362 / 2,554
幸せ
優秀であるが故に(ついつい頼りたくなってしまう)
しおりを挟む
いつもの如く話が逸れてしまったが、今では存外、ロボットは人間を甘やかしてはくれないんだ。見捨てることはしないが、ひたすら甘やかすこともしない。その為もあって、下手に感情を与えないようにしてるというのもあるらしい。感情があると、どうしてもメイフェアのようについ過剰に干渉しようとしてしまう傾向が現れるみたいだな。
まあ、気持ちは分かる気がする。俺だってエレクシアを使ってあらゆる厄介事から家族を守りたいと思ってしまうし。でも、たぶんそれは違うんだろうな。もちろん、今、俺達の<家>に住んでる家族を守るのは当然だとしても、巣立っていった子供達全員を同じように守ることはできない。エレクシアとイレーネとで手分けしたとしても、全員は守り切れない。
だから、本来なら自力で何とかすること、何とかできる可能性の高いものについては自力で何とかしてもらうべきだと考えたんだ。
走達を蛟から守った事例を、ボーダーラインとしてな。
そもそも蛟の出現がイレギュラーなものだし、あいつは生物としては異常過ぎた。シモーヌがあれからも詳細に解析してくれてるが、そもそも肉体の構造に無理があり、最初からあまり長くは生きられない状態だったらしい。
だとしたらなおさら、俺の家族をくれてやる訳にはいかなかったな。
まあそれはそれとして、王の話でもそうだったが、人間は<すべて>を求めるには強すぎるんだ。欲求も、願望も、そして力も。
『誰かを守りたい』という気持ちは尊いし大切だが、それを無制限に発揮すると<過干渉>という形でかえって状況を悪化させることがあるのもまた事実だろう。せっかく自分の力で生きていけるようになった誉を堕落させるのは決して好ましいこととは思えない。
そんなこんなで、申し訳ないがメイフェアには今後も自重してもらうことになる。
「だが、命の危険があるとなれば、その時はもちろん助けてやってくれ」
「はい、もちろんです!」
はきはきとしたメイフェアの返事に、少しあどけないものも感じてしまって、『可愛いな』とも思ってしまった。外見上はモデルのようなすらっとした大人の女性なんだが、感情の表し方が子供っぽくもある。そのアンバランスさも、彼女の魅力の一つなんだろう。
グンタイ竜の女王の件の時にはそのあどけないまでの感情が危うさの原因にもなってたが、さすがにその経験から彼女も学んでいる。
今のロボットに搭載されているAIは、自らの経験から学習するということもできるんだ。
下手な人間よりよっぽど優秀だが、優秀であるが故に人間の方が甘えてしまいがちになるのも事実だな。
まあ、気持ちは分かる気がする。俺だってエレクシアを使ってあらゆる厄介事から家族を守りたいと思ってしまうし。でも、たぶんそれは違うんだろうな。もちろん、今、俺達の<家>に住んでる家族を守るのは当然だとしても、巣立っていった子供達全員を同じように守ることはできない。エレクシアとイレーネとで手分けしたとしても、全員は守り切れない。
だから、本来なら自力で何とかすること、何とかできる可能性の高いものについては自力で何とかしてもらうべきだと考えたんだ。
走達を蛟から守った事例を、ボーダーラインとしてな。
そもそも蛟の出現がイレギュラーなものだし、あいつは生物としては異常過ぎた。シモーヌがあれからも詳細に解析してくれてるが、そもそも肉体の構造に無理があり、最初からあまり長くは生きられない状態だったらしい。
だとしたらなおさら、俺の家族をくれてやる訳にはいかなかったな。
まあそれはそれとして、王の話でもそうだったが、人間は<すべて>を求めるには強すぎるんだ。欲求も、願望も、そして力も。
『誰かを守りたい』という気持ちは尊いし大切だが、それを無制限に発揮すると<過干渉>という形でかえって状況を悪化させることがあるのもまた事実だろう。せっかく自分の力で生きていけるようになった誉を堕落させるのは決して好ましいこととは思えない。
そんなこんなで、申し訳ないがメイフェアには今後も自重してもらうことになる。
「だが、命の危険があるとなれば、その時はもちろん助けてやってくれ」
「はい、もちろんです!」
はきはきとしたメイフェアの返事に、少しあどけないものも感じてしまって、『可愛いな』とも思ってしまった。外見上はモデルのようなすらっとした大人の女性なんだが、感情の表し方が子供っぽくもある。そのアンバランスさも、彼女の魅力の一つなんだろう。
グンタイ竜の女王の件の時にはそのあどけないまでの感情が危うさの原因にもなってたが、さすがにその経験から彼女も学んでいる。
今のロボットに搭載されているAIは、自らの経験から学習するということもできるんだ。
下手な人間よりよっぽど優秀だが、優秀であるが故に人間の方が甘えてしまいがちになるのも事実だな。
0
お気に入りに追加
174
あなたにおすすめの小説
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる