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シモーヌ

孫(いよいよどっぷりだなあ…)

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新暦〇〇〇八年十月十九日。



とうとう<孫>まで生まれてしまって、俺は、いよいよこの世界にどっぷり浸かってる自分を改めて自覚してた。

先に巣立ったほまれは今では群れの中堅クラスになったらしく、さらに若いボノボ人間パパニアンの教育係的なことを任されてるようだった。ボスの子らしき雌の一人ともすごく仲がいい様子で、子供ができるのも時間の問題だなって感じだった。

しんはまたヒョウ人間パルディアげんとまったくもってラブラブのイチャイチャで、木の上で実に器用に睦み合ったりしている。デバガメのようなことをするつもりはないのだが、ドローンが捉えててもお構いなしなので、気が付いたらそうなってたというのも多いのだ。仲がいいのは結構だが、もうちょっと節度というものをだな……

って、そりゃあいつらには関係ない話か。

めいも若いカマキリ人間マンティアンとよろしくやってる。で、彼女の相手のカマキリ人間マンティアンについては、かくと名付けた。頭に角のような出っ張りがあったからだ。これはどうやらかくだけの特徴らしい。他のカマキリ人間マンティアンにはそこまでのものは見られない。しかも、めいと出逢ったばかりの頃には可愛らしい雰囲気もあったのに、見る見る精悍な印象に変わっていってる気がする。しかも、相当、強いようだ。さすがと言うべきか。

しょうはまだ相手は見付けてないらしいが、彼女の周りにちらほらタカ人間アクシーズが見られるから、相手が見付かるのもそう遠くない気はする。

きたるの子供はすくすく順調に育ってる。しかも、きたるの弟(たぶん)にあたるあきらも生まれた。たぶん弟というのは、ワニ人間クロコディアは、小さい頃は性別が分かりにくいんだ。鱗のようになった皮膚が普段はフタのように外性器を覆ってしまってて、パッと見では分かりにくいからである。それでもその<フタ>のようなものの形が雄と雌では違ってるらしく、まあそれで言えば雄なんだろうなっていう感じだった。と言っても今のところそうだろうというだけで、すべての事例を照合した訳じゃないから分からないが。正直、きたるだって最初は雄だか雌だかよく分かってなかったというのがある。

なんてことを考えてるうちに、今度は<孫ラッシュ>なんてことになるんだろうなあ。そうなってくるとますます混乱してくる気がする。正直、今でも時々名前を間違えたりしてるくらいだ。それどころか、子供の存在が頭からすっぱり抜けてることすらある。何日かして、

『あれ、あいつそう言えばどうしてるっけ?』

と思い出すこともある始末だ。特にじんの息子でめいの弟であるじょうなんて、何日も姿を見た覚えがないこともあるほどだし。もともと目立たないからなあ。そこが、<密林の姿なきハンターカマキリ人間マンティアン>たる所以かもしれないが。

って、実は今思い付いたフレーズだが。

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