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シモーヌ

子供達の日常 その2

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という訳で、ほむらさいの二人について触れていきたいと思う。

ほむらさいは、少し前までは、ほまれしんと同じように喧嘩もする感じで乱暴にじゃれ合ってただけだった。だから俺もただ微笑ましく見守ってただけだ。

でも、凶の襲撃の後くらいからだったかな。それが、追っかけっこもするがそれに飽きると二人で部屋の隅とか物陰に隠れるようにして寄り添って、やたらイチャイチャしてる感じになったんだ。

それでも最初は、『仲がいいんならそれでいいかな』程度にしか思ってなかった。しかし、お互いに顔を舐め合うようになって、それでさらにキスするようになって、そのキスも明らかに舌を絡め合うディープなそれになるともう、

「いや、いくら何でもおかしいだろ」

って口に出して言うようになってしまった。

なのに、ひそかふくもそんな二人の様子を見ても何も言わないし、エレクシアも、

「遺伝的には言うほど近くありませんし、問題ないのでは?」

と言うだけでやめさせようとはしなかった。

ただ、俺もシモーヌも、

「そうは言っても、なあ…」

「そうは言っても、ですよね…」

なんて、顔を見合わせてしまうくらいなんだよ。

この辺りはやっぱり俺とシモーヌだけが人間だからなんだろうな。

けれど、実際にひそかふくも何も言わないということは彼女らにとっては気にしなきゃいけない話でもないんだろうなっていうのも分からないでもない。

しかし、う~ん……

他人事として見ればこういうのを喜ぶのもいるんだろうが、実際、当事者として見れば複雑よ? あの子らが人間とは別の種だから俺もこうやって『どうすりゃいいのやら…』と悩んでるくらいで済んでるが、もしあの子らが普通の人間だったら即刻やめるように言い聞かせようとしてるだろうな。

でないと、現実の人間社会では、少なくとも俺が生まれ育った惑星では異端扱いだったからな。俺が妹のことをすごく気にかけてたことさえ、穿った見方をして下衆な勘繰りしてくる奴もいたくらいだし。

『いくら二人きりの兄妹だからってそこまでするかあ?』

だとさ。

余計なお世話だ。自分が家族をそこまで大事に思えないからって一緒にするな。両親を亡くした俺にとっちゃ心の支えでもあったんだよ。

な~んてことを考えてる間にも、ほむらさいはイチャコライチャコラ、チュッチュチュッチュと……

あ~もう! お父さんどうすりゃいいの!?

「考えるだけ無駄です。なるようにしかなりません」

とは、エレクシアの弁。

「そうですね。お二人の場合は人間の感覚で判断もできませんし、自然に任せるしかないのでは?」

とは、セシリアの弁。

やっぱりそれしかないのかなあ……

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