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幸せ
死生観について(改めて考える)
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新暦〇〇二三年九月九日。
<死>が決して避けられないものであるならば、いっそそれも、<自身の状態の一つ>と捉えることはできないだろうか?
……無理だな。人間はそんな風に割り切れる生き物じゃない。
刃のことも鷹のことも連のことも、割り切るなんてできはしない。
ただ、そう考えようとすることで少しでも自分を納得させようと努力をするだけならできるのかもしれないが。
それに、苦しんで泣き叫んで後悔の中で死んでいくような姿でなければ、まだしもというのもありそうな気はする。
だから、穏やかに眠るように息を引き取った刃と鷹のことはまだいいんだ。
連については、あの子は生まれてくること自体ができなかったからな……どうにもこうにも気持ちの落としどころが難しい。
ただ、その分、交と環は健やかに育ってくれた。それについては感謝しかないよ。
むしろこの世界で俺の家族の多くが無事でいることの方が奇跡みたいなものか。
本当ならもっと亡くなってるのが出てるのが普通なんだろうし。
こうやって穏やかに見送れてるんだから恵まれてるんだ。
と、思うことにしよう。
……でも、これについてはそれこそ堂々巡りだな。割り切れる筈もないし。
それでも考え続けるさ。
幸せな最期を迎える為に。やることはやったと思える最期を迎える為に。
俺がそんなことを考えてる間にも日々は過ぎていく。今日は俺とシモーヌとエレクシアのチームAが調査に出る日だ。
蛮の件や鷹のことがあって予定は大幅に狂ってしまったが、まあ別にいいだろう。何度も言うように絶対に必要なことでもない。
加えて、蛮の縄張りを中心に調査を後回しにしてるのだって。ヒト蜘蛛の寿命はそれこそ三十年弱というデータがある。しかも生物としての寿命をまっとうする個体は稀だしな。
「しかし、本当に来るたびに新しい生き物が見付かるな」
ある程度の大きさの動物についてはだいたい把握できたと思っているが、鳥やトカゲ的な小動物や昆虫は元々種類も多いし、植物に至ってはそれこそまったくキリがない。
「そうですね。なにしろ地球でさえ、いまだに一年に数種類の新種が発見されるそうですから、こんな未知の惑星ならそれこそ新種が見付からない日があるのがおかしいレベルでしょう」
シモーヌは学者らしく自分がそれを発見できる喜びにうっきうきで毎日が楽しくて仕方ないらしい。そもそもこうやって調査に出るまでもなく、家の周囲でもいまだに新しい生物が見付かるしな。
って…!
「!?」
その時、俺はハッとなって銃を構えた。視界の隅に捉えたものがあったからだ。
が、そんな俺よりはるかに速く、エレクシアが<それ>を撃退していた。
真っ黒な影が逃げ去っていくのが分かる。
「アサシン竜か…」
と、俺は呟いていたのだった。
<死>が決して避けられないものであるならば、いっそそれも、<自身の状態の一つ>と捉えることはできないだろうか?
……無理だな。人間はそんな風に割り切れる生き物じゃない。
刃のことも鷹のことも連のことも、割り切るなんてできはしない。
ただ、そう考えようとすることで少しでも自分を納得させようと努力をするだけならできるのかもしれないが。
それに、苦しんで泣き叫んで後悔の中で死んでいくような姿でなければ、まだしもというのもありそうな気はする。
だから、穏やかに眠るように息を引き取った刃と鷹のことはまだいいんだ。
連については、あの子は生まれてくること自体ができなかったからな……どうにもこうにも気持ちの落としどころが難しい。
ただ、その分、交と環は健やかに育ってくれた。それについては感謝しかないよ。
むしろこの世界で俺の家族の多くが無事でいることの方が奇跡みたいなものか。
本当ならもっと亡くなってるのが出てるのが普通なんだろうし。
こうやって穏やかに見送れてるんだから恵まれてるんだ。
と、思うことにしよう。
……でも、これについてはそれこそ堂々巡りだな。割り切れる筈もないし。
それでも考え続けるさ。
幸せな最期を迎える為に。やることはやったと思える最期を迎える為に。
俺がそんなことを考えてる間にも日々は過ぎていく。今日は俺とシモーヌとエレクシアのチームAが調査に出る日だ。
蛮の件や鷹のことがあって予定は大幅に狂ってしまったが、まあ別にいいだろう。何度も言うように絶対に必要なことでもない。
加えて、蛮の縄張りを中心に調査を後回しにしてるのだって。ヒト蜘蛛の寿命はそれこそ三十年弱というデータがある。しかも生物としての寿命をまっとうする個体は稀だしな。
「しかし、本当に来るたびに新しい生き物が見付かるな」
ある程度の大きさの動物についてはだいたい把握できたと思っているが、鳥やトカゲ的な小動物や昆虫は元々種類も多いし、植物に至ってはそれこそまったくキリがない。
「そうですね。なにしろ地球でさえ、いまだに一年に数種類の新種が発見されるそうですから、こんな未知の惑星ならそれこそ新種が見付からない日があるのがおかしいレベルでしょう」
シモーヌは学者らしく自分がそれを発見できる喜びにうっきうきで毎日が楽しくて仕方ないらしい。そもそもこうやって調査に出るまでもなく、家の周囲でもいまだに新しい生物が見付かるしな。
って…!
「!?」
その時、俺はハッとなって銃を構えた。視界の隅に捉えたものがあったからだ。
が、そんな俺よりはるかに速く、エレクシアが<それ>を撃退していた。
真っ黒な影が逃げ去っていくのが分かる。
「アサシン竜か…」
と、俺は呟いていたのだった。
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