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ハーレム
ディナー(ほんとにサバイバル中か?)
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人が亡くなった宇宙船を別荘にとかおかしいと思うかもしれないが、まあ、おかしかったんだろうな。遭難して帰る当てもない、生と死が隣り合わせのこの世界に既に馴染み始めていたんだろう。
俺の予測では数日かかると思っていたキャビンのメンテナンスも、エレクシアとセシリアCQ202の働きにより、僅か半日で一部が使えるようになった。これは、コーネリアス号に残されていた資材や薬品を使って空気電池を作ることができたのが大きかった。宇宙船として使う当てがなければまったく使い道のない材料を用いて作れたのだ。
それによって、俺のローバーに搭載されたアミダ・リアクターだけでは賄いきれなかったコーネリアス号のメインフレーム(AI)を起動させられ、AIが管理していた区画へのアクセスも可能になり、そこに保管されていた仮設用のソーラーパネルも設置。今日はもうかなり日も傾いていたことで十分な発電はできなかったものの、明日からはさらに電力を確保できるだろう。
これで、コーネリアス号の<工作室>を稼動させられる目処も立ったな。
長期間、宇宙船の中だけで生活しなければならなかったり、必要な工具や機材をその場で作らないといけなかったりする探査船などにはよく装備されているものだ。これで、材料さえあればいろいろ作ることができる。
また、水の循環システムを稼働させられたのも大きい。コーネリアス号の中で水を使うこともできるようになった訳だからな。
その流れで、俺の宇宙船を修理する為に使えそうなものがあればと少し期待もしたものの、残念ながらそれは無理だった。
宇宙船の機関についても二千年の間に改良が進み、部品などには全く互換性がなかった。正直、全長二百メートル級のコーネリアス号の宇宙船としての性能は、全長五十メートル級の俺の宇宙船よりも劣っている。その部品を基に加工しようと思っても、使えるように加工する方法もない。さすがに宇宙船に装備される工作室程度では話にならないレベルの専用の加工技術が必要だからな。でもまあ、それはもういい。
にしても、さすがにロボットの働きはすごいな。今の人間の社会は彼女らの存在なしには有り得ないというのを実感する。人間が半日でこれだけのことをしようと思えば、いったい、何人で手分けしなきゃならないのか。
単純な性能ではエレクシアとセシリアCQ202の間には結構な差があるが、機能の面では大きな差はない。求められる機能としては数千年前に既に完成されているからそこから殆ど変化していないのだ。
正直、俺は何もできなかった。密と刃をコーネリアス号の中に慣れさせる為に不安がる二人をなだめながらようやくキャビンまで連れてくることができただけだ。ちなみに、ローバーから二人を出す時に、また鳥少女が襲い掛かろうとする気配を見せたので、俺は空に向けてハンドガンを放った。ガーンという衝撃音に彼女は驚き、地面に転がり落ちてしまった。その鳥少女を今度は刃が攻撃しようとしたので、それは俺が制止した。
「落ち着け! 襲うな! お前達はそういうことをする必要はない」
もちろん俺の言葉が理解できる訳じゃない。ただ、俺が攻撃はするなと命じてることを察する程度の知能はある。それが幸いだった。
鳥少女は再びローバーの上によじ登り、小さく体を縮めていた。何だかますます可哀想にも思えてくる。その姿を見て俺は、彼女を<鷹>と名付けることにした。今の姿を見てそんな勇ましい名前を付けるのもやっぱりおかしいと思うかもしれないが、何となく鷹の幼鳥という印象を受けたのだ。もっとも、彼女自身は既に成体かもしれないがな。
なんてこともありつつ、一段落がついた頃にはすっかり日が暮れていたのだった。
夕食は、昼に採ってきたものがまだ十分に残っていたので、エレクシアとセシリアCQ202がコーネリアス号のキャビンの調理器具を使って本格的な料理を作ってくれた。これまでにもエレクシアが作ってくれていたが、食材に使えるものを調べながらだったからどうしても割と質素なものが多かった。それが、サバイバル生活の大先輩であるセシリアCQ202の知識のおかげで食材の種類が一気に増えたからだ。
野菜の類はどうしても山菜っぽいものが多かったものの、それでも里芋や人参っぽい根菜類もあるのが嬉しい。しかもそれらを使ってセシリアCQ202がトン汁っぽいものを作ってくれた。
「コーネリアス号の乗組員には日本出身の方が多かったので、よくリクエストがあったんです」
エレクシアもレシピは持っているから作ろうと思えば作れるんだが、前の主人が洋食好みだったらしく、俺が何も言わないと殆ど洋食のメニューばかりになっていたのもあって、思いがけず出てきたそれに、何だか胸が熱くなってしまった。
「おっしゃっていただければ作りましたのに」
冷たい視線でそう言ったエレクシアのその態度が、どこかヤキモチを妬いているように見えてしまうのは錯覚だろうか。まあ、錯覚なんだろう。彼女らにヤキモチを妬く機能はない。それっぽく見える振る舞いはできるが。でもまあ、何となく可愛いと思ってしまったのも事実だ。
トン汁、空揚げ、煮魚、照り焼きチキン、野菜炒め等々。エレクシアとセシリアCQ202がそれぞれ思うものを作ったから取り合わせとしてはちぐはぐにもなったが、こうしていろんなメニューが出てきたのは素直に嬉しい。つまりこれからはこれだけの内容のものが食べられるということだからな。
生きた動物しか食べない上に一日二食の刃は興味も無さげにキャビンの壁を背に座ってるが、密は目の前に並んだ料理に興奮したように動き回ってる。何だか本当に、御馳走を見てはしゃいでる人間の女の子みたいだよ。
そしてその日は、俺達とセシリアCQ202が出会えた記念のパーティーのように、賑やかな夕食になったのだった。
俺の予測では数日かかると思っていたキャビンのメンテナンスも、エレクシアとセシリアCQ202の働きにより、僅か半日で一部が使えるようになった。これは、コーネリアス号に残されていた資材や薬品を使って空気電池を作ることができたのが大きかった。宇宙船として使う当てがなければまったく使い道のない材料を用いて作れたのだ。
それによって、俺のローバーに搭載されたアミダ・リアクターだけでは賄いきれなかったコーネリアス号のメインフレーム(AI)を起動させられ、AIが管理していた区画へのアクセスも可能になり、そこに保管されていた仮設用のソーラーパネルも設置。今日はもうかなり日も傾いていたことで十分な発電はできなかったものの、明日からはさらに電力を確保できるだろう。
これで、コーネリアス号の<工作室>を稼動させられる目処も立ったな。
長期間、宇宙船の中だけで生活しなければならなかったり、必要な工具や機材をその場で作らないといけなかったりする探査船などにはよく装備されているものだ。これで、材料さえあればいろいろ作ることができる。
また、水の循環システムを稼働させられたのも大きい。コーネリアス号の中で水を使うこともできるようになった訳だからな。
その流れで、俺の宇宙船を修理する為に使えそうなものがあればと少し期待もしたものの、残念ながらそれは無理だった。
宇宙船の機関についても二千年の間に改良が進み、部品などには全く互換性がなかった。正直、全長二百メートル級のコーネリアス号の宇宙船としての性能は、全長五十メートル級の俺の宇宙船よりも劣っている。その部品を基に加工しようと思っても、使えるように加工する方法もない。さすがに宇宙船に装備される工作室程度では話にならないレベルの専用の加工技術が必要だからな。でもまあ、それはもういい。
にしても、さすがにロボットの働きはすごいな。今の人間の社会は彼女らの存在なしには有り得ないというのを実感する。人間が半日でこれだけのことをしようと思えば、いったい、何人で手分けしなきゃならないのか。
単純な性能ではエレクシアとセシリアCQ202の間には結構な差があるが、機能の面では大きな差はない。求められる機能としては数千年前に既に完成されているからそこから殆ど変化していないのだ。
正直、俺は何もできなかった。密と刃をコーネリアス号の中に慣れさせる為に不安がる二人をなだめながらようやくキャビンまで連れてくることができただけだ。ちなみに、ローバーから二人を出す時に、また鳥少女が襲い掛かろうとする気配を見せたので、俺は空に向けてハンドガンを放った。ガーンという衝撃音に彼女は驚き、地面に転がり落ちてしまった。その鳥少女を今度は刃が攻撃しようとしたので、それは俺が制止した。
「落ち着け! 襲うな! お前達はそういうことをする必要はない」
もちろん俺の言葉が理解できる訳じゃない。ただ、俺が攻撃はするなと命じてることを察する程度の知能はある。それが幸いだった。
鳥少女は再びローバーの上によじ登り、小さく体を縮めていた。何だかますます可哀想にも思えてくる。その姿を見て俺は、彼女を<鷹>と名付けることにした。今の姿を見てそんな勇ましい名前を付けるのもやっぱりおかしいと思うかもしれないが、何となく鷹の幼鳥という印象を受けたのだ。もっとも、彼女自身は既に成体かもしれないがな。
なんてこともありつつ、一段落がついた頃にはすっかり日が暮れていたのだった。
夕食は、昼に採ってきたものがまだ十分に残っていたので、エレクシアとセシリアCQ202がコーネリアス号のキャビンの調理器具を使って本格的な料理を作ってくれた。これまでにもエレクシアが作ってくれていたが、食材に使えるものを調べながらだったからどうしても割と質素なものが多かった。それが、サバイバル生活の大先輩であるセシリアCQ202の知識のおかげで食材の種類が一気に増えたからだ。
野菜の類はどうしても山菜っぽいものが多かったものの、それでも里芋や人参っぽい根菜類もあるのが嬉しい。しかもそれらを使ってセシリアCQ202がトン汁っぽいものを作ってくれた。
「コーネリアス号の乗組員には日本出身の方が多かったので、よくリクエストがあったんです」
エレクシアもレシピは持っているから作ろうと思えば作れるんだが、前の主人が洋食好みだったらしく、俺が何も言わないと殆ど洋食のメニューばかりになっていたのもあって、思いがけず出てきたそれに、何だか胸が熱くなってしまった。
「おっしゃっていただければ作りましたのに」
冷たい視線でそう言ったエレクシアのその態度が、どこかヤキモチを妬いているように見えてしまうのは錯覚だろうか。まあ、錯覚なんだろう。彼女らにヤキモチを妬く機能はない。それっぽく見える振る舞いはできるが。でもまあ、何となく可愛いと思ってしまったのも事実だ。
トン汁、空揚げ、煮魚、照り焼きチキン、野菜炒め等々。エレクシアとセシリアCQ202がそれぞれ思うものを作ったから取り合わせとしてはちぐはぐにもなったが、こうしていろんなメニューが出てきたのは素直に嬉しい。つまりこれからはこれだけの内容のものが食べられるということだからな。
生きた動物しか食べない上に一日二食の刃は興味も無さげにキャビンの壁を背に座ってるが、密は目の前に並んだ料理に興奮したように動き回ってる。何だか本当に、御馳走を見てはしゃいでる人間の女の子みたいだよ。
そしてその日は、俺達とセシリアCQ202が出会えた記念のパーティーのように、賑やかな夕食になったのだった。
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