516 / 2,381
新世代
誉編 新しい家
しおりを挟む
新暦〇〇二八年三月十六日。
しかし、そうやって多少の不安を感じることはあっても日々はすごく穏やか(俺にとっては)過ぎていくので、すぐに押し流されてしまう。
なにしろ、和が自分で歩けるようになったと思ったらすぐに走れるようになって、さっそく家の中をどたばたと走り回るようになったりもしたしな。
仮設の家の方ははっきり言って狭すぎてロクに遊べないし、雨が降ったりした時には<母屋>の方で遊んでもらったりするんだが、ガッと柱にしがみついたと思ったらそれをするすると上り、梁を自在に行き交ったり。
もっとも、足の形が人間のそれなので、手とよく似た形になっているパパニアンに比べるとまだどこか頼りなくて危なっかしい印象もある。
だがそれ以上に問題なのが、焔と彩がイチャイチャしているところの周りでまで走り回るので、
「があっ!!」
と焔に一喝されてしまったりってことだ。
それでも、元々の気性なんだろうな。まるで懲りる様子もなく、和はやはり元気に家の中を走り回っていた。
俺としてはただただ微笑ましい光景なんだが、自分のパーソナルスペースを侵されていると感じているのか、焔が明らかにイライラしてきている。
「これはマズいかもしれないな……」
さすがに家族と言えどその辺りの住み分けの徹底は必要だと感じ、
「よし、光と和と順のためのちゃんとした家を建てるか」
と決断した。
俺がそう決めれば、エレクシアは躊躇わない。
俺達の<縄張り>であり、ドーベルマンDK-aが常に巡回してることから他の動物達はほとんど寄り付かない密林の一部を、イレーネと共に伐採、根も掘り起こして整地し敷地を広げ、グンタイ竜が襲撃してきた際にそれを利用して迎撃した<身を隠すもののない空間>を確保、その上で、仮設の家を取り込む形で新しい<家>を建てた。
今の家を建て、それを維持してきたノウハウを活かし、かつエレクシアとイレーネの二機体制と、敷地を広げている間にセシリアがコーネリアス号との間で部材を休みなくピストン輸送してくれたおかげもあって僅か四日で建てられた<新しい家>は、内装こそこれから順次手を加えていくことになるものの、建築物としては俺のそれよりもさらにちゃんとしたものになっていた。
正直、複雑な気持ちもないわけじゃないが、家族が増えた象徴だ。ここは素直に喜びたいと思う。
すると、密林の中から、俺達の様子を窺ってる気配が伝わってきた。敷地を拡げてる時から既にそうだったんだが、誉達だ。
誉達が、『何事か?』と偵察しに来てたんだろう。轟と昴の姿も見える。今や誉の群れの<突撃隊長>とその<部下>だからな。有事の際には必要不可欠だ。
なんてこともありつつ、俺達家族の新しい生活が始まったのだった。
しかし、そうやって多少の不安を感じることはあっても日々はすごく穏やか(俺にとっては)過ぎていくので、すぐに押し流されてしまう。
なにしろ、和が自分で歩けるようになったと思ったらすぐに走れるようになって、さっそく家の中をどたばたと走り回るようになったりもしたしな。
仮設の家の方ははっきり言って狭すぎてロクに遊べないし、雨が降ったりした時には<母屋>の方で遊んでもらったりするんだが、ガッと柱にしがみついたと思ったらそれをするすると上り、梁を自在に行き交ったり。
もっとも、足の形が人間のそれなので、手とよく似た形になっているパパニアンに比べるとまだどこか頼りなくて危なっかしい印象もある。
だがそれ以上に問題なのが、焔と彩がイチャイチャしているところの周りでまで走り回るので、
「があっ!!」
と焔に一喝されてしまったりってことだ。
それでも、元々の気性なんだろうな。まるで懲りる様子もなく、和はやはり元気に家の中を走り回っていた。
俺としてはただただ微笑ましい光景なんだが、自分のパーソナルスペースを侵されていると感じているのか、焔が明らかにイライラしてきている。
「これはマズいかもしれないな……」
さすがに家族と言えどその辺りの住み分けの徹底は必要だと感じ、
「よし、光と和と順のためのちゃんとした家を建てるか」
と決断した。
俺がそう決めれば、エレクシアは躊躇わない。
俺達の<縄張り>であり、ドーベルマンDK-aが常に巡回してることから他の動物達はほとんど寄り付かない密林の一部を、イレーネと共に伐採、根も掘り起こして整地し敷地を広げ、グンタイ竜が襲撃してきた際にそれを利用して迎撃した<身を隠すもののない空間>を確保、その上で、仮設の家を取り込む形で新しい<家>を建てた。
今の家を建て、それを維持してきたノウハウを活かし、かつエレクシアとイレーネの二機体制と、敷地を広げている間にセシリアがコーネリアス号との間で部材を休みなくピストン輸送してくれたおかげもあって僅か四日で建てられた<新しい家>は、内装こそこれから順次手を加えていくことになるものの、建築物としては俺のそれよりもさらにちゃんとしたものになっていた。
正直、複雑な気持ちもないわけじゃないが、家族が増えた象徴だ。ここは素直に喜びたいと思う。
すると、密林の中から、俺達の様子を窺ってる気配が伝わってきた。敷地を拡げてる時から既にそうだったんだが、誉達だ。
誉達が、『何事か?』と偵察しに来てたんだろう。轟と昴の姿も見える。今や誉の群れの<突撃隊長>とその<部下>だからな。有事の際には必要不可欠だ。
なんてこともありつつ、俺達家族の新しい生活が始まったのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
162
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる