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大家族

夫婦の会話(みたいなものかな、これは)

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新暦〇〇〇三年十月一日



夜。本来は夜行性である筈のふくの子供達も昼間に遊び疲れて眠ってしまい、だいたいいつも、起きてるのはふくだけだった。そんな彼女も、夜も何だかんだと寝て、一日十六時間くらいは寝てるかウトウトしてるかという生活だ。子供を産んでからさらにその傾向が強まった気がする。

何となくぐうたらしてる奥さんという印象もないではない。

が、それは彼女らの種族の元々の習性に加え、密林というここの環境が影響してる可能性はある。何しろ、本来のふくの暮らしている草原ではない所為もあってか、食事の為に獲物を獲る以外ではほとんど出歩くこともないのだ。こんなところに連れてきてしまったのは俺なのでむしろ申し訳ない気持ちもある。

そして、彼女が甘えるように艶っぽい目で俺に縋りついてくるのは、<お勤め>を求めてるサインだ。なので俺もそれに応える。妊娠している可能性があるということもあり、あまり激しくはしない。ソフトでスローな、まったりとした時間を過ごした。

それに満足したのか、ふくはベッドでウトウトしていた。実は、ソフトでスローなのは妊娠してるかもしれないからというだけでなく、四人も相手にしないといけないが故に身に付けた省エネテクニックでもあった。

でないと身がもたないんだよ!

そっとふくの頬にキスをしてから、シャワーを浴びる。

こうして相手をする時は、他の嫁及び子供たちに邪魔されないように宇宙船のキャビンを使う。ひそかは第三子の妊娠で腹が大きく最近は求めてこないが、求めてくる時は毎日だったからな。なかなか大変だった。

シャワーの後でソファーに腰かけ、リラックスする。そこに、エレクシアがコーヒーを淹れてくれた。

「コーヒーが残り少ないですが、いかがしますか? これからは特別な時のみにしましょうか」

相変わらず用件だけを端的に語りかけてくる。だが、それがいい。

「そうだな。任せるよ」

そんな曖昧な指示でも、彼女は「承知しました」と応えてくれる。それなりに長い時間一緒にいるから、俺についてのデータが蓄積されているのだ。

阿吽と言うかツーカーと言うか、この辺りの呼吸も俺にとっては安心感があった。

コーヒーを含み、「ふう…」と溜息を漏らす。嫁の相手に子供の相手と、毎日ハードだからか、つい、な。

「マッサージが要りますか?」

いつもはセシリアがマッサージをしてくれるんだが、今日は里帰りをしていていない。だから気を遣ってくれたのだろう。

「ああ、頼む……」

俺も素直にそれに甘える。セシリアのマッサージも絶品だが、エレクシアのそれはさらに、何と言うか、安心するんだ。

「ありがとう。本当に感謝してる……」

ソファーをベッド代わりにしてエレクシアのマッサージを受けながら、俺はそう口にした。

「いえ、これが私の役目ですから」

そう応えるのは分かっていたが、感謝の気持ちを伝えずにはいられなかった。

なんだか、本当に人間の夫婦の会話みたいだな……

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