74 / 91
やりたい仕事より続く仕事
しおりを挟む
「じゃあ、ニートになっちゃったらどうしたらいいの?」
「あ~、それはお父さんには何とも言えないなあ。だって、ニートになってしまった当人のことを何も知らないで言えることじゃないと思うから」
「? …?」
「ニートになってしまう原因って、人それぞれだと思うんだ。しかも、その人の適性とか考え方とか価値観とかそういった諸々をきちんと把握した上でないと有効な対策は打てないと思う。
さっきは美智果もニートになってしまう可能性はあると言ったけど、本当はその可能性は決して高くないとお父さんは思ってる」
「え? そうなの?」
「そうだよ。だってお父さんは、美智果がそこまで追い詰められるまで放っておかないし。美智果が何か辛いと感じてることがあったら一緒にそれを解決していこうと思うし。どうやったらそれが解決できるのか、美智果と一緒に考えていこうと思ってるし」
「…パパ……」
振り返ってパパを見ると、優しく頭を撫でてくれる。
「この大変な世の中に美智果を送り出してしまったのはお父さんなんだから、そこで苦しんでる美智果を放っておける訳ないだろ。
問題があったらお父さんも一緒に考える。そうして問題の解決方法を美智果にも学んでもらう。そういうのを繰り返して経験を積んで、いつか美智果が自分で解決できるようになってくれたらそれでいいんだよ。
そうだな。三十歳くらいにはそうなってもらえたらいいかな」
「三十歳? でも二十歳で大人じゃないの?」
「いやいや、お父さん自身の二十歳の頃を思い返してみたらぜんぜん子供だったよ。お母さんと結婚して美智果が生まれても自分が<大人>だなんてぜんぜん思えなかった。まあ正直、今でも自信を持って大人だなんて言えないけど、三十くらいだったかなあ、何となく自分で何とかできるって思えるようになってきたのは。
お父さん自身がそうだったから、美智果もそんなものでいいよ。お父さんにできないことを美智果にやらせるつもりもない」
「でも、お仕事できる自信ない……」
「そりゃそうさ。やったことのないのをすぐに自信持ってできる人なんて滅多にいない。不安なのが普通だよ。
だけどさ。美智果は学校に行くのは好きだろ?」
「うん。好き」
「未熟な子供の集団の中で決められたことをやらなきゃいけない学校生活を楽しんで続けられるなら、よっぽど変な職場でもない限り仕事だって同じだよ。自分のやらなきゃいけないことをちゃんとやる。それでいいんだ。
あと、お父さんからのアドバイス。
<やりたい仕事より続く仕事>を選ぶのがコツかな。お父さんが今やってる仕事だって、別にやりたかった仕事じゃないし」
「…へ……?」
そうなの…?
「あ~、それはお父さんには何とも言えないなあ。だって、ニートになってしまった当人のことを何も知らないで言えることじゃないと思うから」
「? …?」
「ニートになってしまう原因って、人それぞれだと思うんだ。しかも、その人の適性とか考え方とか価値観とかそういった諸々をきちんと把握した上でないと有効な対策は打てないと思う。
さっきは美智果もニートになってしまう可能性はあると言ったけど、本当はその可能性は決して高くないとお父さんは思ってる」
「え? そうなの?」
「そうだよ。だってお父さんは、美智果がそこまで追い詰められるまで放っておかないし。美智果が何か辛いと感じてることがあったら一緒にそれを解決していこうと思うし。どうやったらそれが解決できるのか、美智果と一緒に考えていこうと思ってるし」
「…パパ……」
振り返ってパパを見ると、優しく頭を撫でてくれる。
「この大変な世の中に美智果を送り出してしまったのはお父さんなんだから、そこで苦しんでる美智果を放っておける訳ないだろ。
問題があったらお父さんも一緒に考える。そうして問題の解決方法を美智果にも学んでもらう。そういうのを繰り返して経験を積んで、いつか美智果が自分で解決できるようになってくれたらそれでいいんだよ。
そうだな。三十歳くらいにはそうなってもらえたらいいかな」
「三十歳? でも二十歳で大人じゃないの?」
「いやいや、お父さん自身の二十歳の頃を思い返してみたらぜんぜん子供だったよ。お母さんと結婚して美智果が生まれても自分が<大人>だなんてぜんぜん思えなかった。まあ正直、今でも自信を持って大人だなんて言えないけど、三十くらいだったかなあ、何となく自分で何とかできるって思えるようになってきたのは。
お父さん自身がそうだったから、美智果もそんなものでいいよ。お父さんにできないことを美智果にやらせるつもりもない」
「でも、お仕事できる自信ない……」
「そりゃそうさ。やったことのないのをすぐに自信持ってできる人なんて滅多にいない。不安なのが普通だよ。
だけどさ。美智果は学校に行くのは好きだろ?」
「うん。好き」
「未熟な子供の集団の中で決められたことをやらなきゃいけない学校生活を楽しんで続けられるなら、よっぽど変な職場でもない限り仕事だって同じだよ。自分のやらなきゃいけないことをちゃんとやる。それでいいんだ。
あと、お父さんからのアドバイス。
<やりたい仕事より続く仕事>を選ぶのがコツかな。お父さんが今やってる仕事だって、別にやりたかった仕事じゃないし」
「…へ……?」
そうなの…?
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
白衣の下 拝啓、先生お元気ですか?その後いかがお過ごしでしょうか?
アーキテクト
恋愛
その後の先生 相変わらずの破茶滅茶ぶり、そんな先生を慕う人々、先生を愛してやまない人々とのホッコリしたエピソードの数々‥‥‥ 先生無茶振りやめてください‼️
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
運命の番が解体業者のおっさんだった僕の話
いんげん
BL
僕の運命の番は一見もっさりしたガテンのおっさんだった。嘘でしょ!?……でも好きになっちゃったから仕方ない。僕がおっさんを幸せにする! 実はスパダリだったけど…。
おっさんα✕お馬鹿主人公Ω
おふざけラブコメBL小説です。
話が進むほどふざけてます。
ゆりりこ様の番外編漫画が公開されていますので、ぜひご覧ください♡
ムーンライトノベルさんでも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる