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幸せ
紡がれる命(それが自然の営みか)
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シモーヌと灯が家のことをしてくれてる間に、いつものようにあれこれ考えている俺が何をしているかと言うと、実はただ密の相手をしてるだけなんだよな。
と言うか、完全にそれが俺の<仕事>ってことになってる。
こう言うと、いかにも怠ける為の言い訳に聞こえるかもしれないが、本当にそうなんだ。
人生の終焉が見えた密が穏やかにその時を迎えられるようにと、シモーヌも灯も俺が彼女の相手をするべきだと思ってくれてるんだ。
それは、俺にしかできないことだからって。密が俺を必要としてるからって。
なんとなく申し訳ないような気分もありつつも、俺は言われた通りに密と一緒に過ごす。
すると彼女も、自分の順番が巡ってこようとしてるのを悟ったかのように、俺に甘えてくる。
「密……」
彼女の柔らかい体毛を感じながら、俺も彼女の頬に俺の頬を寄せた。
「あたたかい……あたたかいな、密は……」
そう遠くないうちにこれが失われるんだという事実。それを思うとまた胸が締め付けられそうになる。
と、その時、
「……!」
俺は気配を感じて光莉号の方を見た。
「光、順……」
光と順だった。ほんのりと頬が上気した光が順の手を取って、階段を下りてくる。
順の方は、なんだか少し疲れたような眠そうな表情をしていた。
目覚めてから三時間。病み上がりにこれだけたっぷりと睦み合ったら疲れて当然か。
もっとも、光の方はむしろ艶々してる気がしないでもないが。心も体も満たされた女性の艶っぽさとでも言えばいいのか。
「お姉ちゃん! どうだった!?」
光に気付いた灯が大声でそんなことを訊いてくる。
さすがにそれには光もカアッと顔が赤くなるのが分かった。なのに、小さくガッツポーズをとりながら軽く頷いてみせる。
もうそれだけで察せられてしまった。上手くいったんだな。
これで妊娠するかどうかまではさすがに分からないが、とにかく命を次につなげる営みが始まったことは確かだ。
こんなところでこんな状況で子供をつくることを『無責任だ!』という人間もいるかもしれない。
だが、本当に何の心配もない、すべてが安心できる世界なんて、たぶん、これまで一度もなかったんじゃないかな。そんな中でも人間は子供を産み育ててきたからこそ、『無責任だ!』などと言う奴だって生まれてこれたんだ。
自分がこの世界に満足できてないからって他人が子供を持とうとすることを『無責任だ』などと言うことの方がよっぽど無責任だと俺は思うんだよな。
俺自身が子を持つ親として。
そして、『死んだ方がマシだ』と思えるような苦しい人生を送ってきた時期もある者として、な。
と言うか、完全にそれが俺の<仕事>ってことになってる。
こう言うと、いかにも怠ける為の言い訳に聞こえるかもしれないが、本当にそうなんだ。
人生の終焉が見えた密が穏やかにその時を迎えられるようにと、シモーヌも灯も俺が彼女の相手をするべきだと思ってくれてるんだ。
それは、俺にしかできないことだからって。密が俺を必要としてるからって。
なんとなく申し訳ないような気分もありつつも、俺は言われた通りに密と一緒に過ごす。
すると彼女も、自分の順番が巡ってこようとしてるのを悟ったかのように、俺に甘えてくる。
「密……」
彼女の柔らかい体毛を感じながら、俺も彼女の頬に俺の頬を寄せた。
「あたたかい……あたたかいな、密は……」
そう遠くないうちにこれが失われるんだという事実。それを思うとまた胸が締め付けられそうになる。
と、その時、
「……!」
俺は気配を感じて光莉号の方を見た。
「光、順……」
光と順だった。ほんのりと頬が上気した光が順の手を取って、階段を下りてくる。
順の方は、なんだか少し疲れたような眠そうな表情をしていた。
目覚めてから三時間。病み上がりにこれだけたっぷりと睦み合ったら疲れて当然か。
もっとも、光の方はむしろ艶々してる気がしないでもないが。心も体も満たされた女性の艶っぽさとでも言えばいいのか。
「お姉ちゃん! どうだった!?」
光に気付いた灯が大声でそんなことを訊いてくる。
さすがにそれには光もカアッと顔が赤くなるのが分かった。なのに、小さくガッツポーズをとりながら軽く頷いてみせる。
もうそれだけで察せられてしまった。上手くいったんだな。
これで妊娠するかどうかまではさすがに分からないが、とにかく命を次につなげる営みが始まったことは確かだ。
こんなところでこんな状況で子供をつくることを『無責任だ!』という人間もいるかもしれない。
だが、本当に何の心配もない、すべてが安心できる世界なんて、たぶん、これまで一度もなかったんじゃないかな。そんな中でも人間は子供を産み育ててきたからこそ、『無責任だ!』などと言う奴だって生まれてこれたんだ。
自分がこの世界に満足できてないからって他人が子供を持とうとすることを『無責任だ』などと言うことの方がよっぽど無責任だと俺は思うんだよな。
俺自身が子を持つ親として。
そして、『死んだ方がマシだ』と思えるような苦しい人生を送ってきた時期もある者として、な。
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