上 下
308 / 2,566
子供達

順の性格(基本的には大人しいようだ)

しおりを挟む
新暦〇〇一八年五月二十三日。



天敵だらけという異様な<群れ>ではあったが、あかりがかいがいしく世話を焼いてくれたことと、なによりひかりがいるというのが大きかったらしく、じゅんはここにいることを選んだようだった。

ただし、今のままだと光莉ひかり号がじゅんひかりのために占拠されてる状態なので、早々にじゅんのための部屋を作ることにした。

もっとも、それ以外は、特に何か変わるとかそういうことはない。俺の子供達と同じように接するだけだ。

もちろん、俺達の<群れ>にもこの群れなりのルールがある訳だが、おそらくすぐには理解できないだろう。だからそれについては煩く言うつもりはない。それに、彼にとって心地好い場所であれば、彼の方から合わせてくれる。この群れに居続けたくてな。

それについてはまあ、あかりひかりがいれば問題ない気もする。あの子達と一緒にいたくて合わせてくれるんじゃないかな。

じゅんは若い雄だ。しかもひかりに一目惚れするくらいだからちゃんと社会性もある。あかりの言うことに従ってるところからもそれは分かる。

だからまあ、心配は要らないだろうって思うんだ。

などと考えていたら、実際にそうだった。じゅんはそれこそ元々俺達の<群れ>の一員だったかのようにすぐに馴染んでくれた。

ほむらと顔を合わせた時も、ちゃんとボノボ人間パパニアンの群れで生きてきた経験があったからか、俺に対してやったのと同じように頭を下げて首の後ろを見せて服従の姿勢を見せた。

ところでこの<服従の姿勢>。群れごとに若干の違いがあったりするみたいだが、まあとにかく弱点を相手に晒すことで『反抗しません』という姿勢を見せるという点では共通してるからだいたいの場合は意味が通じるようだ。

「あ…?」

「うあ、あ、あうあ」

って感じで<会話>もしてる。

ほむらさいが屋根の上で寛いでたところに通りがかってしまって、ちょっと目障りになったらしい。申し訳なさそうに小さくなってた。

かといってほむらの方も、邪険にしたり暴力をふるう訳じゃない。その辺りは、あらたあかりにしてた態度と変わらない。と言うことは、無暗に余所者として疎んでる訳でもないってことだろう。

そもそも、俺達の<群れ>はある意味では<変わり者の寄せ集め>みたいなところがあるからな。それで言えば今さら変なのが一人増えたところでどうってこともないのか。

あと、じゅんの性格自体、基本的には精悍な見た目とは裏腹に大人しいと言って差し支えない方のようだ。だからこそ、ひかりに対する激しいアピールはそれだけ本気だったということか。

加わったばかりでまだ様子見って感じだった頃には控えめにしていたが、じゅんが寛げるようにと庭に仮設の小屋を作り、そこを、ひかりあかりじゅんの部屋にすると、また例の猛アピールが始まったりもした。

「あはは、すっごいすっごい♡」

部屋の中を跳び回ってひかりに猛アピールするじゅんの様子を、あかりは手を叩いて楽しそうに見ていたのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...