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子供達
シュールな絵面(でも健康が一番か)
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新暦〇〇一〇年二月三日。
子供を連れて帰ってきた深に引き続いて鷹の妊娠が判明したことで、いろいろとまた賑やかになりそうだという予感があった。
誉達がいた頃と同じくらいになるかもしれないな。
相変わらず丈はステルス能力をいかんなく発揮して家の中でも気配を掴ませなかったりするが。
それはそれとして、イレーネの義手と義足は、新しいバージョンのものに交換された。義手については一見すると大きく変わったように見えないが、動きが格段にスムーズになり、かなり自由に使えるようになったと思う。これで光やセシリアの指示の下、家事をするのも捗るだろう。
で、それ以上に見た目で変わったのが、右脚の義足だ。これまでは部材から削り出しで作ったただの<棒>だったものが、アスリート向けのスプリングが効いたものに変わったんだ。実際、歩く姿もなめらかな感じになり、明らかにこれまでと違う。
そして、外見上は中学生か高校生くらいといった感じになった光(八歳)の後をついて回り、言われた通りに作業をこなす。これまでの成長具合から見るともう大人と変わらないそれになっててもおかしくないと思うんだが、どうもある程度まで成長(十台半ばくらい?)するとそこから先は見た目はそれほど変わらないようだ。
と、見た目はともかく何となくその様子は、<姐さんとその手下>って感じに見えなくもないのが面白い。ただの<仲のいい姉妹>として見るには、イレーネが従順すぎるんだ。
何を言われても「はい」「はい」と大人しく従って、決して口答えしない。
ロボットは元々そういうものだが、どうも、エレクシアやメイフェアといったクセが強いのがずっとそばにいたからか、イレーネの、穏やかな表情をしたセシリアのそれとも違う淡々とした従順さはある意味では新鮮でもある。
新しく作った深達の部屋も、光と一緒に掃除する。
なんてことを光達がしている一方で、焔と彩が密林との境目辺りで何かしてた。と思ったら、バッタのような虫を捕らえて、まるでおやつのようにムシャムシャと食べてた。
虫除けはしてあるものの、さすがにバッタくらいの大きさの虫には効果が薄いようだ。しかし、蚊のようなウイルスなどを媒介するタイプの厄介な虫さえ寄せ付けなければそれでいいので、特に困ったこともない。
それに、子供らのおやつになってくれるのなら、それはそれでありがたい話か。
我が子が虫をムシャムシャ食べてるというのもシュールな絵面だなと思いつつもそんなことも考える。
「だけどみんな健康に育ってくれてるから、それが一番ですよ」
灯をあやしながらシモーヌが言う。
「そうだな。本当にその通りだ……」
その言葉の裏には、連のことがあるのが分かる。
だからつい、連の墓を見てしまう。
そこに供えた花がいつの間にか根付いて風に揺れてたのが分かったのだった。
子供を連れて帰ってきた深に引き続いて鷹の妊娠が判明したことで、いろいろとまた賑やかになりそうだという予感があった。
誉達がいた頃と同じくらいになるかもしれないな。
相変わらず丈はステルス能力をいかんなく発揮して家の中でも気配を掴ませなかったりするが。
それはそれとして、イレーネの義手と義足は、新しいバージョンのものに交換された。義手については一見すると大きく変わったように見えないが、動きが格段にスムーズになり、かなり自由に使えるようになったと思う。これで光やセシリアの指示の下、家事をするのも捗るだろう。
で、それ以上に見た目で変わったのが、右脚の義足だ。これまでは部材から削り出しで作ったただの<棒>だったものが、アスリート向けのスプリングが効いたものに変わったんだ。実際、歩く姿もなめらかな感じになり、明らかにこれまでと違う。
そして、外見上は中学生か高校生くらいといった感じになった光(八歳)の後をついて回り、言われた通りに作業をこなす。これまでの成長具合から見るともう大人と変わらないそれになっててもおかしくないと思うんだが、どうもある程度まで成長(十台半ばくらい?)するとそこから先は見た目はそれほど変わらないようだ。
と、見た目はともかく何となくその様子は、<姐さんとその手下>って感じに見えなくもないのが面白い。ただの<仲のいい姉妹>として見るには、イレーネが従順すぎるんだ。
何を言われても「はい」「はい」と大人しく従って、決して口答えしない。
ロボットは元々そういうものだが、どうも、エレクシアやメイフェアといったクセが強いのがずっとそばにいたからか、イレーネの、穏やかな表情をしたセシリアのそれとも違う淡々とした従順さはある意味では新鮮でもある。
新しく作った深達の部屋も、光と一緒に掃除する。
なんてことを光達がしている一方で、焔と彩が密林との境目辺りで何かしてた。と思ったら、バッタのような虫を捕らえて、まるでおやつのようにムシャムシャと食べてた。
虫除けはしてあるものの、さすがにバッタくらいの大きさの虫には効果が薄いようだ。しかし、蚊のようなウイルスなどを媒介するタイプの厄介な虫さえ寄せ付けなければそれでいいので、特に困ったこともない。
それに、子供らのおやつになってくれるのなら、それはそれでありがたい話か。
我が子が虫をムシャムシャ食べてるというのもシュールな絵面だなと思いつつもそんなことも考える。
「だけどみんな健康に育ってくれてるから、それが一番ですよ」
灯をあやしながらシモーヌが言う。
「そうだな。本当にその通りだ……」
その言葉の裏には、連のことがあるのが分かる。
だからつい、連の墓を見てしまう。
そこに供えた花がいつの間にか根付いて風に揺れてたのが分かったのだった。
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