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大家族
カマキリ人間の憂鬱(何しろ大人しくて)
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今回触れる話はいつも以上にスプラッタかつショッキングな内容が含まれるので、そういうのが苦手な方は要注意である。まあ、平気な人間は平気なんだろうが、念の為にな。
新暦〇〇〇七年六月五日
刃達カマキリ人間は、基本的にわちゃわちゃ動き回って騒ぐタイプじゃなかった。いつもだいたい気配を殺して黙って周囲の様子を窺ってる状態だからとにかく目立たない。
それは当然、刃の娘の明も、息子の丈も同じだった。姿が見えないと思えば密林の中に狩りに行っていて、小動物や鳥を捕まえては勝手に食べていた。密や誉と違って生きている動物しか食べないからな。
しかも、人間の感覚からするとかなり怖いことなんだが、伏や鷹達とも違って、『生きたまま食う』んだ。伏は必ずとどめを刺して完全に殺してから食うし、鷹も基本的にはそうだった。魚などは生きたまま食うこともあるという程度だ。
が、刃達は違う。『食い始めるまでは生きて動いてないと食わない』のだ。また、小動物や鳥などは頭からバリバリと丸かじりだから、その食事風景は完全にスプラッタである。
で、カマキリ人間にとってはボノボ人間も獲物の一つであり、別のカマキリ人間がボノボ人間を捕らえた時のそれを撮影したドローンの映像は、人間である俺にとっては実にショッキングなものだった。
何しろ、捕らえたボノボ人間の頭を岩に叩き付けて割り、まだビクビクと痙攣してる状態のそれの脳をムシャムシャ食ってたんだからな。
もちろん、野生の肉食獣の食事なんてそういうものだとは分かってる。分かってるが、これが現実なんだということを改めて思い知らされて背筋が凍ったよ。
この群れにいる限りはそこまでする必要がないということのようだから刃はわざわざ他のボノボ人間を襲ったりはしてないようだが、それが彼女達にとって良いことなのかどうかは、正直、悩ましいところではある。
そのことによってボノボ人間を狩りの対象から外してしまったら、巣立ちした明や丈が他に獲物を見付けられなかった時に、たとえボノボ人間と遭遇してもそれを襲って食べなくて、結果として飢えて死ぬようなことになったらと思ってしまうんだ。
けっこうエグイ話になってしまったが、しかしこれも野生で生きるということだからな。
とは言え、刃も明も丈も、俺にとっては可愛い家族だ。
目立たないが。
そう。目立たないんだよ。誉や深や走や凱が目立ちすぎて、そこに焔や新や彩や凛まで加わったことで、家の中がいつも台風みたいになってて、三人の姿が全く目立たないのだった。
新暦〇〇〇七年六月五日
刃達カマキリ人間は、基本的にわちゃわちゃ動き回って騒ぐタイプじゃなかった。いつもだいたい気配を殺して黙って周囲の様子を窺ってる状態だからとにかく目立たない。
それは当然、刃の娘の明も、息子の丈も同じだった。姿が見えないと思えば密林の中に狩りに行っていて、小動物や鳥を捕まえては勝手に食べていた。密や誉と違って生きている動物しか食べないからな。
しかも、人間の感覚からするとかなり怖いことなんだが、伏や鷹達とも違って、『生きたまま食う』んだ。伏は必ずとどめを刺して完全に殺してから食うし、鷹も基本的にはそうだった。魚などは生きたまま食うこともあるという程度だ。
が、刃達は違う。『食い始めるまでは生きて動いてないと食わない』のだ。また、小動物や鳥などは頭からバリバリと丸かじりだから、その食事風景は完全にスプラッタである。
で、カマキリ人間にとってはボノボ人間も獲物の一つであり、別のカマキリ人間がボノボ人間を捕らえた時のそれを撮影したドローンの映像は、人間である俺にとっては実にショッキングなものだった。
何しろ、捕らえたボノボ人間の頭を岩に叩き付けて割り、まだビクビクと痙攣してる状態のそれの脳をムシャムシャ食ってたんだからな。
もちろん、野生の肉食獣の食事なんてそういうものだとは分かってる。分かってるが、これが現実なんだということを改めて思い知らされて背筋が凍ったよ。
この群れにいる限りはそこまでする必要がないということのようだから刃はわざわざ他のボノボ人間を襲ったりはしてないようだが、それが彼女達にとって良いことなのかどうかは、正直、悩ましいところではある。
そのことによってボノボ人間を狩りの対象から外してしまったら、巣立ちした明や丈が他に獲物を見付けられなかった時に、たとえボノボ人間と遭遇してもそれを襲って食べなくて、結果として飢えて死ぬようなことになったらと思ってしまうんだ。
けっこうエグイ話になってしまったが、しかしこれも野生で生きるということだからな。
とは言え、刃も明も丈も、俺にとっては可愛い家族だ。
目立たないが。
そう。目立たないんだよ。誉や深や走や凱が目立ちすぎて、そこに焔や新や彩や凛まで加わったことで、家の中がいつも台風みたいになってて、三人の姿が全く目立たないのだった。
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