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幸せ

灯もちゃんと(考えてたんだな)

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新暦〇〇二二年七月二十八日。



じゅんと出逢ったばかりの頃、ひかりよりずっと仲がいいように見えたあかりは、ひかりじゅんのことを<パートナー候補>として見てるのを、本音ではどう思ってるんだろうか。

と言っても、苛立ったりとかヤキモチ妬いたりだとかしてないのは、その表情や仕草を見てるだけでも分かる。不愉快そうな顔をするでもなく、それどころかひかりじゅんに絵本を読み聞かせてやっている様子を見ている時の表情は、明らかに嬉しそうなんだ。

これは、俺が、普段からあかりの表情を見てたからこそ分かるんだと思う。いくら平気なフリをしたって、とぼけてたって、機嫌が悪い時はどうしても微妙に表情が違う。

よく、『嘘が上手な』人がいると聞く。中には本当にまったく表情に出ない人もいるのかも知れなくても、でも多くの場合のそれは、結局、嘘を吐いてる時の表情と吐いてない時の表情を普段から見比べてないから分からないんだろうなって気がするんだ。何一つそういうのが出ない人なんて、そんなにいるとは思わない。

それでも念の為、訊いてみる。

あかりは、じゅんのことはいいのか?」

すると彼女は、きょとんとした顔で俺を見て、

「? なんのこと? …って、もしかして私がお姉ちゃんにヤキモチ妬いてるかもってこと? んなわけないない。私、お姉ちゃんのこともじゅんのことも好きだもん。

それにさ、私がもしじゅんにそういう気持ちになったら、ママがパパにそうしてるみたいに、シェアしたらいいじゃん」

と、平然と答えた。この時の『ママ』は、ようのことだとイントネーションで分かる。そして今では俺のことを『パパ』と呼ぶのは特に甘えてる時だ。さらに、

「お姉ちゃんもそう言ってくれてるよ。だってここじゃ、雄は何人もの雌でシェアするのが当たり前じゃん」

だと。

俺がハーレムを築き、しかもそれが上手くいってたのを見てたからというのもあるのか、あかりはそういうことにまったく抵抗がなかった。ひかりもその辺りは割り切っているらしい。

もしこれが、ひそか達がいがみ合ってて険悪な状態だったら逆に、

『何人もで一人をシェアなんて無理!』っていう気持ちにもなってたかもしれないが、うちの場合はそうじゃなかったからな。

もちろん、シェアする相手にもよるかもしれないが。

それを裏付けるようにあかりが続ける。

「お姉ちゃん以外の人とは嫌だけど、お姉ちゃんだったらいいよ。お姉ちゃんも私とだったらいいって言ってくれてるし」

だそうだ。

現実的に考えて、それは十分に想定される事態だった。じゅんのような存在が他にも何人もいるならまた話は別だっただろうが、滅多にいるものではない以上、当然、考慮に入れるべきことだったんだ。ひかりあかりは、俺が口出しするまでもなくきちんと考えて、その上でしっかりと結論を出してたってことか。

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