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大家族

凱(普段、強そうなふりをしてるのほど実は)

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新暦〇〇〇三年九月二十七日



子供達が生まれたことでこの惑星の調査そのものは進んでないものの、逆に、子供達のおかげで生き物についての生態調査は捗っているとも言えるのか。

加えて、子供達が落とす<毛>、噛み付かれた時についた<唾液>、<尿>、<便>、そしてケンカした時などに流れ出た<血>等々、サンプルはいくらでも手に入る。それを分析器に掛けてるだけでもデータは膨大になる。それらもまとめなきゃとは思うんだが、いかんせん時間がなかった。

で、かいは、ふくが産んだ三つ子の内の一人で、三人の中では一番最後に生まれたが一番体は大きく力も強かった。なので、おっぱいの時にも二人を押し退けて自分だけ母親を独占しようとする様子が見受けられた。

だが、体の大きさだけで他を圧倒できたのは最初だけで、すぐに二人に逆襲されるようになった。しかも、自分が優位の時にはいかにも強そうな感じでありながら、ちょっと不利になるとすぐにヘタレてしまうのだ。実に分かりやすい<見掛け倒し>と言えるだろう。

一見して強そうに振る舞うのは、実は自分に自信がないから、相手を威嚇し精神的に優位に立とうとしてるだけってのがよく分かる。

こんな小さいうちからでもそういうのがあるんだなと感じてしまった。

が、二人が満足した後に結局は母親を独占して一番おっぱいを貰ってたらしく、明らかに他の二人に比べれば一回り体が大きいんだよな。なので、見掛け倒しでありながら実はちゃっかりしてるという一面もあるのかもしれない。

ほまれしんを相手にケンカしてても、優位に立ってる時は調子いいんだが、いったん押し込まれると途端に逃げ腰になって結局は背を向けてしまう。なのに、さっと逃げて母親の傍でちゃっかりぬくぬくしてるんだ。いやはや、ある意味面白い奴だよ。

そんな感じで実はヘタレなかいなんだが、特にしょうのことは苦手にしてるようだ。体の大きさは半分くらいしかなさそうなしょうが視界に入ると、明らかに怯えた様子になる。彼女がばっと翼を広げたりしようものなら、まさしく尻尾を巻いて逃げる感じだ。

でも、苦手なのは苦手らしいが、必ずしも嫌いな訳ではないらしい。しょうに飛び掛かられて大きな体を小さく丸めてても、彼女がぺろぺろと体を舐めてくれると、気持ちよさそうな顔をして大人しくもしている。

…ん? これってもしかして、Mっ気があるってことか…?

まさか一歳にもならないうちからそんな性癖に目覚めてるとは思いたくないが、可能性はないこともないのか。となると、ヘタレっぽいのもそういう部分から来ているのだろうか…?

その辺りは今後も観察を続けてからでないと結論は出ないかもしれないものの、本当に面白いもんだな。

正直、自分が子供を持つことになるとか、普通に人間社会に暮らしていた時には完全に諦めていたりもした。妹の治療費で借金がかさんでいたし。

それがここに来て、六人の嫁さんと七人の子持ち、しかも今後も増える可能性が高いってんだから、人生、何が起こるか分からんってものだなあ。

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