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大家族
捜索開始(待っていてくれ、誉)
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『俺は少しここを離れる、守りは任せたぞ!!』
俺のその言葉が通じた訳ではないだろうが、俺が何を意図してるかは察したのだろう。密と刃はそれぞれ俺についてきたりしようとはしなかった。
家から出た時に鷹の方にもちらりと視線を向けたが、彼女は元々、俺にべったりと甘えたりはたまにしかしないのでジロリと俺を睨み付けただけだったものの、この場合はむしろありがたい。
一方で、エレクシアは俺につき従う。詳細な状況と防衛プランについては、セシリアに通信で伝えていた。この辺りはロボットならではの便利さだな。
既に誉の姿は見失ってしまっている。マイクロドローンを威嚇に使っていたこともあり、追いつけなかったのだ。それでも大まかな方向は分かっている。俺は手袋をつけてヘルメットも被り、密林の中を歩いた。
その上で、エレクシアに誉の捜索も行ってもらう。目も耳ももう捉えられないが、嗅覚ならまだ間に合う。嗅覚センサーの感度を最高にまで上げて、匂いで誉を追うということだ。僅かな匂いを追うためにローバーは使わない。そもそも通れる場所が限られていて小回りが利かないし。
「方向は間違っていません。このまま進みましょう」
木の枝を伝い、そこに残った匂いを確認してエレクシアが言った。同時に、周囲を警戒しているのも分かる。
「ボクサー竜の群れが周囲にいます。今は距離を置いていますが、こちらの隙を窺っているものと思われます」
まあ、当然だろう。
もし、出会い頭に危険な猛獣に遭遇しても一撃でやられたりしないように防刃手袋とヘルメットを身につけてきた。これでエレクシアも俺を守りやすくなる。少なくとも初手は防げるからな。最悪、二撃目以降を防げれば大丈夫だ。
ただ、あまり気温は高くないと言ってもさすがにこの格好で歩くと暑い。十分程度歩いただけで俺はもう汗だくだった。バイザーだけは開けて風が入るようにはしてるが、正直、閉めてるよりはマシという程度だな。
もっと上等な作業服なら温度調節機能が付いてるものもあるものの、まさかそこまでのが必要になるとは思ってなかったから買わなかったんだよな。極端な高温や低温に対しては宇宙服を使えば済むと思っていたし。こうして徒歩で調査するような場合はエレクシアやドローンにやってもらえばいいと思っていたし。
エレクシアに背負ってもらうという方法もあるが、今、彼女は枝に付いた誉の匂いを確認しながら樹上を移動しているから、それもできない。
だから仕方なく、エレクシアに尋ねた。
「なあ、ヘルメットだけなら取っても大丈夫かな」
そんな俺の問い掛けに、
「……ボクサー竜の群れはある程度距離を取ってついてきていますし、現時点では大丈夫でしょう」
その言葉にホッとして、俺はヘルメットを取ったのだった。
俺のその言葉が通じた訳ではないだろうが、俺が何を意図してるかは察したのだろう。密と刃はそれぞれ俺についてきたりしようとはしなかった。
家から出た時に鷹の方にもちらりと視線を向けたが、彼女は元々、俺にべったりと甘えたりはたまにしかしないのでジロリと俺を睨み付けただけだったものの、この場合はむしろありがたい。
一方で、エレクシアは俺につき従う。詳細な状況と防衛プランについては、セシリアに通信で伝えていた。この辺りはロボットならではの便利さだな。
既に誉の姿は見失ってしまっている。マイクロドローンを威嚇に使っていたこともあり、追いつけなかったのだ。それでも大まかな方向は分かっている。俺は手袋をつけてヘルメットも被り、密林の中を歩いた。
その上で、エレクシアに誉の捜索も行ってもらう。目も耳ももう捉えられないが、嗅覚ならまだ間に合う。嗅覚センサーの感度を最高にまで上げて、匂いで誉を追うということだ。僅かな匂いを追うためにローバーは使わない。そもそも通れる場所が限られていて小回りが利かないし。
「方向は間違っていません。このまま進みましょう」
木の枝を伝い、そこに残った匂いを確認してエレクシアが言った。同時に、周囲を警戒しているのも分かる。
「ボクサー竜の群れが周囲にいます。今は距離を置いていますが、こちらの隙を窺っているものと思われます」
まあ、当然だろう。
もし、出会い頭に危険な猛獣に遭遇しても一撃でやられたりしないように防刃手袋とヘルメットを身につけてきた。これでエレクシアも俺を守りやすくなる。少なくとも初手は防げるからな。最悪、二撃目以降を防げれば大丈夫だ。
ただ、あまり気温は高くないと言ってもさすがにこの格好で歩くと暑い。十分程度歩いただけで俺はもう汗だくだった。バイザーだけは開けて風が入るようにはしてるが、正直、閉めてるよりはマシという程度だな。
もっと上等な作業服なら温度調節機能が付いてるものもあるものの、まさかそこまでのが必要になるとは思ってなかったから買わなかったんだよな。極端な高温や低温に対しては宇宙服を使えば済むと思っていたし。こうして徒歩で調査するような場合はエレクシアやドローンにやってもらえばいいと思っていたし。
エレクシアに背負ってもらうという方法もあるが、今、彼女は枝に付いた誉の匂いを確認しながら樹上を移動しているから、それもできない。
だから仕方なく、エレクシアに尋ねた。
「なあ、ヘルメットだけなら取っても大丈夫かな」
そんな俺の問い掛けに、
「……ボクサー竜の群れはある程度距離を取ってついてきていますし、現時点では大丈夫でしょう」
その言葉にホッとして、俺はヘルメットを取ったのだった。
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