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子供達

一代限りの徒花(確かにそれっぽい雰囲気は)

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新暦〇〇〇九年三月二十七日。



ヒト蛇ラミアが発見されて数日。俺達は用心深くその監視を続けてた。と言っても、実際に観察してくれてるのは、新型ドローンをコントロールしてるコーネリアス号のAIだが。

そのヒト蛇ラミアは特定の縄張りのようなものは持たないのか、常に移動して狩りを行っていた。腹が膨れると茂みで休み、腹が減るとまた獲物を求めて移動する。

そういう習性らしい。

だが……

「なんか、徐々にコーネリアス号に近付いて行ってる気がするな」

「ですね…」

タブレットに表示される、ヒト蛇ラミアの移動経路を連続で表示すると、非常にランダムに移動しながらも全体としてはコーネリアス号との距離が縮まっている傾向にある気がする。

「傾向としては、確かにそれが見られます。意図が推測される動きではありませんので、あくまで偶然でしょうが」

エレクシアが解説してくれるとさらに分かりやすい。

「なんとか遠ざける方法はないかな」

「獲物を追ってる形ですから、コーネリアス号から離れる方向にそれが見付かれば」

シモーヌもそう言ってくれるが、かと言って具体的にその方法がある訳でもない。

「これまで確認された気性を考えると、力の差を見せつければ警戒するというものでもなさそうですね」

とはエレクシアの弁。ボクサー竜ボクサーの場合は、それが非常に効果を発揮してか近付いても来ないが、それはボクサー竜ボクサーが基本的に臆病な動物だからというのが大きいだろう。凶暴に見えても実際には臆病さの裏返しなんだ。

それはオオカミ竜オオカミも同じだった。圧倒的な力の差を見せつけると警戒するようにはなる。

しかしそういう様子が、ヒト蛇ラミアからは見てとれなかった。

単純に他に天敵になりそうな動物がいないというのもあるとしても、数で勝るオオカミ竜オオカミ相手に全く怯まなかったというのはやはり無視できない。

透明だった体は泥にまみれて何とも言えない色になり、すっかり透明とは言えなくなっていた。元の姿を見てなければ、不定形生物がそのまま変化したものだと気付かなかったかもしれない。

「このままコーネリアス号の近くまで来て、そうかいに危険が及ぶようであれば、駆除する必要が出てくるでしょう。私はそちらまでは出向けませんので、メイフェアに担当していただくことになると思われます」

エレクシアの助言に、俺もシモーヌも異議を唱えることができなかった。

もしこれ以上近付いてくるようであれば、次に里帰りした際に<駆除>してもらうことになるかもしれない。

ヒト蛇ラミア、か……』

他に同様の個体が見られず、繁殖の可能性がないとなれば、まさに一代限りの徒花あだばなってことになるな。

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