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子供達
風向き(間の悪い時ってのはあるもんだ)
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ドーベルマンDK-a零号機には、エレクシア用の予備バッテリーが搭載してある。だから正直言って、キャパシタ頼みのメイフェアやイレーナよりも稼働時間は比較する意味もないくらいに長い。全力稼働でヒト蛇の警戒に向かう。
平均速度時速約三十キロ。不整地でも全力なら時速百キロ以上で走れるエレクシアには遠く及ばなくても、十分な速度だった。
セシリアとイレーネにもなるべく急ぐように指示してある。
と、ヒト蛇が追いかけていた獲物に追い付き、それを捕らえた。追跡していた母艦ドローンのカメラに、獲物を絞め殺す姿が映る。
「よし、これで時間は稼げる筈だ」
「ですね」
俺やシモーヌがそう思った通り、ヒト蛇が獲物を貪っている間にセシリアとイレーネがコーネリアス号に到着した。するとセシリアの指示に従い、イレーネが無線給電機を入れたバッグを背負ってコーネリアス号から走り出す。ヒト蛇を警戒する為だ。
途中で無線給電機を設置しつつ、ヒト蛇のいる方向へ向かって移動する。
だがその間に獲物を貪り尽くしたヒト蛇が、何かに気付いたかのようにコーネリアス号のある方向へと頭を向けた。距離にすれば十キロ弱。まさか、匂いか何かで走達のことに気付いたのか…?
その予感を裏付けるかのように、この時の風向きは、完全にコーネリアス号の方からヒト蛇の方になっていることが、コーネリアス号が常に観測している周囲の気象データによって裏付けられてしまった。
「クソっ! ダメか…?」
やっぱり<駆除>するしかないのか…。
覚悟を決めつつ、ドーベルマンDK-a零号機をヒト蛇とコーネリアス号の間へと移動させる。母艦ドローンもドーベルマンDK-a零号機もコーネリアス号のAIが同時にコントロールしてるから、有機的な連動が行える。要するに『目で見て』『体を動かす』ってことだな。
それと同時に、ドーベルマンDK-a零号機そのものがヒト蛇を誘き寄せてしまわないように、向こうからは見えない距離を取る。動物じゃないから匂いで誘うようなことはないだろう。
なのに、ヒト蛇はコーネリアス号の方へと向かって進み始めた。さっき捕えた獲物だけじゃ満足できなかったんだろう。風向きがコーネリアス号側からになってる以上、走達の匂いじゃなく他の動物のものであったとしても、方向はそっちになってしまうということか。
ヒト蛇が近付くほどにドーベルマンDK-a零号機を後退させて距離を取る。まだ他の獲物を見付けてそっちの方で満足してくれる可能性があるからな。
でもそんな希望的観測は、きれいさっぱり打ち砕かれたのだった。
平均速度時速約三十キロ。不整地でも全力なら時速百キロ以上で走れるエレクシアには遠く及ばなくても、十分な速度だった。
セシリアとイレーネにもなるべく急ぐように指示してある。
と、ヒト蛇が追いかけていた獲物に追い付き、それを捕らえた。追跡していた母艦ドローンのカメラに、獲物を絞め殺す姿が映る。
「よし、これで時間は稼げる筈だ」
「ですね」
俺やシモーヌがそう思った通り、ヒト蛇が獲物を貪っている間にセシリアとイレーネがコーネリアス号に到着した。するとセシリアの指示に従い、イレーネが無線給電機を入れたバッグを背負ってコーネリアス号から走り出す。ヒト蛇を警戒する為だ。
途中で無線給電機を設置しつつ、ヒト蛇のいる方向へ向かって移動する。
だがその間に獲物を貪り尽くしたヒト蛇が、何かに気付いたかのようにコーネリアス号のある方向へと頭を向けた。距離にすれば十キロ弱。まさか、匂いか何かで走達のことに気付いたのか…?
その予感を裏付けるかのように、この時の風向きは、完全にコーネリアス号の方からヒト蛇の方になっていることが、コーネリアス号が常に観測している周囲の気象データによって裏付けられてしまった。
「クソっ! ダメか…?」
やっぱり<駆除>するしかないのか…。
覚悟を決めつつ、ドーベルマンDK-a零号機をヒト蛇とコーネリアス号の間へと移動させる。母艦ドローンもドーベルマンDK-a零号機もコーネリアス号のAIが同時にコントロールしてるから、有機的な連動が行える。要するに『目で見て』『体を動かす』ってことだな。
それと同時に、ドーベルマンDK-a零号機そのものがヒト蛇を誘き寄せてしまわないように、向こうからは見えない距離を取る。動物じゃないから匂いで誘うようなことはないだろう。
なのに、ヒト蛇はコーネリアス号の方へと向かって進み始めた。さっき捕えた獲物だけじゃ満足できなかったんだろう。風向きがコーネリアス号側からになってる以上、走達の匂いじゃなく他の動物のものであったとしても、方向はそっちになってしまうということか。
ヒト蛇が近付くほどにドーベルマンDK-a零号機を後退させて距離を取る。まだ他の獲物を見付けてそっちの方で満足してくれる可能性があるからな。
でもそんな希望的観測は、きれいさっぱり打ち砕かれたのだった。
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