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子供達

鷹の妊娠(ついに来ちゃったかあ)

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新暦〇〇一〇年二月二日。



しんが帰ってきてからすぐ、今度はように妊娠の兆候が見られた。

『そうかあ、ついに来ちゃったかあ』

何と言うか、『娘が孫を連れて出戻ってからさらに嫁との間に子供ができた』という話とも言える訳で、実に気恥ずかしいと思わなくもない。

「おめでたいことじゃないですか。気にしなくていいですよ。あかりの弟か妹が来るっていうことでしょう? 大歓迎ですよね。もし万が一、ひかりちゃんやあかりのような事例だったとしても、また私が育てます。心配しないでください」

嬉しそうにシモーヌが言う。そんな彼女に対して、

「そう言ってもらえると本当にありがたいよ」

と、俺もホッとした気分で言えた。

シモーヌが来てくれて良かったと思える。今さらもう彼女を<嫁>の一人にしようとも思わないが、すごく頼りになる大切な<隣人>だ。俺がこうしてのんびりしてられるのも、彼女のおかげという部分もたぶん少なくないんじゃないかな。

ついつい考えすぎる俺に、割と第三者的な視点と立場で意見を述べてくれることもあるのがいい。

エレクシアの辛辣な物言いもいいんだが、それと合わせてシモーヌの人間らしいあたたかい気遣いが嬉しい。

「私にそうあることを望んだのはマスターの筈ですが?」

なんて、エレクシアに皮肉めいたことを言われても、

「たまには違うものも食べたくなるってことですよね♡」

と、笑顔でフォローしてくれたりもする。

そんな様子を見てると、俺はいったい、どうして他人の笑顔とか気遣いをあんなに嫌ってたんだろうという気分にもさせられる。

まあ、苦しい状況に長くいた所為で、卑屈になってしまってたんだろうなとは思うよ。

ここでの暮らしは、ある意味では命の危険もあったり、辛い現実を突き付けられもするものの、何だろう? <それをしてる側が良い気分になりたいだけの押し付けがましい同情>じゃないのが分かるからかな。不思議と嫌じゃないんだ。

メイトギアをはじめとしたロボット達の<無私の献身>は確かに素晴らしいしそれが今の人間社会を支えてくれてるのも分かるものの、やっぱり感覚的に合わない人間もいるんだっていうのを感じるな。

それで逆に、ここでの暮らしが俺には合ってしまってるんだ。<人間関係の煩わしさ>に頭を悩まされるんじゃなくて、単純に<生きる>ってことがただ突き付けられるだけのここが、シンプルで分かりやすいっていうのもあるのかもしれない。

俺はついつい考えすぎる性分だから、煩わされることが多いと疲れてしまうのかもしれないな。

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