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幸せ

凛の選択(本人次第か)

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「やっぱり……錬是れんぜさんも気付いたんですね……」

コーネリアス号から帰ってきたシモーヌに、ようのことで俺が気付いたことを伝えると、彼女からそう返答があった。

さすがに学者なだけあって、彼女も気付いていたらしい。

「私からは憚られると思って言わなかったんですが、確かに活動レベルが下がっているのは分かっていました。遺伝子解析の結果から見ても非常に妥当な線だと思います…」

「そうか……エレクシアも当然、気付いてたんだよな?」

いきなり話を振っても、まるで慌てる様子もなく、俺とシモーヌの傍らで待機していたエレクシアは、

「はい。訊かれませんでしたのでお伝えしていませんでしたが。また、身体的な老化のレベルから見れば十分に健康です」

とのことだった。

「そうか。ありがとう……」

なら、いよいよ心構えをしておかないといけないな。

だからようのことについては、もう、それでいい。いつか来ることなんだから、言っても詮無いことだと思う。そこで、

ようのことも気になるが、りんの様子はどうだった?」

と、もう一つ気になっていたことを確認する。

「はい、最初は、今までと全く違う環境に少し戸惑っていましたが、すぐに慣れて気持ちよさそうに走り回っていました。しかも、しばらくすると寝てしまったんです。でも、寝られるということがその環境に対して順応できているということでもありますし、もしかすると草原の方が彼女には向いているのかもしれませんね」

「そうか。そう達とも上手くやれそうかな」

それも気になることだった。まあ、上手くやれるも何も、いくら兄妹とはいえ、巣立ってからでは基本的にライバルだから、単に親心として、

『できれば殺し合いになるようなことは避けてほしい』

というだけの話なんだが。

するとシモーヌは、

「私もそれが心配だったので、イレーネと初号機と弐号機を挟んで、距離を置いての顔見せに留めておきました」

と答えてくれた。こちらも学者ならではの気遣いだ。その上で、

「やっぱり最初のうちはお互いに警戒している様子が見えましたが、そうかいが自分の妹だと気付いてからは、そんなに気にしないようになったみたいです。

ただ、りんの方から群れに合流する気はないみたいですね」

「じゃあ、取り敢えずまだもうしばらくは様子見ってところか」

「はい。まず彼女が本当に草原で暮らすことを選ぶかどうかも確かではありません。次にコーネリアス号に行く時についてくるかどうかがまず第一関門ですね」

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