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子供達

ヒト蛇の生態(これは恐ろしい)

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「現状では、そっとしておく方向でってことになるのかな」

「そうですね……」

新しく確認された<クラレス>の姿をしたヒト蛇ラミアについては、取り敢えず監視を続けるということでその場の結論は出た。と言うか、それしかできないからなあ。

グンタイ竜グンタイの女王のケースと比較すると、同じように『コーネリアス号の乗員を辱めている存在』なのは事実でも、現時点では周囲の動物を片っ端から壊滅させていくほどの危険性はなさそうな訳で、その点では急いで駆除しなきゃならない理由もなさそうなんだよな。

しかも、シモーヌの話によると<外>で何が起こってるのかコーネリアス号の乗員達は知る由もないらしいし。

ただ、今後、もし俺の<家族>に何らかの危険が及ぶようであれば、その時にはそれなりの対応はさせてもらうことになる。

「シモーヌもそれでいいかな」

俺の問い掛けに、少し困ったような表情をしながらも、

「ええ、異論はありません」

と応えてくれたので、監視を続ける。その生態と行動原理のようなものも把握したいし。

するとそのヒト蛇ラミアは、見た目の通りほぼヘビとしての生態を持ってるらしいことが分かってきた。

が、デカい。とにかくデカい。他の動物との比較や映像解析で、全長は優に二十メートルを超えることが分かった。しかも、人間部分の大きさも、明らかに一回り以上大きい。形は似ていても、完全に人間としては機能してないこともその様子から分かった。

非常に凶暴で衝動的で、普通の<動物>でさえないことが分かる。

動物ってのは基本的には臆病だ。どんな猛獣でも殆どが本質的には臆病で、実は無駄な争いは好まない。危険なもの、得体の知れないものに対しては警戒し、逃げることを躊躇わない。

なのにそのヒト蛇ラミアは、オオカミ竜オオカミの群れに遭遇しても躊躇せずに襲い掛かった。

いくら大きくても数的には圧倒的に不利にも拘らず、襲われて反撃を試みたオオカミ竜オオカミにどんなに体に食らいつかれてもまるで怯まず、凄まじい速さで体をくねらせて弾き返し、あるいは絞め殺し、たちまち数頭を惨殺して群れを追い払ってしまった。それだけじゃなく、逃げる群れを追いかけようとまでしてた。

走る速さはさすがに、スピードが出るような体のつくりになってるオオカミ竜オオカミには敵わず振り切られたが、執念深さについても尋常じゃないことは確かめられた。

と言うか、完全に生き物としてのメンタリティじゃないだろこれ。まるっきり<怪物>だよ。と言うか、その大きさとも併せて<怪獣>だな。異常過ぎる。

こいつに比べればグンタイ竜グンタイの女王はまだ、外敵に対して身を隠そうとかという動物的な反応を見せてた気がするぞ。

追跡を諦めて殺したオオカミ竜オオカミのところに戻ってその腹を食い破り、頭を突っ込んで内臓から貪り始めた。

口の構造が人間のそれだから蛇のように丸呑みはできないんだろうが、それだけに恐ろしい光景だと思ったよ。

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