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子供達
諦め(これも自然というものか)
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新暦〇〇一一年一月十一日。
とうとう明にも子供が生まれ、誉や翔の子供達も元気で、正直、あっちもこっちもで気が回らない。
それでもとにかく触れておくとすれば、明と角の子供は、角の特徴を受け継いだのか、頭に角のような小さなでっぱりがあったのが、みるみる成長して本当に角のようになってしまった。しかも誕生後数週間の時点で既に角のそれに匹敵する大きさだから、さらに大きくなる可能性もある。
正直、見てる分には『かっこいい』と思わなくもない。ちなみに名前は鋭とした。
ただ、そんな角なんて別に必要ないはずだから、逆に何かデメリットにならないかと心配ではある。
また、誉の子は、保に翠。
翔の子は、凌と名付けた。
と、取り敢えず名前を付けたものの、覚えていられる自信はまったくない。
それに、名前のパターンも遠からず尽きる気がする。漢字一文字で読みが重ならないようにとなると。だからもしこれからも名前を付けていくなら、従来のパターンをそろそろ破る必要が出てきそうだな。
なんてことがあって、駿のことばかり気にかけてもいられなかった。
すると……
「…あれ? 駿はどこに行った?」
ある日、久しぶりに駿の姿を見ようと陸号機の映像を出してみたが、どこにも駿の姿がなかった。
「まさか…!?」
ざわっとした感覚が背筋を奔り抜ける。
まさか、他の動物に……!?
不安になって映像を確認してみると、二日前までのそれの中には確かにすっかり大きくなった駿の姿があって、元気そうにしてたのに、その後はまったく見えなくなってしまっていた。
幸い、駿が他の動物に襲われるような光景は記録されてなかったものの、不安は拭えなかった。
「もしかしたら巣立っただけかもしれませんよ」
シモーヌがそう言ってくれるけどな。
「これも自然というものか……」
新暦〇〇一一年一月十八日。
一週間が過ぎても駿の姿を確認できなかったことで、俺は諦めないといけないと自分に言い聞かせようとした。
だが、最後にもう一度だけと表示させた陸号機のカメラ映像の中に―――――
「駿…!?」
駿だった。さんざん見てきたからか、何故かそこに映っているボクサー竜がそうだと分かってしまった。しかも、もう一頭……じゃない。さらに他にもいる…!?
そこに映っていたのは、少なくとも五頭のボクサー竜と共にいる駿の姿だった。そして彼女は、陸号機をまっすぐに見詰めていた。
そうしていたのはほんの一分かそこらだっただろうが、まるで挨拶を終えたと言わんばかりに踵を返して、仲間らしきボクサー竜と共に、密林の中へと消えていったのだった。
「そうか…本当に巣立っただけだったんだな……」
とうとう明にも子供が生まれ、誉や翔の子供達も元気で、正直、あっちもこっちもで気が回らない。
それでもとにかく触れておくとすれば、明と角の子供は、角の特徴を受け継いだのか、頭に角のような小さなでっぱりがあったのが、みるみる成長して本当に角のようになってしまった。しかも誕生後数週間の時点で既に角のそれに匹敵する大きさだから、さらに大きくなる可能性もある。
正直、見てる分には『かっこいい』と思わなくもない。ちなみに名前は鋭とした。
ただ、そんな角なんて別に必要ないはずだから、逆に何かデメリットにならないかと心配ではある。
また、誉の子は、保に翠。
翔の子は、凌と名付けた。
と、取り敢えず名前を付けたものの、覚えていられる自信はまったくない。
それに、名前のパターンも遠からず尽きる気がする。漢字一文字で読みが重ならないようにとなると。だからもしこれからも名前を付けていくなら、従来のパターンをそろそろ破る必要が出てきそうだな。
なんてことがあって、駿のことばかり気にかけてもいられなかった。
すると……
「…あれ? 駿はどこに行った?」
ある日、久しぶりに駿の姿を見ようと陸号機の映像を出してみたが、どこにも駿の姿がなかった。
「まさか…!?」
ざわっとした感覚が背筋を奔り抜ける。
まさか、他の動物に……!?
不安になって映像を確認してみると、二日前までのそれの中には確かにすっかり大きくなった駿の姿があって、元気そうにしてたのに、その後はまったく見えなくなってしまっていた。
幸い、駿が他の動物に襲われるような光景は記録されてなかったものの、不安は拭えなかった。
「もしかしたら巣立っただけかもしれませんよ」
シモーヌがそう言ってくれるけどな。
「これも自然というものか……」
新暦〇〇一一年一月十八日。
一週間が過ぎても駿の姿を確認できなかったことで、俺は諦めないといけないと自分に言い聞かせようとした。
だが、最後にもう一度だけと表示させた陸号機のカメラ映像の中に―――――
「駿…!?」
駿だった。さんざん見てきたからか、何故かそこに映っているボクサー竜がそうだと分かってしまった。しかも、もう一頭……じゃない。さらに他にもいる…!?
そこに映っていたのは、少なくとも五頭のボクサー竜と共にいる駿の姿だった。そして彼女は、陸号機をまっすぐに見詰めていた。
そうしていたのはほんの一分かそこらだっただろうが、まるで挨拶を終えたと言わんばかりに踵を返して、仲間らしきボクサー竜と共に、密林の中へと消えていったのだった。
「そうか…本当に巣立っただけだったんだな……」
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