160 / 2,566
シモーヌ
カミナリ怖い(まあ、仕方ないか)
しおりを挟む
雷雨の峠は過ぎつつあるようだったが、俺が宇宙船の方に移動しようとすると、密達も全員、いや、セシリアは除いてだが、慌てて逃げ込んでいった。あの中が一番安全だと本能的に察しているらしい。
確かに、多少のスペースデブリの衝突など表面の衝撃吸収層で受け止め、戦車砲さえ通用しない外殻を持つ宇宙船の中は、おそらくこの惑星の中で最も安全だろう。宇宙空間を安全に、かつ、地上で自動車を走らせるくらいに気軽に航行できるように堅牢に進化した宇宙船を破壊できるのは、基本的に、圧着熱反応弾を装填した電磁加速質量砲くらいのものだ。一時期、武器として主流になりつつあった荷電粒子砲とかは、熱を拡散し加速された粒子も電気的に偏向させて威力を減衰させる形の対策が進んでしまって、今ではもうすっかり廃れてしまったらしい。で結局、重くて硬いものを超スピードでぶつけるタイプの武器に戻ってきてしまったと。
その中でも、圧着熱反応弾は、衝撃吸収層と反応して溶解させる化学物質が充填され、かつ着弾時の熱でプラズマ化した金属を高圧高速で噴射してシールドを無効化するというものだそうだが、それを、強力なものになれば秒速三十キロまで加速して撃ち出し、物質であればおよそ何でも破壊できるとも言われる凶悪な武器である。まあ、そんなものを装備してるのは、ガッチガチの軍用戦闘艦だけみたいだけどな。
そもそも宇宙船を攻撃すること自体が、終身刑レベルの凶悪犯罪扱いだし、心底いかれたテロリストでもない限りそんなことをするバカもいない。
と、何気にエレクシアから聞いたウンチクをそのまま語ってみただけだが、まあ、こういう場合はとにかく宇宙船に逃げ込むに限るというのは真っ当な判断だと分かると思う。
などと、こっちのことは別にいいんだ。余談が過ぎた。それより問題はあの助けを求める声の主のことだよ。
家族そろって宇宙船の中に避難していささか窮屈になりながらも、俺はタブレットでメイフェアとエレクシアの様子を確認した。すると、メイフェアから送られてきた彼女のカメラが捉えた映像に、河が見えた。
そしてその瞬間、ズームしたそこに、信じられないものが映っていたのだ。
「秋嶋シモーヌ…!?」
そう、そこに映っていたのは、あのグンタイ竜の女王と瓜二つ…いや、あれは完全に怪物的なそれだったが、今度はそれとはまったく違う、確かに人間の姿をした、しかし透明な体をもつ<女性>であった。
しかも全裸の。
訳の分からない光景だったが、激しい落雷の後に現れた透明な体を持ったそれはもう、あの不定形生物由来のものだと考えるしかなかったのだった。
確かに、多少のスペースデブリの衝突など表面の衝撃吸収層で受け止め、戦車砲さえ通用しない外殻を持つ宇宙船の中は、おそらくこの惑星の中で最も安全だろう。宇宙空間を安全に、かつ、地上で自動車を走らせるくらいに気軽に航行できるように堅牢に進化した宇宙船を破壊できるのは、基本的に、圧着熱反応弾を装填した電磁加速質量砲くらいのものだ。一時期、武器として主流になりつつあった荷電粒子砲とかは、熱を拡散し加速された粒子も電気的に偏向させて威力を減衰させる形の対策が進んでしまって、今ではもうすっかり廃れてしまったらしい。で結局、重くて硬いものを超スピードでぶつけるタイプの武器に戻ってきてしまったと。
その中でも、圧着熱反応弾は、衝撃吸収層と反応して溶解させる化学物質が充填され、かつ着弾時の熱でプラズマ化した金属を高圧高速で噴射してシールドを無効化するというものだそうだが、それを、強力なものになれば秒速三十キロまで加速して撃ち出し、物質であればおよそ何でも破壊できるとも言われる凶悪な武器である。まあ、そんなものを装備してるのは、ガッチガチの軍用戦闘艦だけみたいだけどな。
そもそも宇宙船を攻撃すること自体が、終身刑レベルの凶悪犯罪扱いだし、心底いかれたテロリストでもない限りそんなことをするバカもいない。
と、何気にエレクシアから聞いたウンチクをそのまま語ってみただけだが、まあ、こういう場合はとにかく宇宙船に逃げ込むに限るというのは真っ当な判断だと分かると思う。
などと、こっちのことは別にいいんだ。余談が過ぎた。それより問題はあの助けを求める声の主のことだよ。
家族そろって宇宙船の中に避難していささか窮屈になりながらも、俺はタブレットでメイフェアとエレクシアの様子を確認した。すると、メイフェアから送られてきた彼女のカメラが捉えた映像に、河が見えた。
そしてその瞬間、ズームしたそこに、信じられないものが映っていたのだ。
「秋嶋シモーヌ…!?」
そう、そこに映っていたのは、あのグンタイ竜の女王と瓜二つ…いや、あれは完全に怪物的なそれだったが、今度はそれとはまったく違う、確かに人間の姿をした、しかし透明な体をもつ<女性>であった。
しかも全裸の。
訳の分からない光景だったが、激しい落雷の後に現れた透明な体を持ったそれはもう、あの不定形生物由来のものだと考えるしかなかったのだった。
0
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる