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大家族
密林の覇者(クモ人間は別格として)
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新暦〇〇〇三年十月五日
草原の王者とも言うべき(取り敢えず現時点では)オオカミ竜の亜種らしき獣は、密林にも生息していた。大型になると二メートルを超えるオオカミ竜に比べると、大きいものでも一メートル強ぐらいしかないそれは、群れも小さく十頭前後の単位で暮らしているようだ。クモ人間がいない側の密林では刃と並んで生態系の上位に位置するらしい。映像を見た時にボクサー犬がふと頭に浮かんだのでボクサー竜と仮称している。実はこれまでにも何度か目撃はしてるんだ。ただ警戒心が強いらしく、見慣れない生き物である俺達を遠巻きに見ている感じだったな。
刃とどちらが強いかとかいうのは実際に戦っているところがまだ確認できてないのでなんとも言えないものの、一対一でなら刃が圧勝。しかし群れそのものを相手にすると、あくまで俺の印象としてはほぼ互角じゃないかなと思ったり。
他にもすごい生き物がいるかもしれないが、今のところは刃の種族と鷹の種族とそのボクサー竜とが、こちら側の密林の覇者といった感じか。
ただ、クモ人間と比べるとさすがに迫力不足は否めないが。
と、來と一緒に泥をこねて遊んでいる光を見守りながらタブレットで映像をチェックしていた俺を、狩りから戻ったらしい大きな腹を抱えた刃と、鎌にトゲが生え始めていよいよ本格的な狩りの練習をする為に母親について行ってたらしい明が、二人して何やら俺を睨んでいた。
…まさか、俺がクモ人間と比べて迫力不足だとか考えてたのに気付いた……とかじゃないよ、な…? さすがに……
しかし、じーっと、母子して黙って俺を睨み付けてる姿には何とも言えないプレッシャーを感じる。
気まずい空気感の中、なるべく意識しないようにしているうちに、いつの間にか二人の姿が消えていた。恐らく部屋に戻ったのだろう。
いや本当に俺が考えてたことを察した訳じゃないんだろうが、とは言え野生だからな。俺の表情とか何とかから何かを察していたのだとしても不思議じゃない。かもしれない。
まあそれはさて置いたとしても、クモ人間のいない方に不時着できたのは、ある意味では幸運だったかもしれない。しかも、例の不定形生物を恐れてクモ人間すら河に近付こうとしないのは、何とも皮肉な話だな。
もしこれであの不定形生物がいなかったり、クモ人間がそれを恐れていなかったりしたら、いくら川幅が二十メートルくらいあると言っても、あのサイズで二百キロくらいしかない上に胴体部に空洞が多い構造では余裕で水に浮くだろうから、こっちに渡ってきても何もおかしくない訳で、それを相手にすることになってたかもしれないと思うと、今ほどのんびりもしてられなかったかもしれない。
な~んてことを言うとフラグだと思われるかもしれないが、それについては本当に大丈夫なのだった。
こっちから近付かない限りはね。
草原の王者とも言うべき(取り敢えず現時点では)オオカミ竜の亜種らしき獣は、密林にも生息していた。大型になると二メートルを超えるオオカミ竜に比べると、大きいものでも一メートル強ぐらいしかないそれは、群れも小さく十頭前後の単位で暮らしているようだ。クモ人間がいない側の密林では刃と並んで生態系の上位に位置するらしい。映像を見た時にボクサー犬がふと頭に浮かんだのでボクサー竜と仮称している。実はこれまでにも何度か目撃はしてるんだ。ただ警戒心が強いらしく、見慣れない生き物である俺達を遠巻きに見ている感じだったな。
刃とどちらが強いかとかいうのは実際に戦っているところがまだ確認できてないのでなんとも言えないものの、一対一でなら刃が圧勝。しかし群れそのものを相手にすると、あくまで俺の印象としてはほぼ互角じゃないかなと思ったり。
他にもすごい生き物がいるかもしれないが、今のところは刃の種族と鷹の種族とそのボクサー竜とが、こちら側の密林の覇者といった感じか。
ただ、クモ人間と比べるとさすがに迫力不足は否めないが。
と、來と一緒に泥をこねて遊んでいる光を見守りながらタブレットで映像をチェックしていた俺を、狩りから戻ったらしい大きな腹を抱えた刃と、鎌にトゲが生え始めていよいよ本格的な狩りの練習をする為に母親について行ってたらしい明が、二人して何やら俺を睨んでいた。
…まさか、俺がクモ人間と比べて迫力不足だとか考えてたのに気付いた……とかじゃないよ、な…? さすがに……
しかし、じーっと、母子して黙って俺を睨み付けてる姿には何とも言えないプレッシャーを感じる。
気まずい空気感の中、なるべく意識しないようにしているうちに、いつの間にか二人の姿が消えていた。恐らく部屋に戻ったのだろう。
いや本当に俺が考えてたことを察した訳じゃないんだろうが、とは言え野生だからな。俺の表情とか何とかから何かを察していたのだとしても不思議じゃない。かもしれない。
まあそれはさて置いたとしても、クモ人間のいない方に不時着できたのは、ある意味では幸運だったかもしれない。しかも、例の不定形生物を恐れてクモ人間すら河に近付こうとしないのは、何とも皮肉な話だな。
もしこれであの不定形生物がいなかったり、クモ人間がそれを恐れていなかったりしたら、いくら川幅が二十メートルくらいあると言っても、あのサイズで二百キロくらいしかない上に胴体部に空洞が多い構造では余裕で水に浮くだろうから、こっちに渡ってきても何もおかしくない訳で、それを相手にすることになってたかもしれないと思うと、今ほどのんびりもしてられなかったかもしれない。
な~んてことを言うとフラグだと思われるかもしれないが、それについては本当に大丈夫なのだった。
こっちから近付かない限りはね。
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