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シモーヌ

思い出話 伏 その1

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こうなると流れ的には当然、ふくの話をすることになるんだろうが、正直、ふくのエピソードについては、ひそかとの大喧嘩と、グンタイ竜グンタイの襲撃の際のことで出尽くした感があったりする。

何しろ彼女は、密林に餌を取りに行く時以外はだいたいぐうたら寝てるだけだったからなあ。夜行性っていうのもあるかもだが。

それでも、夜も結局はごろごろしてるだけだとエレクシアからは聞いてる。

おっぱい以外には子供らの相手をするでもなく怠惰な様子を見せているだけのふくだったが、俺は別にそれを不快には感じていなかった。それは彼女らの習性なのだ。必要な時以外は怠惰にも見える様子で休息をとるという。

それに対して人間の感覚でケチをつけたところで何の意味もない。むしろ彼女らにしていれば大きなお世話であり押し付けでしかない。自分らの感覚を否定する侵略者の振る舞いだ。俺にもそれくらい分かる。

その一方で、ふくはとても俺のことを好きでいてくれているのも実感できた。何度も捕まえた獲物を俺に与えてくれる。これも彼女らの習性の一つだ。雄はあくまで外敵から群れを守るのが役目であって、普段は狩りさえロクにしない。だから雌に獲物を獲って来てもらうのがライオン人間レオンの<普通>だった。

だからぐうたらしているようでいて、彼女は彼女なりに群れでの役目を果たそうとしていたのだ。だから俺も何も言わなかった。

ちなみに、ふくが獲って来てくれた獲物は、セシリアが調理して振る舞ってくれた。しっかり役には立っているんだよ。

そしてふくは、ひかりあかりのような子を宿すことなく五人もの子を残すことができた。しかも、しんそうかいも巣立っていった。さいりんも順調に育って、ほまれしんが繰り広げたのと殆ど変わりない光景を、ひそかの息子であるほむらあらたを相手に繰り広げてきてたりもする。

さいほむらと、りんあらたと仲がいいようだ。喧嘩してたかと思うと一緒に遊び疲れて眠っていたり、本当に可愛い。

そんな子供達を時折ちらりと見ながら、ふくはやっぱりごろごろしているだけだった。

なのに、俺に甘える時には途端にフェロモン全開になる。元々、ひそかに比べるとまだ少し大人染みたところのあった彼女は、最近ではますます色香を増している気がする。

正直、ひそかじんふくようの四人の中では、見た目の好みではふくが一番だとも思う。ひそかも大人っぽくはなったが、色香は感じるが、それでもふくには敵わない。じんは外見上の印象はあまり変わらないし、ようも外見上では相変わらず罪悪感すら感じる幼さだったからな。

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