75 / 2,387
大家族
試練(自分が生きてる世界を思い知らされる)
しおりを挟む
緊急対応というのは、当然、ここに危険な外敵が迫った時などのことを本来は指してるんだが、今回のようにエレクシアがこの場を離れないといけない時なんかにも適用することと取り決めているものだった。
要人警護仕様で高い戦闘力を持つエレクシアがこの場にいないというのはそれだけで非常事態だからだ。
セシリアも、暴漢などから主人を咄嗟に庇ったりすることができる程度の運動性能は有るので子供達を捉まえるくらいはできるが、外敵と戦うというのには役不足だ。だから念の為に宇宙船の中に閉じこもる。これが、<緊急対応>だ。
だから俺も、光を連れて宇宙船へと駆け込んだ。その異様な気配を察して、密、刃、伏も続いて避難してくる。
マイクロドローンや対物センサーを周囲に仕掛けて宇宙船のAIにリンクさせ、何者かが接近すればすぐに知らせるように早期警戒網は完備してあるものの、エレクシアの帰還が間に合わない可能性もある。ゆえにあらかじめ退避しておくわけだな。
これまでは、何者かの接近が捉えられた場合はエレクシアが対処してくれてた。俺ももちろん気付けば銃などで威嚇はするつもりだが、はっきり言ってエレクシアとセシリアがいれば俺の出番はない。
また、鷹がいてくれたことで、ここに近付こうとする者に対する警告にもなった。何かの気配を感じれば彼女も威嚇してくれたからだ。刃も非常に強力な抑止力だが、鷹の方が明らかに目立つことで気付いてもらいやすい。
そして、今は、そのエレクシアも鷹もいない。正直、この状況でボクサー竜の群れにでも襲撃されると撃退は困難だと思われる。
なのでこうして自分達の身の安全を確保した上で、俺は鷹と翔の姿を確かめようとした。画面をマイクロドローンのカメラの映像に切り替えると、彼女を襲ったものの姿が映し出されている。クモ人間だった。三メートル近い巨体でありながら器用に木の上にのぼり、人間体の腕にも見える触角で鷹に一撃を加えたのだ。
その鷹はと見ると、別の木の枝に辛うじて掴まっていた。しかし飛び上がろうとはしない。クモ人間から喰らった攻撃のダメージが大きいのだろうか。右腕、と言うか右の羽を庇うような仕草も見える。羽がやられたのかもしれない。
空に逃げられなければ圧倒的に不利だ。クモ人間が鷹目掛けて飛び掛かる。しかし彼女もまた別の枝に飛び移って辛うじて躱した。だが、このままではいずれ捕えられるだろう。
『エレクシア! たのむ! 急いでくれ!!』
俺は祈るような気持ちで画面をエレクシア自身のカメラ映像に切り替えた。彼女が今どの辺りに居るか確認する為だ。すると画面には密林が切れて河が見えていた。そして河に出たと思った瞬間、そこを飛び越える映像が映し出される。エレクシアがジャンプしたのである。
人間のアスリートが走り幅跳びで八メートルを跳ぶのなら、リミッターを外したエレクシアが幅二十メートルの河を跳び越えるなど造作もないことであった。
要人警護仕様で高い戦闘力を持つエレクシアがこの場にいないというのはそれだけで非常事態だからだ。
セシリアも、暴漢などから主人を咄嗟に庇ったりすることができる程度の運動性能は有るので子供達を捉まえるくらいはできるが、外敵と戦うというのには役不足だ。だから念の為に宇宙船の中に閉じこもる。これが、<緊急対応>だ。
だから俺も、光を連れて宇宙船へと駆け込んだ。その異様な気配を察して、密、刃、伏も続いて避難してくる。
マイクロドローンや対物センサーを周囲に仕掛けて宇宙船のAIにリンクさせ、何者かが接近すればすぐに知らせるように早期警戒網は完備してあるものの、エレクシアの帰還が間に合わない可能性もある。ゆえにあらかじめ退避しておくわけだな。
これまでは、何者かの接近が捉えられた場合はエレクシアが対処してくれてた。俺ももちろん気付けば銃などで威嚇はするつもりだが、はっきり言ってエレクシアとセシリアがいれば俺の出番はない。
また、鷹がいてくれたことで、ここに近付こうとする者に対する警告にもなった。何かの気配を感じれば彼女も威嚇してくれたからだ。刃も非常に強力な抑止力だが、鷹の方が明らかに目立つことで気付いてもらいやすい。
そして、今は、そのエレクシアも鷹もいない。正直、この状況でボクサー竜の群れにでも襲撃されると撃退は困難だと思われる。
なのでこうして自分達の身の安全を確保した上で、俺は鷹と翔の姿を確かめようとした。画面をマイクロドローンのカメラの映像に切り替えると、彼女を襲ったものの姿が映し出されている。クモ人間だった。三メートル近い巨体でありながら器用に木の上にのぼり、人間体の腕にも見える触角で鷹に一撃を加えたのだ。
その鷹はと見ると、別の木の枝に辛うじて掴まっていた。しかし飛び上がろうとはしない。クモ人間から喰らった攻撃のダメージが大きいのだろうか。右腕、と言うか右の羽を庇うような仕草も見える。羽がやられたのかもしれない。
空に逃げられなければ圧倒的に不利だ。クモ人間が鷹目掛けて飛び掛かる。しかし彼女もまた別の枝に飛び移って辛うじて躱した。だが、このままではいずれ捕えられるだろう。
『エレクシア! たのむ! 急いでくれ!!』
俺は祈るような気持ちで画面をエレクシア自身のカメラ映像に切り替えた。彼女が今どの辺りに居るか確認する為だ。すると画面には密林が切れて河が見えていた。そして河に出たと思った瞬間、そこを飛び越える映像が映し出される。エレクシアがジャンプしたのである。
人間のアスリートが走り幅跳びで八メートルを跳ぶのなら、リミッターを外したエレクシアが幅二十メートルの河を跳び越えるなど造作もないことであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる