かくの方が経験も地力も上だった。迫さくの反撃によってドローンは間に合ったが、その突撃を意にも介さずに、角かくの鎌は迫さくを捕らえ、動きを封じたところで、彼の顔面に、でかいハンマーのような頭突きを食らわせた。

ガゴンッ！！

と、およそ生物同士がぶつかったとは思えない音が響き、がくんと迫さくの膝が折れた。脳震盪を起こしたのだろう。

「くそっ！」

迫さくを見下ろす角かくの目には、冷徹な殺意が込められているのが俺にも分かってしまった。

さらにドローンを突撃させるが、角かくにとってそれは蚊が刺したほどのダメージにもならないことはもう悟られてしまっている。

止める手段はもうなかった。

角かくは少しも躊躇することなく、朦朧となった迫さくの顔を上に向かせると、もう一度、今度は思い切り体重を乗せて、

ガゴキャッッッッ！！！

と、頭を叩きつけたのだった。