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子供達
生存競争(生き残りをかけてだからな)
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「ギャッッ!」
「ギィッッ!」
「ガヒッッ!」
光が自動小銃を斉射した辺りで、そんな悲鳴が次々と上がった。それと同時に、バタバタと大慌てで密林の中を走り抜けていく気配がある。スタン弾の洗礼を受けたボクサー竜が逃げ出す気配だった。
さすがに手慣れたもんだな。
ボクサー竜は凶暴だが非常に憶病な獣でもあるので、力の差を思い知らせてやると次からは襲ってこなくなる傾向がある。今回のはその為の威嚇だった。
怪我したのもいるかもしれないが、その辺りは<生存競争>だからな。向こうもこちらを食うつもりで襲い掛かってきたんだし、お互い様だ。
「周囲三百メートル内に気配有りません」
イレーネにそう告げられて、ようやく灯が構えを解いた。その灯に向かって、
「ありがとう…」
と、光が呟くように言った。
「うん!」
灯が嬉しそうに笑みを浮かべる。その様子がまた可愛らしい。灯もいい子だよ。
とまあ、ちょっとしたハプニングはあったものの、これも割といつものことなので、光はさほど気にしてなかった。灯も、そういうものだというのは知ってるので、大丈夫だろう。
「ボクサー竜がちゃんと襲ってくるんだね。すっごい!」
って感じで興奮はしてるようだが。
家の周りのボクサー竜は基本的に襲ってこないからな。ましてや駿の群れに至っては、お互いになんか慣れてしまったし。
いつも陸号機から見えるところにいるから、刃達ももう襲おうとはしない。で、襲ってこないのが分かったらしく、向こうも平然としたものだ。こうやって距離が近付いていくものなのかねえ。
もちろん危険なのはボクサー竜に限ったことじゃない。光達のいるところにはカマキリ人間やタカ人間、ヒョウ人間もいる。どれも危険な存在だ。
だから灯は、光の傍を離れようとしなかった。興奮しつつも、勝手に行動はしない。おかげで、イレーネも二人を守りやすい。
そんな中、光は淡々と調査を行っていた。周囲に油断なく視線を送りつつ、灯に話しかける。
「こうやって植物の種類を確認しつつ、見慣れないものがないか確かめるの」
丁寧な説明がまた彼女らしい。でも灯の方は、
「ほえ~、は~!」
と、興奮しきりな様子できょろきょろしてた。
また、二人の様子を見守りつつ、イレーネも周囲を見回す。こうやって映像として記録するんだ。あとから詳細に見直しできるようにな。
だがその時、
「あれ? お姉ちゃん、あれは…!?」
灯が声を上げ、指をさす。
その先には、見慣れない木の実が生っていたのだった。
「ギィッッ!」
「ガヒッッ!」
光が自動小銃を斉射した辺りで、そんな悲鳴が次々と上がった。それと同時に、バタバタと大慌てで密林の中を走り抜けていく気配がある。スタン弾の洗礼を受けたボクサー竜が逃げ出す気配だった。
さすがに手慣れたもんだな。
ボクサー竜は凶暴だが非常に憶病な獣でもあるので、力の差を思い知らせてやると次からは襲ってこなくなる傾向がある。今回のはその為の威嚇だった。
怪我したのもいるかもしれないが、その辺りは<生存競争>だからな。向こうもこちらを食うつもりで襲い掛かってきたんだし、お互い様だ。
「周囲三百メートル内に気配有りません」
イレーネにそう告げられて、ようやく灯が構えを解いた。その灯に向かって、
「ありがとう…」
と、光が呟くように言った。
「うん!」
灯が嬉しそうに笑みを浮かべる。その様子がまた可愛らしい。灯もいい子だよ。
とまあ、ちょっとしたハプニングはあったものの、これも割といつものことなので、光はさほど気にしてなかった。灯も、そういうものだというのは知ってるので、大丈夫だろう。
「ボクサー竜がちゃんと襲ってくるんだね。すっごい!」
って感じで興奮はしてるようだが。
家の周りのボクサー竜は基本的に襲ってこないからな。ましてや駿の群れに至っては、お互いになんか慣れてしまったし。
いつも陸号機から見えるところにいるから、刃達ももう襲おうとはしない。で、襲ってこないのが分かったらしく、向こうも平然としたものだ。こうやって距離が近付いていくものなのかねえ。
もちろん危険なのはボクサー竜に限ったことじゃない。光達のいるところにはカマキリ人間やタカ人間、ヒョウ人間もいる。どれも危険な存在だ。
だから灯は、光の傍を離れようとしなかった。興奮しつつも、勝手に行動はしない。おかげで、イレーネも二人を守りやすい。
そんな中、光は淡々と調査を行っていた。周囲に油断なく視線を送りつつ、灯に話しかける。
「こうやって植物の種類を確認しつつ、見慣れないものがないか確かめるの」
丁寧な説明がまた彼女らしい。でも灯の方は、
「ほえ~、は~!」
と、興奮しきりな様子できょろきょろしてた。
また、二人の様子を見守りつつ、イレーネも周囲を見回す。こうやって映像として記録するんだ。あとから詳細に見直しできるようにな。
だがその時、
「あれ? お姉ちゃん、あれは…!?」
灯が声を上げ、指をさす。
その先には、見慣れない木の実が生っていたのだった。
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