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幸せ

何もかも分かってる(と考えるのは)

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新暦〇〇二二年八月二十四日。



俺も、<言葉>としては通じてないが、ほむら達の言ってることについては感覚的に何となく察してたこともあって、細かいことについてはあまり気にしたことがなかった。ひかり達が通じ合ってることについても、『まあ、姉弟だもんな』くらいにしか思ってなかったからな。

しかし改めてそれぞれの<言語>として考えてみると、いろいろあるんだってことが分かる。

あらたりんのことがなければ、詳しい事情についても詮索しようとは思わなくて、ずっと何となくでそのままにしてたかもしれない。

気になることはとことん気にするが、そうじゃないことについてはまるで頓着しないのも俺の性分だ。

まあ、表情とか仕草を見てれば、だいたい分かるし。そもそも言葉で会話する必要性も感じてなかったし。

それにしても、まさかあらたりんにそういうすれ違いが生まれるというのは意外だった。

こういうのは、お互いに割と我の強そうなほむらさいの間で起きそうだなと思ってたというのも、正直言ってある。あらたりんは、どちらも相手を気遣ってる風にも見えてたんだ。

やっぱり、分かってるようでいて分かってない部分というのもあるのが当然か。家族とはいえ、俺はあらたじゃないし、あらたは俺じゃない。

たとえ家族であっても、『何もかも分かってる』と考えるのは思い上がりだというのを痛感させられるよ。

それも含めて、

あらたりんのことについては、敢えて口出ししないようにと思うんだが、どうだろうか?」

と、みんなの前で提案させてもらう。こればかりは本人同士の問題だと、俺も思うし。

「そうですね。基本的にはそれでいくしかないと思います」

シモーヌがそう応えると、ひかりあかりも続けて、

「私もそれでいいと思う」

「私はまだそういうのよく分かんないしね」

と応えてくれた。

ただ……

「ただ、もし、二人が俺達を頼ろうとした時には、応えてあげたいと思う」

とも、俺は付け加えた。

そうだ。いくら二人の問題だからって、頼ってきた時にまで『そんなのお前らで勝手に何とかしろ』と突き放すのも違うと思うんだ。

もっとも、人間みたいに、『お父さん、あのね、相談があるんだけど…』って感じでは言ってこないだろう。来るとしたら、甘えるみたいに近寄ってくる感じか。

で、そんな俺の予感は的中した。







新暦〇〇二二年八月二十八日。



俺が調査のデータの整理をしてると、りんが、甘えるように俺にすり寄ってきて、膝に頭を乗せた。

小さい頃には時々そうしてたが、あらたとの仲が深くなってからはずっとあらたに甘えてたからな。それが甘えられなくなって、俺のところに来た感じか。

ふくは、寝てる時に甘えようとすると『しっ、しっ、あっち行け』って感じであしらうんだよな。

まあそれは、たとえ親子といえど成体になればお互いに餌を奪い合う<ライバル>にもなる野生である以上は、無理もないだろう。もとより肉食の猛獣だし。

人間とは違うんだ。

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