未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

シモーヌ

のんびり（そういう時期もあるんだよなあ）

新暦〇〇〇八年五月十二日。



走そう、凱かい、翔しょうが巣立ってから数ヶ月。俺達はまたのんびりとした生活を送っていた。もちろん危険は変わらずあるものの、それ自体がここでは普通のことなので、あまり神経質になってもやっていられない。

誉ほまれは完全に群れに馴染んで、どうやらその中の雌ともよろしくやってるようだ。子供はまだだけどな。

深しんはヒョウ人間ヒョウの弦げんと相変わらずラブラブで、しかもどうやら深しんが妊娠可能になったらしく、もういつ子供ができてもおかしくなさそうである。何しろ、まあ、＜お盛ん＞なようだし。

父親として娘のそういうのを知るというのは非常に複雑な気分ではある。嫉妬とまでは言わないが、なにかこう、釈然としないものがあるのだ。父親とはこういうものなのかと実感する。息子に対しては不思議と感じないんだがなあ。

で、明めいもお相手を見付けたようだ。こちらは明めいとそう変わらない若い個体で、何となく可愛らしいカップルという印象がある。

ああ、そうそう。俺の子じゃないからなるべく気にしすぎないようにしてたんだが、実は來きたるが子供を産んだようだ。気が付いたらいつの間にやら赤ん坊を抱えてた。先日、姿を現した時にはなんとなくむっちりした感じになったかなと思ってたらこれだよ。

もしかしたらシモーヌが来た時には既に妊娠していたのかもしれない。

と思ったら、力ちからと悠はるかの間にも第二子ができてた。出産はもう少し後だが、孫が生まれてから次子とか、やるなあ。

悠はるかについては、ある意味ではシモーヌの＜先輩＞でありいろいろな指針になる可能性があるから注目してるんだが、やっぱりただのワニ人間ワニとして生きてるだけだった。どうやらやはり、特定の形をとったら完全にそれとしてしか生きられないようだ。

このことは、シモーヌにとっても朗報かもしれない。体が透明である以外には得体のしれない怪物になってしまう可能性がさらに減ったということだろうし。シモーヌ自身も安心したようだ。

ただ、相変わらず、よく分からない靄がかかったような曖昧な＜記憶＞が頭の中にあるのだという。秋嶋あきしまシモーヌとしての人生の中にはなかった筈のそれについては、漠然とした不安も感じているようだ。

俺としては、それは、不定形生物だった頃の記憶なのでは？と睨んでるんだが、どうにもまだはっきりしない。

でもまあ、焦っても仕方ないので思い出せないならそれでもいいし、何か思い出せたら教えてもらえればと思うだけだな。

なんてこともありつつも、今一番の懸案事項としては、鷹ようが妊娠したことなんだよなあ。

しかも、エコー検査で判明したんだが、どうも羽の発達が翔しょうの時に比べて明らかに遅れてるらしい。と言うか、姿形が完全に人間のそれらしいんだ。

つまり、光ひかりに起こったことと同じのが起こってる可能性があるということだな。