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子供達

賢者モード(冷静になると確かに恥ずかしい)

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と、なんだかやけに興奮してしまった。たぶん、ヒト蛇ラミアという<怪獣>の出現に、本当に子供の頃の感覚がよみがえってしまったんだろうなと自分でも思う。いや、お恥ずかしい。

けど、冷静に考えても、確かに<野生の獣>相手なら十分な性能はある筈なんだ。入力に対する応答速度だって動物のそれと遜色ない筈だから、多数を一度に相手にするような場合でもない限りそれなりに役に立つ筈だ。

それに、最悪、そうかい達に逃げる時間を作ってやれればそれでいいんだ。

きっと、しばらくして頭が冷えればものすごく恥ずかしい気持ちにもなるんだろうが、まあ、いいさ。

もしこの<ドーベルマンDK-a零号機>が実際に役に立てば、いくつか作って警備させればいい。実銃は万が一の事故の時には怖いからスタン弾を使うことになるだろうけどな。

「初号機の設計もできています。今回の零号機からフィードバックされたデータを反映させて、弐号機以降の設計も順次行っていきます」

『玩具ですね』と辛辣なことを言いながらでも、エレクシアはそうやってちゃんと用意してくれるんだ。まったく、ありがたい話だよ。

ただ、実際にドーベルマンDK-a零号機をコーネリアス号から外に出して稼働させると、そう達は、その見慣れない、得体のしれない、明らかに怪しくて不気味な<何か>をあからさまに警戒してるのが分かった。

「うん……まあ、当然でしょうね」

その様子を俺と一緒にタブレットで確認したシモーヌがさすがに言いにくそうに、でも客観的な印象としてそう言ってくれた。

「ですよね~」

と、俺も言うしかなかった。

やっぱり見た目の印象って大事なんだな。見た者に不必要な心理的圧迫を掛けない為に今のロボット達はデザインされてるというのを改めて納得させられたよ。ちゃんと意味があるんだなって。

それでも、そう達を守る為には必要なことなんだと自分に言い聞かせて、そう達からは見えない位置にまで移動させて、警戒に当たらせた。

ある程度の自立行動もできるように少々高度に設計した新型ドローンと違って、完全にコーネリアス号のAIで操作するだけの機械に徹しただけあって、ドーベルマンDK-a零号機の作動は良好だった。

振動を自動補正する機能も省いたからそのカメラから送られてくる映像は揺れが酷くて、見てると気分が悪くなるけどな。まあその辺は、コーネリアス号のAI側で映像を適宜修正してマシになるようにしてもらうという方法もあるが、それよりも確実なのが、ドーベルマンDK-a零号機そのものから送られてくる映像じゃなくて、随伴させたドローンからの映像で見るという方法か。

「映像を確認するという部分については割り切った方がいいですね」

「そうだな…」

エレクシアの的確な分析に、俺はぐうの音も出ないのだった。

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