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大家族
窮迫(いや、これは冗談抜きでヤバい…)
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「くそっ! 誉ぇーっっ!!」
普通の人間の俺では殆どまともに走ることさえかなわない密林の中で、自分の無力さともどかしさに俺は思わず叫んでいた。
だがその時、視界の隅を何かがよぎる。
「!?」
下草の陰に僅かに見えたそれは、まぎれもなくボクサー竜だった。それも数匹。
ヤバい…奴らの群れが近くにいたのか…!
そう思った俺の目には、さらに異様なものが捉えられていた。一目見ただけではそれが何かよく分からなかった。輪郭が酷く曖昧で、はっきりしない。数瞬の間をおいて、閃くようにピンときた。
こいつ…例の不定形生物…か?
多分、間違いないだろう。そこにいたのは、悠と同じく透明な体を持った、そしてボクサー竜によく似たシルエットの獣だった。ただ、その体は明らかに一回り以上大きいが。
草原にいるオオカミ竜と密林に住むボクサー竜のちょうど中間くらいの大きさだろうか。なるほど、こいつもあの不定形生物が変化したものだな。しかもこいつ、この群れのボスのようだ。
明らかに俺を狙ってる。まあそれもそうか。俺みたいな非力な動物はそれこそ格好の獲物だろう。にしても、どうしてこう間が悪いかね……!
ハンドガンを構え、そいつに向けて発砲した。当てるつもりで撃っても俺の腕ではまず当たらないが、せめて威嚇になればと思ってのことだった。だがそいつは、一瞬、ビクッと体を震わせたが逃げる様子はない。度胸が据わってるのかなんなのか。
と、俺の頭によぎるものがあった。以前、俺達を襲おうとして鷹に撃退されたボクサー竜の群れ。あれも銃声には怯んだ様子がなかった。まさか、その時の……?
それが事実かどうかを確かめる術はない。それに、事実であるかどうかも今はどうでもいい。そんなことが判明する前に、たぶん俺はこいつらの腹の中だ。
銃声で追い払うことができないのなら、それこそ俺に対抗する手段はない。
「はは…俺もここでお終いってことかな……すまん、誉……」
諦めの言葉が無意識に漏れ出したその時、俺の正面にいたボスと思しき透明な個体が、何かに弾かれるように飛び退って、そしてそのまま密林の中へと消えた。そんなボスに続いて動こうとしたらしい普通のボクサー竜が数匹、今度は本当に何かに弾かれて吹っ飛んだ。見ると、オレンジに似た黄色い果実が地面に転がっている。どうやらそれがぶつかったようだ。まさか―――――!?
そのまさかだった。俺の前に突然、大きな影が立ちはだかる。
「エレクシア!?」
思わず声に出てしまう。そう、エレクシアだった。エレクシアが俺を庇うように降り立ったのだ。
「間に合ってよかったですが、無茶をしないでください。マスター」
普通の人間の俺では殆どまともに走ることさえかなわない密林の中で、自分の無力さともどかしさに俺は思わず叫んでいた。
だがその時、視界の隅を何かがよぎる。
「!?」
下草の陰に僅かに見えたそれは、まぎれもなくボクサー竜だった。それも数匹。
ヤバい…奴らの群れが近くにいたのか…!
そう思った俺の目には、さらに異様なものが捉えられていた。一目見ただけではそれが何かよく分からなかった。輪郭が酷く曖昧で、はっきりしない。数瞬の間をおいて、閃くようにピンときた。
こいつ…例の不定形生物…か?
多分、間違いないだろう。そこにいたのは、悠と同じく透明な体を持った、そしてボクサー竜によく似たシルエットの獣だった。ただ、その体は明らかに一回り以上大きいが。
草原にいるオオカミ竜と密林に住むボクサー竜のちょうど中間くらいの大きさだろうか。なるほど、こいつもあの不定形生物が変化したものだな。しかもこいつ、この群れのボスのようだ。
明らかに俺を狙ってる。まあそれもそうか。俺みたいな非力な動物はそれこそ格好の獲物だろう。にしても、どうしてこう間が悪いかね……!
ハンドガンを構え、そいつに向けて発砲した。当てるつもりで撃っても俺の腕ではまず当たらないが、せめて威嚇になればと思ってのことだった。だがそいつは、一瞬、ビクッと体を震わせたが逃げる様子はない。度胸が据わってるのかなんなのか。
と、俺の頭によぎるものがあった。以前、俺達を襲おうとして鷹に撃退されたボクサー竜の群れ。あれも銃声には怯んだ様子がなかった。まさか、その時の……?
それが事実かどうかを確かめる術はない。それに、事実であるかどうかも今はどうでもいい。そんなことが判明する前に、たぶん俺はこいつらの腹の中だ。
銃声で追い払うことができないのなら、それこそ俺に対抗する手段はない。
「はは…俺もここでお終いってことかな……すまん、誉……」
諦めの言葉が無意識に漏れ出したその時、俺の正面にいたボスと思しき透明な個体が、何かに弾かれるように飛び退って、そしてそのまま密林の中へと消えた。そんなボスに続いて動こうとしたらしい普通のボクサー竜が数匹、今度は本当に何かに弾かれて吹っ飛んだ。見ると、オレンジに似た黄色い果実が地面に転がっている。どうやらそれがぶつかったようだ。まさか―――――!?
そのまさかだった。俺の前に突然、大きな影が立ちはだかる。
「エレクシア!?」
思わず声に出てしまう。そう、エレクシアだった。エレクシアが俺を庇うように降り立ったのだ。
「間に合ってよかったですが、無茶をしないでください。マスター」
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